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道楽なんて言わせないよ!! ラリーこそ「いい車作り」の実践だ!! トヨタ社長がGRヤリスでクラス優勝

掲載 更新 52
道楽なんて言わせないよ!! ラリーこそ「いい車作り」の実践だ!! トヨタ社長がGRヤリスでクラス優勝

 クルマ初心者や自動車部から大小企業までが参加する『TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge(通称:ラリチャレ)』シリーズをご存知だろうか。レースに比べると比較的「草競技」のイメージがあるかもしれないラリー競技大会の中でも、サポーター達との距離が近いのが同シリーズ最大の特徴だ。

 ラリチャレの前々身である『TRD ヴィッツチャレンジ』のプレ開催から数えて約20年を迎える2021年。3月14日に広島県安芸高田市で、まさにVitzの正統系譜かつ究極進化と言っていい「GRヤリスが出走する」とのニュースが入った。

アイドリングストップはバッテリーの寿命をどれだけ縮めるのか

 マシンのハンドルを握るのは、トヨタ自動車の豊田章男社長……に“よく似た”、ラリードライバーのモリゾウ選手だ。

 海外の自動車メディアの辛口評論家をも「このクルマの事ばかり夢にみるよ!」と言わしめるGRヤリス。開発の味付けにもマスタードライバーとして参加したモリゾウ選手が、今度は公道も走るラリーで自ら選手として「楽しみながら走る」姿をみせた。

 そんなモリゾウ選手と、それを支えた仲間たちの1日をお届けしたい。

文、写真/西尾タクト

【画像ギャラリー】世界初スクープ! トヨタ社長の手でGRヤリスがクラス優勝の走り

■世界にその名を知らしめた『GAZOO Racing WRT』

TGR RC安芸高田はダートトライアルでも有名な『テクニックステージタカタ』のグラベル(未舗装)コースを使用する。「ラリー車はグラベルとスノー(雪道)で輝く」と言わしめる、砂利や土煙とのマッチングを見よ!

 今さら説明するものでもないが、『GRヤリス』と言えばトヨタが2020年に満を持して送り出したスペシャリティコンパクトスポーツ。

 その開発系譜をたどれば、2017年シーズンに「我々トヨタは、世界ラリー選手権(WRC)に“復帰”ではなく新たに“参戦”させていただく」と宣言した豊田章男社長の言葉にたどり着く。

 苦心の’17年シーズンを超え、’18年には見事マニュファクチャラーズタイトルを奪取。名実ともに、海外でもトヨタワークスチームである『TOYOTA GAZOO Racing WRT』の名が認識されることとなった。

■トヨタラリーチームの国内認知度を上げるべく、あの男が立ち上がった

静かな安芸高田市内や、マツダのテストコースがある隣の三次市。もちろん広島市内や山陰地方からの観戦も多く、コロナ禍のルールは守りつつみんな久しぶりの祭りを満喫していた

 さて、海外では着実にファンを増やすトヨタのラリーチームだが、まだモータースポーツとお祭り的な側面が結び付かない日本においてその認知度は高くない。それを払拭しようと立ち上がったのが、豊田章男社長ではなく“モリゾウ選手”なのである。

 2011年にトヨタ86(ZN6)が発売されるや、すぐに86のラリーマシンで出走した事は記憶にも古くない。

 だが、元々モリゾウ&GAZOO Racingの活動を会社(トヨタ)は認めてくれたものではなかったという。当初は自分でアルテッツァの中古車を探してきて自腹でマシンとしての改造を施し、いわゆる社内の「モータースポーツ部」のような範囲で活動していたそうだ。

 そこから苦節10年。WRCやWECが盛りあがる一方で、忙しい本職の合間を縫って国内各地のお祭りとして定着させようと奔走したモリゾウ選手。

 開発にも携わったというGRヤリスで満を持しての出走で、’21年初戦となる『ラリチャレ安芸高田(広島)』ラウンドにおいて見事「クラス優勝」を飾ったという次第だ。

■快挙!? E-4クラスを制した走るCEO

シートを交換するとセンター軸がズレてしまう事案、これを2021年3月現在に唯一解決したのがBRIDE社製の純正シートレール。それを踏まえて、モリゾウGRヤリスにもいち早く採用されていた

