成長がつづくSUV市場に
執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
9月14日。トヨタがカローラ・シリーズに、新型車「カローラ・クロス」を設定して発売した。
カローラは、1966年に初代が発売されて以来、世界150以上の国・地域で5000万台以上の累計販売台数を達成した、トヨタを、いや日本を代表するクルマの1台だ。
世界中のユーザーの期待やニーズを超える「プラスα」の思想をもとに、時代とともに変わるライフスタイルに合わせて、セダンからクーペ、ワゴン、ハッチバック、ミニバンなど、多種多様なモデルを生み出してきた。
今回のカローラ・クロスは、そんなカローラ・シリーズとしては初のSUV。すでに昨年にタイでワールドプレミアされ、タイをはじめ台湾などでも販売されて人気を博している。
日本市場へは、ハッチバック、セダン、ワゴンに続く、現行型カローラの4番目のボディタイプとして、世界的に好調なSUVスタイルが加わった形だ。
その狙いは、トヨタの国内向けSUVラインナップの中で、やや大型のRAV4/ハリアー、小型のヤリス・クロス/ライズとの間を埋めるミドルクラスにテコ入れすること。
このクラスにはC-HRがあるが、デビュー以来時間が経過しており、またC-HRはスペシャリティ的な要素が強いことから、より実用性の高いパッケージングのカローラ・クロスを投入したというわけだ。
もちろん、日本仕様は満を持して登場しただけあって、タイなどで販売されているモデルとは差別化が図られている。「カローラの価格でSUVを」と送り出されたカローラ・クロス。その概略を紹介していこう。
サイズ/最低地上高は?
カローラ・クロスのボディサイズは、全長4490×全幅1825×全高1620mm、ホイールベースは2640mm。
ちなみに、ワゴン版のカローラ・ツーリングは、全長4495×全幅1745×全高1460mm、ホイールベースは2640mm。
全長はほぼ変わらず、ホイールベースも同じだが、全幅はカローラ・クロスが80mmほど広げられ、全高はSUVらしく160mmも高い。
最低地上高も160mmとられており、セダン&ツーリングより30mm、ハッチバック(カローラ・スポーツ)より25~30mm高い。
そのスタイリングは、「アーバン・アクティブ」をデザインコンセプトとして、SUVらしいダイナミックで洗練されたエクステリアに。
太い金属調加工で縁取られた大型グリルを下方に配置したフロントマスクは、タイや台湾で発売されたものとは別デザインで、SUVらしい逞しさを表現。LEDのデイタイム・ランニングライトを中央に配して、4眼のターンライトを備えたヘッドライトも、日本仕様専用のものだ。
サイドではフロントからリアへと抜けていく軸を通し、前後から絞り込まれるように入ったキャラクターラインがボディとタイヤまわりのメリハリを作って個性的だ。黒い樹脂製の前後フェンダーアーチやサイドシルプロテクターも、SUVらしさを強調。
リアビューは、絞られた上部と安定感のある下部のコントラストが、タイヤを地面に踏ん張らせる印象を強め、SUVに求められる逞しさを表現している。
実用性&パッケージ
SUV=スポーツ・ユーティリティ・ビークルならではの高いユーティリティも、カローラ・クロスのセリングポイントの1つだ。
背の高いボディスタイルを存分に活かして、室内は見晴らしのいい視界の高さを確保するとともに、頭上空間にもゆとりを設けた。それゆえ、どの席に座っても、あらゆるシーンで快適に過ごせる室内空間を実現。
フロントシートはカローラツーリングより55mmも高いアイポイントに加え、細いフロントピラーとすっきりしたインストゥルメントパネルによって見切りが良い。
リアシートはクラストップレベルの開口部の高さ(上下に787mm)によって乗り降りがしやすく、リクライニング機能も備えて十分な居住性・快適性を備える。
ラゲッジスペース容量は、5人乗車時でもクラストップレベルの487L(VDA)を実現。
分割可倒式のリアシートバックを全倒すれば、ロードバイクの積載が可能なほどスペースは広がる。
バックドアの開口部は地面から720mmの高さに設定され、小柄な人でも楽に荷物の積みおろしが可能。最上位グレードの「Z」にはハンズフリー・パワーバックドアも設定され、キーを携帯していればリアバンパー下に足を出し入れするだけでバックドアの開閉ができる。
オプション設定のラゲッジ・アクティブボックスは、荷物が車外から見えない状態で収納でき、フタを閉じるとラゲッジフロアとフラットにできるなど、多彩な荷室アレンジが可能だ。
内装 これが日本仕様の車内
外観はカローラ・セダン、ツーリング、スポーツとはかなり異なるカローラ・クロスだが、内装はシリーズの他モデルとの共通性が見られる。
インストゥルメントパネルは水平基調のすっきりとしたデザインに。
パネル上面からドアのベルトラインまでフラットにつなげることにより、前方から横まで見渡しやすい。連続性のあるデザインは、室内空間に広がりを感じさせる。
室内照明にはすべてLEDを採用するなど、カジュアルな雰囲気の中に上質かつ洗練された質感のインテリアを実現した。
エントリーグレードとなる「G X」以外では、ステアリングホイールとシフトノブは本革巻き、ステアリングホイールにはオーディオやクルーズコントロールなどのスイッチが備わる。
