2LクラスのFRスポーツとして2012年にデビューしたトヨタ86&スバルBRZも2020年で丸8年が経過。
燃費、環境志向が顕著なった2010年代初期、元気のなくなっていたチューニング業界を活性化したのはまさしく86/BRZだったと断言できる。
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販売台数的に見れば微々たるものかもしれないが、クルマ界への貢献度は絶大だったと断言できる。
8年生産されながら、エクステリアデザインがここまで変わらないクルマも珍しいが、中身は毎年のように進化を続けてきた。
その86/BRZの進化は期待していたほどではなかったのか? 期待どおりだったのか? 期待以上だったのか?
86のスペシャリストである橋本洋平氏が考察する。
文:橋本洋平/写真:TOYOTA、SUBARU、平野学、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】形は大きく変わらなくても中身は劇的に進化!! 2012~2020年 86/BRZの進化総決算
86を3台乗り継ぐ
86&BRZはトヨタとスバルが共同開発したFRスポーツで、フロントバンパー形状、フェンダーのエンブレムなどで差別化。左が86で右がBRZ
2012年に登場し、今年で丸8年が経過したトヨタ86とスバルBRZは、今年末から来年はじめくらいまでには次期型が登場すると噂されている。BRZに関しては今年の7月にオーダーストップするとのアナウンス。兄弟車の86に関してもほぼ同様の流れとなるだろう。
そんな86とBRZの8年は、まさに進化の歴史でもある。僕はGAZOO Racing 86&BRZ Raceに初年度から参戦するために86を購入。
その後、2回に渡って買い替えをしたこともあり、その成長を経験してきた。それを振り返りつつ、86とBRZがどのように変化したかを辿ってみる。
橋本氏はGAZOO Racing 86&BRZ Raceに2013年の初年度から参戦。86を極限状態で使うことで長所も短所も熟知しているスペシャリスト
未完成な状態でスタート
初めて86を購入したのは86が登場してからおよそ1年後となる2013年。だが、その時にはまだ改良らしい改良は施されていなかった。
後に通称A型と呼ばれたその個体は、実際に手にしてみるとまだまだ未完成な部分があるように感じられた。
86/BRZは2012年に鳴り物入りでデビュー。この時点ですでに開発責任者の多田哲哉氏は細かく改良を続けていくことを明言
リアシートの上部パネルあたりからパチパチと音を発していたり、テールレンズ内に雨水が溜まったりといった具合にである。
後に聞けば、パネルあたりの音は溶接が甘く、ボディがよじれる度に合わせ面から音が出ているとの話。
テールレンズの水の混入に対しても、即座に対策品が用意され、ディーラーで無償交換したもらった覚えがある。いわゆるマイナートラブルだが、そんな状態から86&BRZは始まったのだ。
初期の86ではリアコンビに水がたまるというトラブルも出ていたがすぐに対策された
ボルト交換で走りが激変
だが、それだけで終わらず、スポーツカーらしく走りを磨くために拘ったことも印象的だった。
ボディの一部の板厚アップ&スポット打点の追加、パワーステアリングの制御変更、そしてサスペンションメンバーの取り付けボルトを変更は興味深いものがあった。
一度に施す改良はそれほど大きなものではなかったが、細かな改良を重ねたことでクルマが熟成されていった
さすがにスポット打点の追加は真似できるものではなかったが、ボルトについては初期型ユーザーでも流用できるとアナウンスするなど、販売した後のフォローも絶妙だと感じた。
おかげでそのボルトに発注が集中し、一時欠品になってしまうほどの反響を生んだ。
その変化を肌で味わったが、そこで感じたことは、初期型はインフォメーションが薄く、クルマとドライバーが対話できる環境ではなかったことに気づく。
年々改良が施されるたびにリニアに対話性豊かになる86の走りは、クルマの部品ひとつひとつでこんなに走りが変化するのだと知る良い機会になった。初めから完璧もいいが、未完成なものが成長する姿を共に体感できる体制は面白かった。
E型(通称)でパワーアップ
2016年7月に初のマイナーチェンジを受けた。エクステリアデザインはより空力にこだわったフロントバンパーが与えらた。これも性能アップの手段のひとつ
その後、最も走りが変化したのは、通称E型と呼ばれる前後の灯火類やバンパーデザインが変わったモデルだ。
エンジンパワーアップに加えてファイナルギアの変更など、86乗りならずとも見どころの多い変化だったのではないだろうか?
