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バイクで世界初の水冷90度V型4気筒エンジン搭載 ホンダ「VF750マグナ」は近未来クルーザーだった

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バイクで世界初の水冷90度V型4気筒エンジン搭載 ホンダ「VF750マグナ」は近未来クルーザーだった

高性能クルーザーという未来を切り開いた

 2輪史上世界初の水冷90度V型4気筒エンジンを搭載したホンダ「VF750」シリーズが発売されたのは1982年4月でした。高級ロードスポーツ車の「VF750 SABRE(セイバー)」と、アメリカンスタイルの「VF750 MAGNA(マグナ)」の2台が同時発表・発売となり、同年12月にはスーパースポーツモデルの「VF750F」も発売されます。

【画像】かっこいい! ホンダ「VF750 MAGNA」(1982年型)の画像を見る(10枚)

「VF750」シリーズの発売から遡る事13年前、世界を驚かせた「CB750 FOUR(フォア)」の並列4気筒エンジンでしたが、日本の各バイクメーカーも次々と4気筒エンジン搭載車を発売し、ホンダはDOHC16バルブの4気筒エンジン搭載車を市場に送り込みますが、他車と大きな差別化ができませんでした。

 さらに海外向けには並列6気筒エンジンの「CBX」を発売しますが、他社から水冷の6気筒エンジンが登場します。この時期、ホンダは4輪車事業に注力しており、大型バイクの市場で決定的なアドバンテージを築けなかったと言われています。

 さて、現在でもホンダが生産する大型バイクの約3割は北米市場に輸出されています。その北米のユーザーにバイクを販売する現地法人が、アメリカンホンダです。彼らが「アメリカ人が欲しがる大型バイクを作って欲しい」というのは当然の要求です。

 そこで、アメリカ人が好むV型エンジンと、新時代の高性能4気筒エンジンが組み合わされて、他メーカーには真似できないV4エンジンが開発されました。

 ホンダ初のV型エンジンは、4輪のF1エンジン用に開発されたV型12気筒でした。2輪の世界GPにも「NR500」が楕円ピストンのV4エンジンで出場しています。V型はホンダが得意とするエンジン形式で、その歴史と技術が市販車に結実したのが「VF750」シリーズだったのです。

「VF750」のエンジンはDOHCを採用し、1気筒あたり4バルブ、計16バルブです。Vアングルは一次振動を理論上「ゼロ」とする90度で、横から見ると「V」とも「L」とも言えない微妙な角度で搭載されています。

 キャブレターはフロート室に工夫を凝らした世界初のスラント型CV4連タイプで、エアクリーナーボックスも含め、Vバンクの間に綺麗に収まっています。

 水冷システムにより安定した冷却が可能になり、圧縮比は10.5を実現しています。72psの高出力と信頼性の向上、さらにメカノイズも抑えられていました。しかもエンジン全体がコンパクトなので、750ccクラスのエンジンの中では最も軽量でした。

 5速+オーバードライブのミッションは、高速道路等で回転数を抑えられる20%ワイドなトップギアになっています。またエンジンはフレームへの2次振動を消すために6カ所のラバーマウントで搭載され、徹底した振動低減対策が施されました。

 当時「アメリカン」と呼ばれたクルーザースタイルの日本車は、1970年代終盤から数多く登場しました。その中でも「VF750マグナ」は、迫力あるスタイリングと高性能なV4エンジンで注目を集めました。

 コンパクトなのに車体からハミ出さんばかりに主張してくるV4エンジンは、並列4気筒には無いボリューム感があり、車体全体の雄々しい佇まい、アルミパーツが醸し出すメカ感が、独特の存在感を引き立てています。

 そのスタイルを形成するのに効果的なのが、小さく見えるティアドロップ型の燃料タンクです。シート下にも電磁ポンプを使用するサブタンクを備え、ロングツーリングでもゆとりある計14L容量を確保しています。

「VF750マグナ」は国内でも販売されましたが、主な市場は北米で、兄弟車の「V65マグナ」(排気量1100cc)も販売されていました。

 国内では「VF750マグナ」の後継機種として、1987年に「V45マグナ」(排気量748cc)が発売されましたが、やがて大型クルーザーはVツインエンジンが主流となります。

 その後、ホンダのV4エンジンはサーキットで大活躍し、ツーリングモデルにも採用され、多くのユーザーに独特のエンジンフィーリングを提供しました。

 ホンダ「VF750マグナ」(1982年型)の当時の販売価格は、67万円です。

■ホンダ「VF750 MAGNA」(1982年型)主要諸元エンジン種類:水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ総排気量:748cc最高出力:72PS/9500rpm最大トルク:6.1kg-m/7500rpm全長×全幅×全高:2235×815×1195mm始動方式:セルフ式シート高:725mm車両重量:236kg燃料タンク容量:メイン9.5+サブ4.5Lフレーム形式:ダブルクレードルタイヤサイズ(F):110/90-18 61 Hタイヤサイズ(R):130/90-16 67 H

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

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みんなのコメント

14件
  • ニラ太郎
    V4アメリカンならどうしてもVmaxの印象になってしまうなぁ
    マグナは排気量、馬力共に圧倒的に負けている
    1985年にあのデザイン、馬力、パッケージでVmaxを市販したヤマハは良い意味でアタマおかしいと思う
  • kus********
    VF750Fは素晴らしいバイクだった。
    マグナに乗りたいとは思わんかったなあ。

    ただし水冷V4は、夏は停車するとメチャ暑い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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