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大きいのになぜ? トヨタ アルファードなどが「ミニバン」と呼ばれる理由

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大きいのになぜ? トヨタ アルファードなどが「ミニバン」と呼ばれる理由

■「ミニバン」のルーツはなんとアメリカ発祥だった

 SUVブームが続く昨今の日本ですが、室内が高く多人数が快適に移動できる「ミニバン(mini van)」も根強い人気があります。実は、ミニバンには明確な定義が存在していませんが、日本では主に3列シートを備えたワンボックスタイプのクルマがミニバンと呼ばれています。

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 トヨタの車種でいえば、全長4260mmの「シエンタ」や、全長4945mmの「アルファード」もミニバン。さらには全長5380mmの「ハイエース グランドキャビン」までミニバンとなっていますが、シエンタはまだしもほかの車種はとても「ミニ」といえるサイズではありません。ぜんぜんミニじゃないサイズにもかかわらず、なぜ「ミニバン」と呼ばれているのでしょうか。

 まず、ミニバンということばは日本固有のものではなくアメリカ発祥のことばで、フルサイズバンよりも小さい乗用バンのことを表しています。現行型のフルサイズバンとしては、シボレーの「サバーバン(全長5689mm)」、キャデラックの「エスカレードESV(全長5697mm)」、GMCの「ユーコンXKデナリ(全長5650mm)などが該当します。

 今では少なくなったフルサイズバンですが、1970年代のアメリカには今よりも多くの車種が走っていました。しかし、フルサイズバンの大きさを敬遠して購入しなかったユーザーも多かったといいます。そんなおり、1983年にダッジから「キャラバン」というワンボックスタイプのクルマが登場します。

 ダッジ キャラバンは全長4468mm×全幅1765mm×全高1636というコンパクトなサイズで登場し、バンタイプでありながらそれまでにない取り回しの良さが特徴でした。

 FFプラットフォームならではの低重心で広い室内、また乗降性に優れたスライドドアなどを装備しており、一躍ヒット車種となりました。フルサイズバンよりも小さいボディを持っていたことから、ダッジ キャラバンは「ミニバン」と呼ばれて親しまれたのです。

 その後、ダッジ キャラバンの大ヒットに追従するかたちで、1985年に登場したのがシボレー「アストロ」というミニバンです。アストロは1990年代に入ると日本への輸入も盛んになり、若者を中心にアメ車としては異例の大ヒット車種となります。正規輸入・並行輸入まで含めると、全盛期では年間1万台近くが日本に入ってきました。

 アストロのボディサイズは全長4805mm×全幅1960mm×全高1960mmとなっており、日本市場においてはとても「ミニ」なサイズではありませんでしたが、アメリカでの呼び方にならって日本でも「ミニバン」と呼ばれました。日本でミニバンというカテゴリーが生まれたのはこのときからです。

 1980年代の後半でも、日産「キャラバン」やトヨタ「ライトエースワゴン」、三菱「デリカスターワゴン」など、今でいえばミニバンといえるモデルが存在していましたが、商用車ベースで乗り心地に優れないことや、重心が高いことなどが受け入れられずにあまり普及していませんでした。

 そして1990年代に入ると、トヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が登場します。この両車は商用車ベースではなく、最初から乗用車として開発されたために乗り心地も良く、今までのワンボックスタイプのクルマよりも重心が低くスタイリッシュな外観でした。

 セダンやステーションワゴンとほとんど変わらない運転感覚、多人数乗車が可能なうえ荷物もたくさん積める便利さなどから大ヒットを記録します。これらのクルマがヒットしミニバンと呼ばれたことによって、日本でミニバンというカテゴリーが広く定着したのです。

 日本では、ミニバンよりも積載性や多人数乗車が必要な場合、マイクロバスや小型トラックが使われることが多いため、今後出てくる日本車でフルサイズバンが登場する可能性はないでしょう(北米日産にはNV PASSENGERという6メーター超えのフルサイズバンがありますが)。 【了】

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