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誰が乗ってもロールス・ロイスと感じるEVが出来た理由。CEOが語るスペクターが目指した「あるべき姿」

掲載 更新 3
誰が乗ってもロールス・ロイスと感じるEVが出来た理由。CEOが語るスペクターが目指した「あるべき姿」

ロールス・ロイス「スペクター」は、電気自動車だからといって、これまでのICE車と大きくかけ離れたデザインや仕掛けは与えられていない。なぜなら、グッドウッドから送り出すべきは、斬新なEVではなく、あくまでロールス・ロイスであるべきだから。同社CEOはそう語る。

ロールス・ロイスならではの開発要件

ロールス・ロイスがEV開発でも貫く独自の流儀とは。CEOが語るスペクターが目指した「あるべき姿」

「ロールス・ロイスが手がけるBEVは、いかにもBEVでございというデザインである必要はありません」

そう語るのは、ロールス・ロイス・モーター・カーズのトルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOだ。最初はシリコンバレーも候補地だったけれど、顧客のライフスタイルとの相性がよりよい場所にしようと選ばれたというプレミアムワインの産地、ナパバレーでの試乗会でのインタビューにおける発言だ。

スタイルしかり、とミュラー=エトヴェシュCEOは続ける。

「BEVを開発しようと決定してから私の頭のなかにずっとあったイメージは、乗るひとに感動してもらえるスタイルがほしい、ということでした。そこでワーミング(デザイン統括)とディスカッションし、美しいファストバックのクーペこそ、ロールス・ロイス初のBEVにふさわしい、と決めました」

クーペ(本来はホイールベースを短く切り詰めた、という意味)といっても、きちんと4人の大人が乗れるパッケージングは重要というのも、スペクター開発当初からの要件だった。

ロールス・ロイスの調査によると、顧客の多くは、パーソナルな雰囲気の強いクーペを好んでも、それでも友人たちと4人でレストランに出かけるなどのスタイルを送れるクルマを欲しがっているそうだ。

顧客に提供したいロールス・ロイス像とは、よく書かれているように、従来からロールス・ロイスが大事にしてきた特徴を、きちんと備えているものだったそうだ。

「ロールス・ロイスでは、いくつもの要件があります。力の要らない操縦性であるエフォートレスドライビング、飛んでいるように路面からの衝撃を受けず、そして静かなマジックカーペットライド、それにワフタビリティと私たちが呼ぶ静かな水面を進んでいくような乗り心地とか。これらを、スペクターも継承するのが、私が開発陣に対して出した条件です」

目指したのはICE車と同じフィーリング

結果は、まさにミュラー=エトヴェシュCEOの要望どおりに仕上がった。スペクターがBEVと知らされないまま運転する機会をもったロールス・ロイス車のオーナーがいたとしたら、操縦性になんの違和感も抱かないにちがいない。

「開発総責任者を務めてくれたドクター・アヨウビは、私が何を求めているか、最初に“BEVを作ることになったよ”と電話したときに、すぐ理解してくれたようです。私のなかにも、彼のなかにも、もはやロールス・ロイス車のフィーリングが染みついていて、なので、何度もテスト車の試乗を繰り返すなかで、お互いの言いたいことはすぐにわかったんです」

とくにBEVは、エンジン車と車体構造が異なるし、重心位置もちがう。スペクターに乗った瞬間に驚くのは、102kWhもの大容量のプリズム型バッテリーのパックを搭載しているはずなのに、床面は低く、サイドシルも低いこと。従来のICEのロールス・ロイスそのままなのだ。

「同じような乗り心地を実現することに彼は苦労していましたが、どんどんよくなっていって、それに感心しました。私が欲しいものを彼はちゃんと与えてくれる。私たちは言ってみれば、魂でつながる兄弟みたいだなあと思いました」

Vol. 3につづく

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みんなのコメント

3件
  • フリーマントル・ハイウェイの火災はこれが原因か?
    出火元はBEVが濃厚らしいし、載っていたのはBMW、ミニ、ロールス、メルセデスが多かったらしいし。
  • どこかに「400年の使用を見込んで設計」とか書いてあった。驚きしかない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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