 ラリー事情に詳しい方からのツッコミがある事も踏まえフォローをしておくと、レギュレーションなどの都合から今回は「GRヤリス専用のクラスはまだ未成立」となり、モリゾウ選手は【E-4クラス:トヨタ車限定(気筒容積1,501cc以上)】というカテゴリーへの出場となった。

 E-4クラスのエントリーは、ゼッケン101『AE111レビン』、同102『AE92 トレノ』。そして小倉クラッチ社長である小倉康宏氏が駆るゼッケン103『小倉クラッチGRヤリスーORC』と、モリゾウ選手の104号車『TGR MORIZO GRヤリス』の4台である。

(※モリゾウ選手の固定ゼッケンナンバーは104(トヨ)号車)

 真剣勝負の全日本ラリーや地区戦などに比べると多少のエキシビジョン要素はあるものの、クラス不成立による「賞典外」ではなく正式に成立したE-4クラスでの入賞。SSではトップタイムもいくつか叩き出し、クラス優勝として表彰されたのだから快挙と言ってよいのではないだろうか。

■サービス精神も満点の「最高の広報マン」

レッキに出発するモリゾウ選手。時刻は朝7時。山の中のサービスパークでマシンに既に乗るためには4時起床必至。ラリー関係者の朝は早いのだ!

 モリゾウ選手は決してプロドライバーを生業としている人物ではない。しかしながら、「クルマをカッコよく魅せる」という点においては全トヨタ最高クラスの広報マンでもある。

 SSのギャラリーステージにおいて、たびたびそのサービス精神を感じずにはいられない。勝つことよりも「魅せる」ことで、観客のどよめきを誘うシーンをこの10年幾度となく見た。

 業界関係者には「社長の道楽」、「殿の鷹狩り」と眉をひそめる人もいるのは事実だ。しかし1分単位でスケジュールが決まっている世界的な自動車メーカーの社長が、せっかくの休みにも早朝4時起きでサービスパーク入りしているのもこれまた事実。

 地元の有力者や他社の歴々とも挨拶をかわしながら、何より真剣に取り組んでいるラリーを「道楽」の言葉で済ませられるとは個人的には思えない。また、その活動を真剣にサポートしている人々がいることも忘れてはいけない。

 モリゾウ選手にばかり注目が集まり、「私はいいから、もっとクルマを撮ってよ!!」と強い声が響いたのを忘れられない現場関係者も少なくないだろう。立場によっていろいろな考えはあるかと思うが、モリゾウ選手の参加によって潤う経済もあるのだ。

■モータースポーツ業界を“モリゾウ”が動かす!

普段は地元のクルマ好きたちでにぎわう『TSタカタサーキット』には、ターマック(舗装路)を高速で駆け抜ける【SS2/4】が設けられた。「ありゃー、これがトヨタの社長さんじゃろ?」とみんな興味津々

 今回、広島という土地がら、マツダ関連のお仕事に従事する観客の方とふと立ち話をする機会があった。「トヨタの社長がくるんじゃろ? ありゃー、こういうのええね」 「三次のマツダの祭りも行くけども、負けてられん気になるよね」と、楽しそうにGAZOO Racingの旗を振っていた。

 モリゾウGRヤリスに押されて動き出した自動車業界関係者も少なくないだろう。老若男女にユメを与えて経済をも活性化させる、そんな2021年シーズンのラリチャレとモータースポーツ業界を心より応援したい。

【画像ギャラリー】世界初スクープ! トヨタ社長の手でGRヤリスがクラス優勝の走り

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みんなのコメント

52件
  • 会社のトップが車好きなら、今後も魅力的な車が出てくるのは間違いない
    他メーカーも見習った方がいい
  • この社長がいる限りトヨタは安泰だと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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