燃費や環境性能ばかりが重視される世の中にあって、モード燃費が落ちる結果も許し、さらにリニアに洗練した走りをと進化させたことは驚くばかり。
アルミテープを採用して、空気の流れに拘っていたことも面白かった。当時、それを付けたり外したりと繰り返しテストしたことがあるが、眉唾物と思っていたにも関わらず、悔しいくらいに走りを変化させたことにも感心した。
トヨタが提唱したアルミテープは最初は眉唾物と見られていたが、効果的だとわかるといろいろなクルマのチューニングに波及していった
個人的にはこの時に初めての買い替えを行ったのだが、その際に同じクルマでもここまで違うのか! と感心するばかりだった記憶がある。
初期モデルではおよそ4シーズンに渡ってサーキットを走り回ったせいか、ルーフ周りにシワがより始めるなどのトラブルがあり、かなりルーズな走りになっていたクルマと比べているせいもあったかもしれないのだが……。
わずかだが小径化されたステアリングを握ってサーキットを走れば、タイヤからの情報がダイレクトに伝わる感覚に溢れ、さらにスロットルを踏み込めばパワーアップとファイナル変更によって、蹴り出し豊かにわずかなスライドもコントロール可能。
まさに手足のように応えてくれる一台に進化していたことが脳裏に焼き付いている。
もちろん、他車に乗っている人からすれば微々たるレベルなのだろうが、86乗りからすれば別物だと断言できる仕上がりに満足した。当初は同じクルマを乗り継ぐのもどうかと思ったが、買い替えてよかったと素直に言えるものだった。
2016年のマイナーチェンジでは200ps/20.9kgmから207ps/21.6kgmにスペックアップすると同時にファイナルギア比が4.1から4.3に変更された
極限状況での使用にも真摯に向き合った
後に現行モデルではABSセンサーの改良にも踏み込んだ。これはサーキットを走る際、縁石などで大入力がある状況でエラーが出ていたことをクリアするための措置だった。
一度エラーが出たABSユニットは、2度と復活せず、その交換におよそ18万円もする状況だったからその改良は羨ましかった(最後に所有していた一台は最新型のひとつ前の型だったので)。
サーキットのような極限の状況なら、壊れても何も文句を言えないのが市販車の世界だが、そこに対しても真摯に向き合い改良を重ねた姿勢こそが、86&BRZの素晴らしさだったように思えてくる。
ABSセンサーが改良されたのはサーキット走行での不具合から。日常レベルを超越した使用状況によるトラブルにも対処してきたのはさすが
もちろん、現状ですべてがOKではない。特にスポーツ走行をする状況では冷却関係がまだまだであり、特にミッションに関しては弱さが露呈していた。ワンメイクレースではトラブルを防止するために、2戦に1回はオーバーホールをするのが当たり前だったのだから。
これはタイヤ戦争がもたらした弊害でもあるから、一概にクルマのせいにするのも可哀想だが、次期86&BRZが登場する際には、その辺りを強靭にして登場してもらえたらと願わずにはいられない。
けれども、そんな要求に対してもきちんと応えてくれると期待している。
8年に渡ってコツコツと進化してきた86&BRZなら、きっとそれを達成してくれることだろう。
これまで歩んできた地道な努力のうえでフルモデルチェンジをするなら、手足のように動き、そして速く、強靭なスポーツカーとなるに違いない。
次期86は現行のプラットフォームをキャリーオーバーして登場するという。デビュー時期は2021年中で早ければ春の可能性も高まっている(画像は予想CG)
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みんなのコメント
車格を落としても構わないと思うんだよな・・・チープでも軽くて機敏とか。
商売として「ない」よな・・・