■自民・公明両党は「令和7年度与党税制改正大綱」を発表
2024年12月20日、自民・公明両党は「令和7年度与党税制改正大綱」を発表しました。
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自動車ユーザーや業界に関係する部分では、どのような内容が盛り込まれているのでしょうか。
今回の「令和7年度与党税制改正大綱」では、「将来に夢や希望と安心を持てる、公正で活力ある社会を目指すための税制」を構築することを基本として以下の3点を踏まえた措置が講じられています。
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(1)持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること。(設備投資の促進等)
(2)若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること。(所得向上、社会インフラの整備等)
(3)わが国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと
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具体的には物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除等を見直すとしています。
さらに就業調整対策の観点から、大学生年代の子等に係る新たな控除の創設、スタートアップへの投資促進。
「資産運用立国」の実現に向けた環境整備、地方創生や活力ある地域経済の実現に向けた取り組み、子育て支援税制の拡充等を行っていくとしています。
さらには昨今話題となっている自公両党と国民民主党の幹事長間で合意した「103万円の壁」を国民民主党が主張する178万円を目指して来年から引き上げること。
そして自動車ユーザーと業界に大きな影響がある「ガソリンの暫定税率」を廃止することについて、大綱に明記され「自公両党として引き続き真摯に協議を行っていく」としています。
ではその他の部分では、具体的にどのような内容があったのでしょうか。
「令和7年度与党税制改正大綱」の中から自動車ユーザーや業界に関連する部分を見ていきます。
まず「第一 令和7年度税制改正の基本的考え方」では以下のように記載されています。
「『基幹産業』としてわが国経済を牽引する自動車産業は、技術面や国際環境など、大きな変化を迎えている。
こうした中、自動車関係諸税の見直しについて、わが国の技術的優位性を踏まえた『マルチパスウェイ』等の自動車戦略や国・地方の安定的な財源確保、カーボンニュートラル目標等を踏まえ、今後、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく」
また前述の2024年12月11日に自由民主党、公明党及び国民民主党の幹事長間で以下の合意があったことも明記されています。
「ー、いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する。
上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」
さらに同じく「第一 令和7年度税制改正の基本的考え方」の「4.自動車関係諸税の総合的な見直し」では以下のように明記されています。
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(1)見直しに当たっての基本的考え方
自動車関係諸税については、日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望等を踏まえるとともに、「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に積極的に貢献するものでなければならない。
1. CASEに代表される環境変化にも対応するためのインフラの維持管理・機能強化の必要性、地域公共交通のニーズの高まり等を踏まえつつ、自動車関係諸税全体として、国・地方を通じた安定的な財源を確保することを前提とする
2. わが国のマルチパスウェイ戦略の下で、多様な動力源(パワートレイン)が併存していくことを踏まえた税制とする
また、わが国の自動車産業を取り巻く国際環境の変化を踏まえ、補助金等も活用しつつ、市場活性化や産業基盤の維持発展に配慮するとともに、電費改善等のイノベーションを促し、質の高い電気自動車等の普及に資する税制とする
3.二酸化炭素排出量抑制により、脱素化に向けた取組みに積極的に貢献するものとする
4.自動車関係諸税を負担する自動車ユーザーの理解にも資するよう、受益者負担・原因者負担といった課税の考え方や、これまでの沿革等を踏まえつつ、使途の明確化を図るとともに、受益と負担の対応関係を分かりやすく説明していく
その際、中長期的には、データの利活用による新たなモビリティサービスの発展等、自動車の枠を超えたモビリティ産業の発展に伴う経済的・社会的な受益者の広がりや保有から利用への移行等も踏まえるとの考え方を踏まえつつ、公平・中立・簡素な課税のあり方について、中長期的な視点から、車体課税・燃料課税を含め総合的に検討し、見直しを行う。
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(2)車体課税の見直し
車体課税については、カーボンニュートラルの実現に積極的に貢献するものとすべく、国・地方の税収中立の下で、取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る。
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(3) 利用に応じた負担の適正化に向けた課税の枠組み
異なるパワートレイン間の税負担の公平性や将来に向けた安定的な財源確保、ユーザーの納得感の観点から、利用に応じた負担について、使途、執行・関係技術等を踏まえ検討し、課税の枠組みについて、令和8年度税制改正において・結論を得る。
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この大綱における自動車業界に関連する部分については、かねてから日本自動車工業会(以下自工会)が要望していた内容が概ね反映されているようです。
こうした大綱を受けて自工会の片山正則会長は次のように述べています。
「令和7年度税制改正において、自動車産業を取り巻く環境の激変や、減少傾向に歯止めがかからない国内市場の厳しい状況、熾烈を極める国際競争など、自動車業界が置かれている現状に十分目配りいただきながら、自動車関係諸税見直しの方向性を取り纏めていただいた関係者の皆さま方のご尽力に、深く感謝申し上げます。
今回の税制改正大綱で、当会が車体課税に関して強く主張してきた『国内市場活性化の観点からの取得時の負担軽減』や『自動車の重量及び環境性能に応じた保有課税の税負担のあり方』について、見直すことが明確に示されたことは大きな前進であると受け止めております。
当会としては、今回の大綱を踏まえて、具体的な制度設計などの検討を進め、政府・与党をはじめ、関係者の皆さまと議論を積み重ねながら、自動車ユーザーが納得する新たな時代に相応しい自動車税制が確立されるよう、取り組んでまいります」
※ ※ ※
なお今回の大綱(車体課税の見直し部分)では、自動車の取得時における負担軽減等の課税のあり方について「消費税に一本化」「環境性能割の廃止」といった具体的な内容はないものの「見直す」という文言が入っていました。
こうしたことから来年(令和7年)は、これまで大きな動きがなかった自動車関連税制に関して、議論を進める重要な1年となるかもしれません。
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