国産SUVの歴史は意外にも20年以上。そんななかで今、「国産第2世代SUV」とも呼ぶべき新しいSUVが登場ししのぎを削っている。
ここではそんな新世代のSUVから20台を厳選。自動車評論家 清水氏と岡本氏、2人が「いいSUV度数」を100点満点で評価する。
デビュー時は4万台超受注! トヨタ イストが犯した小さくて大きな命取り【偉大な生産終了車】
気になってるあのSUV、ズバリ「いいSUV」なのか、それとも……? 2人の評価の分かれ具合も見もの!
※本稿は2021年3月のものです
文/清水草一、岡本幸一郎、渡辺陽一郎 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年4月26日号
【画像ギャラリー】ヤリスクロス、ハリアー、キックス…厳選新世代SUV20台をギャラリーでチェック!!!
■トヨタ・ダイハツ
●トヨタ ヤリスクロス(179万8000~281万5000円)
・清水草一の評価…間違いなくいいSUVだ。というより「いい乗用車」「いい実用車」と言ったほうがいい。ヤリスハイブリッドの走りと燃費は強烈だけど、さすがに後席やラゲッジが狭すぎる。しかし、ヤリスクロスならすべてOK。今時イケてるSUVだし、ルックスもかなりイイ!(いいSUV度数:92点)
・岡本幸一郎の評価…このクラスでいち早く電動シートや電動テールゲート、3分割可倒式リアシートを採用したのはポイント高い。半面、舗装路での走りは全体的にもう一歩。多くを求めなければ問題なく、ヤリスの+αとして見れば上出来ではあるが、SUVとしての実力は微妙……(いいSUV度数:73点)
トヨタ ヤリスクロス(179万8000~281万5000円)…全長4180×全幅1765×全高1590mm。1.5L直3+モーター/出力:91ps、12.2kgm+85.3ps、19.7kgm
●ダイハツロッキー/トヨタライズ(167万9000~236万7200円)
・清水草一の評価…お値段を考えたら、実にコスパの高いSUVです。4WD&豪華装備の一番高いグレードでも236万円! そのわりにシャシーもエンジンもとってもいいんだよね(いいSUV度数:87点)
・岡本幸一郎の評価…小さいながらSUVらしい存在感があり、室内も充分な広さでコスパもまずまずと商品力は高いが、乗り味は全体的に粗削り。鳴り物入りの電制4WDももう少しすばやく応答してほしい(いいSUV度数:70点)
ダイハツロッキー/トヨタライズ(167万9000~236万7200円)…全長3995×全幅1695×全高1620mm。1L直3/出力:98ps、14.3kgm
●トヨタ C-HR(238万2000~314万5000円)
・清水草一の評価…デザインを優先した、非常にすばらしいSUVなれど、そのデザインの新鮮味が薄れ、早くも古臭く見えてきた。デザインの時間的耐久性が足りなかったか……(いいSUV度数:75点)
・岡本幸一郎の評価…もともと一発屋として企画された奇抜さがウリのクルマであり、強いて分類するとSUVになるだけの話なので、SUVとしての実力はそれなり。ただし舗装路での走りは秀逸(いいSUV度数:65点)
トヨタ C-HR(238万2000~314万5000円)…全長4385×全幅1795×全高1550mm。1.8L直4+モーター/出力:98ps、14.5kgm+72ps、16.6kgm
●トヨタ RAV4(274万3000~402万9000円)
・清水草一の評価…多くの人が絶賛してるけれど、デザインも走りも、少なくとも舗装路を普通に走るかぎり、どこにも引っかかるところがない。ぜんぜん面白くない! サイズも大きすぎる(いいSUV度数:50点)
・岡本幸一郎の評価…ガチなSUVっぽくなった現行型は、見た目から想起するとおりSUVとしての資質にも磨きがかかった。あえて3タイプもの4WDシステムを用意した理由も乗ると納得の思い(いいSUV度数:96点)
トヨタ RAV4(274万3000~402万9000円)…全長4600×全幅1855×全高1686mm。2L直4/出力:171ps、21.1kgm
●トヨタ ハリアー(299万~504万円)
・清水草一の評価…レクサスいらずのステキなスペシャルティSUV。中身よりパッと見を優先したような作りながら、中身もしっかり充実してる。こりゃ参りました。脱帽です(いいSUV度数:88点)
・岡本幸一郎の評価…SUVのひとつの方向性として、多少は利便性を犠牲にしても、こんなにオシャレになったのだから、それはそれで大いにアリでしょう。納期に時間がかかるのも納得だ(いいSUV度数:92点)
