街頭のタクシーも、つかまりづらくなる?
2019年現在、スマートフォン向けの様々なタクシー配車アプリが登場していますが、その使い方について、業界が一般ユーザーに対し注意を呼び掛けています。
タクシー、「迎車」と「予約」なにが違う? 「10分後に来て」はどっちになるのか
東京ハイヤー・タクシー協会は2019年7月、ウェブサイトに「スムーズな配車にご協力ください」と題したチラシを掲載しました。複数のアプリで同時に配車申し込みを行ったのち、いちばん早く来たタクシーに乗ってあとは無断キャンセルしたり、配車申し込みをしているのに、偶然通りかかった別のタクシーに乗車したりする例が増えているといいます。
「お迎えにあがってもお客様がいない、というのは、乗務員にとって時間のロスにつながります。1秒でも早く帰りたいというお客様のお気持ちもわかりますが、マナーも考えていただければと思います」(東京ハイヤー・タクシー協会)
配車アプリ「JapanTaxi」を運営するJapanTaxi(東京都千代田区)によると、アプリからの配車申し込みは、設定された乗車位置の近くを走るタクシーに注文が入り、それを乗務員が承諾して予約が成立するそうです。乗務員は「迎車」に切り替えて予約者のもとへ向かいますが、このあいだは、ほかの客を乗せることができません。
「迎車のキャンセルはタクシーにとって営業損失になるだけでなく、そのあいだ空車の台数が減ることになるため、『街頭でタクシーがつかまりづらい』という状況にもつながります」(JapanTaxi)
なお、無断キャンセルが特に多いのは、ニーズが高まる朝の出勤時間帯や夜の退勤時間帯で、日常的に起こっているそうです。JapanTaxiでは、アプリからの配車キャンセルが続くユーザーに対し、配車サービスの利用を制限する場合があるとしています。
懸念されるドライバーの「タクシー配車アプリ離れ」 対策はあるのか?
JapanTaxiは、こうした無断キャンセルが将来的に、アプリの機能性にも影響してくることを懸念しています。「アプリはキャンセルが多い」「無駄な走行が増える」と考える乗務員の「アプリ離れ」が広がり、配車のマッチングが成立しづらくなる恐れがあるというのです。
このためJapanTaxiでは、ユーザーとのあいだで通話やメッセージでやり取りする機能を備えた乗務員向けタブレット端末の配置を、順次拡大しているといいます。
このタブレットを搭載したタクシーと予約が成立した場合、たとえばドライバーからは「3分遅れます」、ユーザーからは「乗車場所で車両を探しています」といったメッセージのやり取りが可能に。「あと何分程度で着くかをお客様へ事前にお伝えできるほか、指定した場所で車両をなかなか見つけられない、といったケースの解消にもつなげます」とJapanTaxiの担当者は話します。
ちなみに、アプリからの配車申し込みは前出の通り、指定された乗車位置の近くを走るタクシーに直接注文がきます。東京ハイヤー・タクシー協会によると、「場所にもよりますが、仮に主要駅の近くであれば、複数の配車予約を同時に行っても到着時間に大差はないでしょう」とのことです。
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