上位グレード「Z」、中間グレードの「S」には7インチのカラーTFTマルチインフォメーションディスプレイ付きオプティトロンメーターが備わるなど、インターフェイスも充実している。
また、「G X」以外のフロントシートには、スリムな背面部と高いホールド性を両立したスポーティなシートを採用した。
日本だけのパワートレインも
パワートレインは、1.8Lの直4 ガソリンエンジンと、これをベースにしたユニットにモーターを組み合わせたハイブリッド(THS-II)の2種。
ガソリンエンジンは2ZR-FAE型と呼ばれ、最高出力は140ps/6200rpm、最大トルクは17.3kg-m/3900rpmを発生。トランスミッションはスーパーCVT-iを組み合わせ、駆動方式は2WD(FF)のみとなっている。
ハイブリッドのエンジンは2ZR-FXE型で、最高出力は98ps/5200rpm、最大トルクは14.5kg-m/3600rpmを発生。これに、72ps/16.6kg-mを発生するモーターを組み合わせる。
こちらのトランスミッションは電気式無段変速機。駆動方式はFFが基本だが、四輪駆動車として後輪に7.2ps/5.6kg-mを発生するモーターを装備した「E-Four」も設定されている。
ハイブリッドとE-Fourの組み合わせは、日本仕様のみの設定だ。
TNGAによるGA-Cプラットフォームを採用し、高剛性のボディが車高の高さを感じさせない優れた操縦安定性に寄与。吸音素材も最適配置され、静かで快適な室内空間に。
サスペンションは、前がマクファーソンストラット式。後ろは、2WDでは新開発のトーションビーム式となり、大型ゴムブッシュと合わせて悪路でもしなやかな走りを実現。E-Fourのリアサスは、ダブルウイッシュボーン式となる。
最小回転半径はクラス最小レベルの5.2mで、狭い道・駐車場などでの取回しも軽快に行えるという。
装備/ADAS
ADASとして、日常のあらゆるシーンでドライバーを支援する最新の「トヨタ・セーフティセンス」を全グレードに標準装備。
パーキングサポート・ブレーキとバックガイドモニターも、エントリーグレードの「G X」を除く全グレードに標準装備して、駐車場などの狭い場所でも安心して運転ができる。さらに、障害物の有無にかかわらずペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポート機能をオプション設定した。
ハイブリッド車では、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)と非常時給電モードをオプション設定。
これは、停電など非常時には車両駐車状態で「非常時給電モード」にすると、電気ポット/ドライヤーなどの家電製品が使用できる非常用電源になるもの。
また、ガソリン車/ハイブリッド車とも、通常の走行時には車内のUSB端子を通じてスマートフォンなどの電子機器の充電が可能だ。
AVやコネクテッド関連では、7インチのディスプレイオーディオ(4スピーカー)やDCM(専用通信機)を全グレードに標準装備。上位の「Z」と中位の「S」グレードでは、9インチのディスプレイオーディオ(6スピーカー)がオプション設定される。ナビキット連動のETCユニットなど、オプションは豊富に揃えられている。
さらに、「Z」と「S」グレードには開放感抜群のパノラマルーフもオプション設定。大きなガラス面が開放的な視界をもたらし、電動ロールシェードも備わって日差しのコントロールも可能だ。
価格/発売日
カローラ・クロスの発売日は、ガソリン車/ハイブリッド車ともに9月14日。
生産は愛知県の高岡工場で行う。月販の基準台数は4400台と発表された。
税込み車両価格は、以下の通りだ。エントリー価格は199万9000円となっている。
ガソリン車
G X:199万9000円
G:224万円
S:240万円
Z:264万円
ハイブリッド車
G(FF):259万円
G(E-Four):279万9000円
S(FF):275万円
S(E-Four):295万9000円
Z(FF):299万円
Z(E-Four):319万9000円
スペック
カローラ・クロス(日本仕様)のハイブリッド車で上位グレードとなる「カローラ・クロスZ」のスペックは、以下の通りとなっている。
トヨタ カローラ・クロスZ(2WD) 主要諸元
車両価格:299万円
全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm
ホイールベース:2640mm
車両重量:1410kg
ドライブトレイン:1797cc直4+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
最高出力(エンジン):98ps/5200rpm
最大トルク(エンジン):14.5kg-m/3600rpm
最高出力(モーター):53kW(72ps)
最大トルク(モーター):16.6kg-m
駆動方式:2WD(FF)
燃料:ガソリン
燃料タンク容量:36L
WLTCモード燃費:26.2km/L
タイヤサイズ:225/50R18
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みんなのコメント
ダサくたって
いいじゃないか
日本仕様だもの
あきを
下請けも泣いている