トヨタ ハリアー(299万~504万円)…全長4740×全幅1855×全高1660mm。2.0L直4/出力:171ps、21.1kgm
■スバル
●スバルXV(220万~292万6000円)
・清水草一の評価…コンパクトでスタイリッシュで価格も手頃で、個人的にはスバル車のなかで一番魅力的に見える。ただ、パワートレーンはまったく魅力に欠ける。とっても惜しいなぁ(いいSUV度数:81点)
・岡本幸一郎の評価…内容的にはハッチバック+αであり、とっつきやすいSUVでもある。走破性もけっこう高い。他社にはありそうでないタイプのクルマで、スバルだからこそ絵になる印象(いいSUV度数:85点)
スバルXV(220万~292万6000円)…全長4485×全幅1800×全高1550mm。2L水平対向4+モーター/出力:145ps、19.2kgm+13.6ps、6.6kgm
●スバル フォレスター(291万5000~328万9000円)
・清水草一の評価…今のフォレスターはあまりにも魅力がない。e-POWERも1.8Lターボも眠すぎる! しかも燃費が期待外れ! スバルらしさを求めるなら、先代の中古車がイイな(いいSUV度数:55点)
・岡本幸一郎の評価…今やかえって新鮮に感じられるSUVらしい定番的なフォルムが身上。オンオフ問わず走行性能に優れ、SUVとしての機能も申しぶんなし。新設定の「スポーツ」が妙味(いいSUV度数:93点)
スバル フォレスター(291万5000~328万9000円)…全長4625×全幅1815×全高1715mm。1.8L水平対向4/出力:177ps、30.6kgm
■マツダ
●マツダ CX-5(267万8500~343万2000円)
・清水草一の評価…非常にスタイリッシュでステキなSUVだと思います。通好みの一台です。ただ、すべてがよくできていて自然体すぎて、走りに刺さる部分はあんまりありません(いいSUV度数:83点)
・岡本幸一郎の評価…改良を重ねて走りの洗練度は申しぶんなし。SUVとして充分な利便性を備えながら、これほどオシャレであることや、完成度の高いディーゼルが選べるのもポイント高い(いいSUV度数:91点)
マツダ CX-5(267万8500~343万2000円)…全長4545×全幅1840×全高1690mm。2.5L直4/出力:188ps、25.5kgm
●マツダ CX-8(337万7000~483万4500円)
・清水草一の評価…スタイリッシュなエクステリアに、堂々たるロングホイールベースを与えられた3列シートのSUV。ディーゼルモデルならどこまでも走って行けそう。おおらかでステキ(いいSUV度数:89点)
・岡本幸一郎の評価…3列目は非常用ではなく、外見から想像するよりも広くて、しっかり使える広さが確保されている。3列シート化に併せて剛性の向上も図られていて完成度はさらに高い(いいSUV度数:95点)
マツダ CX-8(337万7000~483万4500円)…全長4900×全幅1840×全高1730mm。2.2L直4ディーゼル/出力:200ps、45.9kgm
●マツダ CX-30(329万4500~371万3600円)
・清水草一の評価…ちょうどいいサイズの、クーペライクなカッコいいSUVなれど、CX-5同様、走りは個人的にあまり刺さらない。とにかく見た目が勝負ということになりますか(いいSUV度数:79点)
・岡本幸一郎の評価…上級車種よりさらにスタイリッシュな外見がポイント。居住性や実用性もまずまず。SUVテイストは薄めなところがむしろ持ち味。まもなく改良されることを見込んで採点(いいSUV度数:84点)
マツダ CX-30(329万4500~371万3600円)…全長4395×全幅1795×全高1540mm。2L直4/出力:190ps、24.5kgm
●マツダ MX-30(Mハイブリッド)242万~265万6500円
・清水草一の評価…EVモデル同様、乗り味は非常にいい。それにしてもこの観音開き、全然スタイリッシュじゃないし、ただ不便なだけ。特徴を出すならほかの方法でトライしてほしかった(いいSUV度数:69点)
・岡本幸一郎の評価…報じられているとおりの内容で、SUVとしてはかなり変化球な存在。使い勝手としては一長一短だが、ハマる人も少なくないはず。電動テールゲートの設定がないのが難点(いいSUV度数:79点)
マツダ MX-30(Mハイブリッド)242万~265万6500円…全長4395×全幅1795×全高1550mm。2L直4+モーター/出力:156ps、20.3kgm+6.9ps、5.0kgm
