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【ヒットの法則265】フィアット グランデプントは実用に徹したイタリアンコンパクトらしさに溢れていた

掲載 更新 6
【ヒットの法則265】フィアット グランデプントは実用に徹したイタリアンコンパクトらしさに溢れていた

2006年6月にプントの事実上の後継車として登場したグランデプント(イタリアなどではプントも併売されたので、大きなプントと呼ばれた)。そして10月には、5ドア+2ペダルMTのデュアロジックが追加されている。グランデプントの真打ちと言われたこのモデルはどんな走りを見せたのか。試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年1月号より)

シンプルかつスポーティ、見事なまとまりを見せる5ドア
2006年6月に日本上陸を果たしたグランデプントは、当初、3ドアの1.4 16Vスポーツのみだった。95psのDOHC 16Vエンジン+6速MT+17インチタイヤの「スポーツ」はその名の通り元気が良かったが、「真打ち」は今秋追加される5ドアの1.4デュアロジックだった。その待望のデュアロジックが4グレードを以て販売が開始された。

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装備の違いでラインアップは標準モデル/メガ/ギガ/テラからなり、注目の価格は179/192/209/224万円となっている。1.4LのSOHC 8Vエンジンは77psで、これにパンダでおなじみのロボタイズドトランスミッションのデュアロジックが組み合わされる。

試乗に駆り出したのは最上級の「テラ」。メガ以上に標準のデュアルゾーン式フルオートエアコン、ギガ以上に標準のエレガントレザーシートやレザー仕上げのステアリング&シフトノブなどに加え、電動サンルーフのスカイドーム、フロントフォグランプ、レインセンサー、パーキングセンサー、15インチアロイホイールを備えた豪華バージョンだ。ここまでのフル装備となると224万円という価格にも納得させられる。

ジウジアーロとフィアット・チェントロスティーレの手になる5ドアボディは見事なまでのまとまりの良さを見せている。シンプルでありながらもスポーティさを忘れていないノーズ周り、Aピラー付け根まで切れ込んだウインドウグラフィックでウェッジを強調したサイドビュー、そしてハイテールランプとすることでプントたることを印象付けるテール周りと、Bセグメントにここまでデザインを取り込んでいるのは見事としか言いようがない。イタリア車ならではのカッコ良さがグランデプントには満ちている。

「スポーツ」に比べるとリラックスできるシートに収まる。正面のブラック基調のメーター、センターコンソールのデュアル式空調スイッチ、そして2ペダルのデュアロジックのシフトが「スポーツ」との大きな違いだ。シフトパターンはパンダ同様、左に倒せばギアが入り、さらに左へ倒せばMTとATの切り替が可能というもの。シフトは手前がダウン、奥がアップの5速シーケンシャルタイプだ。ATモード時にダッシュボード上のECOスイッチを押せば、早めのシフトアップによって経済走行が可能なのもパンダと同じである。電動パワステにシティモードが組み込まれているのは先代譲り。スイッチONでステアリング操作が軽くなり、パーキング時のステアリングの切り返しが楽になる。

走り出すとシフトスケジュールがスムーズなことに驚かされる。これはMTでもATでも同様で、パンダのようにつながる瞬間にアクセルを戻す必要がほとんどないのだ。パンダの228Fから328Fへと進化したデュアロジックのシステムに加え、エンジンキャパシティのアップに伴うトルク増や低めにセッされたギア比が功を奏しているに違いない。パンダとの大きな違いはATモード時のシフトアップが遅いこと。ギアをホールドする時間が長くパンダよりスポーティな設定になっている。早めのシフトを望む際はECOスイッチをONにすればいい。そう、その差が明確になったのである。

エンジンそのものは2000rpm辺りから十分なトルクを引き出す実用型で、高回転まで引っ張らずとも十分事足りるもの。高圧縮としているため実用域でのレスポンスはとってもいい。乗り心地は15インチのエコ系タイヤを履くため、スポーツのような硬さはなく、しっとりと落ち着いている。このしっとり感はコーナリングでも持続していて、足が突っ張ることなく粘るように安心してクリアできる。そう、すべてが実用に徹しているのだ。

グランデプントのデュアロジックの選択は悩ましい。標準モデルには素の良さがあるし、「メガ」でも装備的には十分な気がする。「ギガ」のレザー仕立ても魅力的だし、その上をいく「テラ」の豪華装備も捨てがたい。「真打ち」は待っていた甲斐ありだった。(文:河原良雄/Motor Magazine 2007年1月号より)



フィアット グランデプント 1.4デュアロジック テラ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4050×1685×1495mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1170kg
●エンジン:直4SOHC
●排気量:1368cc
●最高出力:77ps/6000rpm
●最大トルク:115Nm/3000rpm
●トランスミッション:5速AMT
●駆動方式:FF
●車両価格:224万円(2006年)

[ アルバム : フィアット グランデプント 1.4デュアロジック テラ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

6件
  • 今はMiToに乗ってますが、
    その前はグランデプントでした。
    超マイナーで全く話題に上らない車なので
    記事になってることが純粋に嬉しいです。
  • 非常に懐かしいです。
    私は2008年から約10年グランデプントを所有していました。
    まさしく写真の赤色でグレードはテラでしたね。
    坂道では気合を入れないと満足に登らなかったり、
    めったに他の方のグランデプントに遭遇することがなかったり、(それが狙い)
    この記事のカテゴリー「ヒットの法則」にかなりの違和感が・・・
    しかし、あのデザインは私にとって最高でしたね。
    しかも、想像していたほど壊れませんでした。
    今は海外赴任中ということもあり車を所有していませんが
    日本に帰国したら今世間ではマイナーなセダンにしようと興味深々です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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