「R」は特別なVWの称号。最新ゴルフRは2ボディ構成
VWのスポーツモデルには2本の柱がある。ひとつはGTI。ベースモデルが備える高い実用性を少しも損なうことなく、カジュアルでスポーティな感覚をアドオンしたシリーズだ。もうひとつはR。ベースモデルに対して遥かに高額な価格になるが、走りのパフォーマンス向上のために妥協のない姿勢で取り組んだモデルである。
フォルクスワーゲン・ゴルフのハイパフォーマンスモデル「R」が待望の日本上陸
試乗車はRの中でも「真打ち」というべきキャラクターを持つゴルフR。現行8代目をベースとしたRは、欧州では2020年末に発表されていた。それから2年近くの時間を要してようやく日本でも発売されることになった。新型は従来モデル比で10ps/20Nmパワーアップした2リッター直噴ターボ(320ps/420Nm)を搭載。駆動方式は4WD。「Rパフォーマンスベクタリング」と「ビークルダイナミクスマネージャー」を採用して、従来以上に最適なトルク配分とニュートラルなハンドリング性能を追求した。
ラインアップは2種類ある。従来型と同様に、ハッチバックとヴァリアント(ワゴン)の双方に設定される。乗り比べると両車の乗り味は微妙に異なることに気がついた。
刺激的なパフォーマンス。速さは超一級品!
ハッチバックとヴァリアントのカタログ上で60kgという重量差がもたらす動力性能の違いは無視できるレベル。というより、「現実には実感するのが困難」という程度にすぎない。ところが、フットワークの違いはとくに高速クルージングになると、意外なほどに明確になる。落ち着いてフラット感の高い乗り味を示すのはヴァリアント。前述したように重量差の影響もあるが、ゴルフ史上で初めて2つのボディで異なるホイールベースを採用し、ヴァリアントのほうがハッチバック比で50mm長い。これが乗り味に関係している可能性が高い。
一方、両ボディで差は感じられないと報告した動力性能は、ともに刺激的。フルアクセルを与えたシーンでは、ターボチャージングが施されているとはいっても、とても2リッターの心臓から発せられているとは思えないほど強烈なパワーが体感できる。シビック・タイプRと同等の320psという最高出力と、420Nmの最大トルクを4WDシステムが無理なく路面へ伝達する。
それでも、ピーク時にはステアリング反力が微妙に弱まるのを感じるほどだ。パフォーマンスは、まさにRを名乗るにふさわしい。
試乗車は、大径の19インチタイヤと電子制御式可変減衰力ダンパーかセットになったDCCパッケージが装着されていた。コンフォート・モードを選択しておけば、路面凹凸への当たりこそ硬めであるものの、サスペンションの動きは滑らか。日常ユースを快適にこなせる。
一方、スポーツを飛び越えレース・モードを選択すると雰囲気は一変する。ステアリングが重さを増し、排気音にバブリングの演出が加わる。そしてDCTは、減速時に次の加速を見越した早めのダウンシフトを行ってくれる。
史上最強であると同時に、最も辛口の仕上げ――Rはゴルフ・シリーズの中にあって異端児といっていい存在だ。
VWゴルフR主要諸元
グレード=R
価格=7DCT 639万8000円
全長×全幅×全高=4295×1790×1460mm
ホイールベース=2620mm
トレッド=1540×1515mm
車重=1540kg
エンジン=1984cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=235kW(320ps)/5350~6500rpm
最大トルク=420Nm(42.8kgm)/2100~5350rpm
WLTCモード燃費=12.3km/リッター(燃料タンク容量56リッター)
(市街地/郊外/高速道路:8.7/12.5/14.7km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:4リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/40R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.1m
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