●マツダ MX-30 EV(451万~495万円)
・清水草一の評価…このクルマはすごく評価が難しい。すべてがとっても自然で、EVとしては世界最良の乗り味を持っているけれど、いかんせんEVの命である航続距離が……。そのわりに価格はどうにも高すぎる。光る一芸は持っているが、いかんせん、これじゃ買えない(いいSUV度数:70点)
・岡本幸一郎の評価…マイルドハイブリッドの動力源だけ載せ替えたクルマを想像していたら、ドライブフィールがまったく違い驚いた。こんなに素直に動いてスムーズに走るなんて内燃機関では絶対ムリ。ただ、2WDのみの設定で悪路走破性は未知数。「SUVとしてどうか」で採点すると少々伸び悩む(いいSUV度数:83点)
マツダ MX-30 EV(451万~495万円)…全長4395×全幅1795×全高1565mm。定格出力:80.9kWモーター/出力:145ps、27.5kgm
■日産・三菱
●日産 キックス(275万9900~286万9900円)
・清水草一の評価…いい乗用車なんだけど、大きな弱点がある。まず、ルックスがどこか古臭くてイケてないこと。加えて値段が高いこと。見た目と価格設定がダメってことは、「悪いSUV」と言ってしまってもいいでしょうかね? e-POWER含め、ハードは申しぶんないんだけれど(いいSUV度数:65点)
・岡本幸一郎の評価…クルマ自体は本当によくできていて驚いた。走りは洗練されているし、車内や荷室の広さも充分確保されていて高級感もある。価格が高めなのも納得だ。ただし、e-POWERの2WDのみという割り切りがSUVとしては物足りないのは否めず。ノートには4WDもあるのに(いいSUV度数:80点)
日産 キックス(275万9900~286万9900円)…全長4290×全幅1760×全高1610mm。1.2L直3+モーター/出力:82ps、10.5kgm+129ps、26.5kgm
●三菱 エクリプスクロスPHEV(384万8900~447万7000円)
・清水草一の評価…EV系のなかでは、価格も含めて相当魅力的。バッテリー容量はかなり大きいし、何よりエンジンが付いてるから、ピュアEVはムリでもこれなら安心して乗れる。自宅に充電設備があればかなりいい感じ。もう少しコンパクトならなおいいんだけど(いいSUV度数:83点)
・岡本幸一郎の評価…驚くほどハイレベルな走り。SUVとしての利便性や走破性も申しぶんなし。しかも出先で家電まで使えてしまう。リフレッシュされたルックスもなかなかよい。これで長旅に備えて先進運転支援装備のステアリング制御と、重いテールゲートが電動開閉があれば文句ナシ(いいSUV度数:97点)
三菱 エクリプスクロスPHEV(384万8900~447万7000円)…全長4545×全幅1805×全高1685mm。2.4L直4+モーター/出力:128ps、20.3kgm+前82ps、14.0kgm/後95ps、19.9kgm
■ホンダ
●ホンダ CR-V(336万1600~455万8400円)
・清水草一の評価…全世界で大ヒットしているSUVだけれど、日本で買えるハイブリッドモデルは、ひたすら眠いし値段も高いし、なにひとついいところが見つけられません。ダメ(いいSUV度数:30点)
・岡本幸一郎の評価…日本ではヴェゼルの陰に隠れるが、米中でベストセラーとなったほどなので実力は相当に高い。広く快適で上質。特にハイブリッドがイイ。4WD性能も実は望外に高い(いいSUV度数:94点)
ホンダ CR-V(336万1600~455万8400円)…全長4605×全幅1855×全高1680mm。2L直4+モーター/出力:145ps、17.8kgm+184ps、32.1kgm
■スズキ
●スズキ クロスビー(180万5100~220万7700円)
・清水草一の評価…ひょうきんでステキなSUVです。こういうSUVがいてくれると、バラエティ的にありがたいです。でも……、これならハスラーでいいと思ってしまう面もあります(いいSUV度数:75点)
・岡本幸一郎の評価…SUVの派生というより、SUVテイストのハイトワゴンという感じの作り。そこがイイという人のためのクルマだから、それで問題ない。使い勝手のよさはかなりのものだ(いいSUV度数:67点)
スズキ クロスビー(180万5100~220万7700円)…全長3760×全幅1670×全高1705mm。1L直3+モーター/出力:99ps、15.3kgm+3.1ps、5.1kgm
●スズキ ジムニーシエラ(179万3000~205万7000円)
・清水草一の評価…シエラはスーパースターだ。もうオーラが違う。Gクラスにも勝てる! 光り輝いてる! カッコよすぎる。なにもかもが……最高。これぞSUV。世界の頂点だべ(いいSUV度数:100点)
・岡本幸一郎の評価…ワイドトレッドとタイヤ、排気量を増した自然吸気エンジンにより、小さな本格派であるジムニーのポテンシャルをさらに引き出している。室内や荷室が狭いのはしかたなし(いいSUV度数:88点)
スズキ ジムニーシエラ(179万3000~205万7000円)…全長3550×全幅1645×全高1730mm。1.5L直4/出力:102ps、13.3kgm
●スズキ ジムニー(148万5000~187万5500円)
・清水草一の評価…世界の頂点なんだけど、シエラと並べると、オーバーフェンダーのぶん負ける。ほかに敵はいない。ジムニーは唯我独尊! 私ごときが申し上げることはありません(いいSUV度数:99点)
・岡本幸一郎の評価…小さくても悪路走破性は世界屈指! 内容的には究極的に硬派なSUVだ。それだけで大きな存在価値がある。このクルマを求める層への期待には充分すぎるほど応えている(いいSUV度数:86点)
スズキ ジムニー(148万5000~187万5500円)…全長3395×全幅1475×全高1725mm。0.6L直3/出力:64ps、9.8kgm
■レクサス
●レクサスUX(ガソリンモデル)397万3000~482万8000円
・清水草一の評価…C-HRのデザインは刺さったけど、このデザインはまったく刺さらない。しかも、荷室の狭さに呆然としました! これは間違ったスペシャルティSUVです。イカンです(いいSUV度数:30点)
・岡本幸一郎の評価…末弟らしくハッチバック+αにあえて抑えた感じ。ゆえに後席も荷室も狭め。でもそれでよい。SUVというよりプレミアムコンパクト。SUVとして云々するクルマじゃない(いいSUV度数:70点)
レクサスUX(ガソリンモデル)397万3000~482万8000円…全長4495×全幅1840×全高1540mm。2L直4/出力:174ps、21.3kgm
●レクサスRX(524万~642万円)
・清水草一の評価…事実上、ラグジュアリーSUVの頂点に君臨しているのではないでしょうか。輸入SUVにだって勝てる快適性やおもてなし感。レクサスのすべてがここに凝縮されている(いいSUV度数:90点)
・岡本幸一郎の評価…日本車としてはかなり高価な部類に入るが、実用性とステイタス性を兼ね備えていて、欲しい人は買う価値の大いにある一台。マイナーチェンジを経て、別物になった(いいSUV度数:92点)
レクサスRX(524万~642万円)…全長4890×全幅1895×全高1710mm。3.5L V6/出力:262ps、34.2kgm
【番外コラム】これも気になる3列シートSUVとして使える!?
ミニバンは床が平ら。だから3列目シートの床と座面の間隔も相応に確保され、自然な姿勢で座れる。が、SUVでは3列目の床が燃料タンクのために2列目よりも持ち上がる。床と座面の間隔が乏しく、膝を抱える窮屈な姿勢になる。
そのうえで比べると、SUVの3列目で最も快適な車種はCX-8だ。床が高く膝が持ち上がる姿勢になるが、2列目を前方にスライドさせると3列目に大人がムリなく座れる。
CX-8
座面も柔軟で座り心地は悪くない。3列目の居住性をミニバンに当てはめると、シエンタやフリードと同等か少し下がるが、片道45分の距離なら多人数乗車にも対応できる。
次点はCR-V。3列目の足元空間はCX-8より少し狭いが、2列目を前方にスライドさせると大人が辛うじて座れる。3列目の乗員の足が2列目の下側に収まり、片道30分程度の距離なら多人数乗車も可能だ。
CR-V
3番手、ランドクルーザーは床がかなり高く、ボディは大柄でもCR-Vより窮屈という感じ。
ランドクルーザー
最後の4番手のエクストレイル。こちらはさらに3列目は狭く、大人が座るには正直厳しい。……この先、CX-8のようなSUVがもう少し欲しい。そう感じる。
エクストレイル
(TEXT/渡辺陽一郎)
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みんなのコメント
肝心の走行性能については一切触れないw
唯一はRXかな
国産の場合は実際の価格より高そうに見える 高級ではなく高級感が好きな日本人向けなので見た目重視
SUVやクーペなど遊びクルマは国産には無理