現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 豊田章男社長が語るGRヤリスの不満点とは【東京オートサロン2020】

ここから本文です

豊田章男社長が語るGRヤリスの不満点とは【東京オートサロン2020】

掲載 更新 2
豊田章男社長が語るGRヤリスの不満点とは【東京オートサロン2020】

東京オートサロン2020で、ついに正式発表されたGRヤリス。そのお披露目の舞台となったプレスブリーフィングで、GAZOO Racingカンパニーの友山茂樹プレジデントが気になることを話していた。

「じつは、まだマスタードライバー、モリゾウからは合格点をもらっていません」

セリカGT-FOUR以来、20年ぶり!やりすぎヤリスが降臨【東京オートサロン2020】

そう、モリゾウこと豊田章男社長が、まだ量産スペックのゴーサインを出していないというのだ。先に行われたプロトタイプ試乗では、すでに素晴らしい完成度を見せていたというのに、まだ上を見据えているとは…。

そんなGRヤリスの、まだ合格点を出していない理由を含めた開発状況、そしてそもそもの開発に至る経緯について、サプライズ登場したプレスブリーフィングの直後に、ご本人モリゾウ氏に直接聞くことができた。さて、その理由とは!?

「トヨタのスポーツカーってよく私は式年遷宮って言うんですよね。話は1960年代に始まって、あのころに2000GTとかヨタハチ(スポーツ800)といったクルマが出てくるんです。そして、それから20年経ってスープラとかハチロクとかMR-S(MR2)が出てくる。でも大きな会社ですからね、20年ごとに出すたびに『台数売れるクルマがいいよね』とか『もうかるクルマじゃないとダメだよね』という勢力も大きいですからね、それがどんどん消えていくんですよ」

話はGRヤリス開発の経緯から始まった。ちなみに式年遷宮とは、伊勢神宮にて20年ごとに行われている遷宮という大事業のことである。

「ところが(2000年代には)、20年ごとにあるかと思ったら全然なくて、2010年にやっと30年ぶりに出たのがLFAだったんですよ。ですが残念ながらLFAは500台の限定生産でした。やっぱりトヨタが作るクルマというのはね、欲しい人がいたら手に入るものでなければ。それがトヨタのファン・トゥ・ドライブのクルマじゃないかなとそのときから思っていたんです。

それと、社長になってから『もっといいクルマづくり』ということを言ってきましたが、何も別にこういうスポーツタイプのクルマだけをもっといいクルマと言うわけではありません。ただマスタードライバーとして、OEMメーカーのクルマが(電動化、知能化などにより)コモディティとかね、そういうものになっていくなかで『ブランドをもったクルマの味ってどういうものなの?』ということをずっと追求してきた身として見るとね、一番それを表現しやすいのはこういうクルマなんですよね」

トヨタとしては2012年に86を登場させ、また2019年にはスープラ復活も実現させた。しかし、それだけでは足りないと豊田社長はずっと考えていたそうである。

「(80年代)当時にスープラ、ハチロク、スターレットがあったように、その3兄弟を揃えたいというのが私の思いでした。私の社長としての実力のなさで、完全内製化というかたちでのクルマづくりは、86でもスープラでもできませんでしたが、それがやっとのこと、3兄弟の末っ子的な今回の(GR)ヤリスで内製化ができて、しかもGAZOO Racingカンパニーができて、そこはクルマの作り方をね、普通のお客様のために作るものをレースに使えるよう手を入れていくのではない、逆のプロセスにトライしてくれている。それは今までのトヨタにはなかったものです。あるとすれば、1960年代のトヨタ2000GTの作り方がそれだったと思います。そうしたDNAがまったくなくなる前に、こういうクルマをトヨタの内製で作り上げるプロジェクトができたこと。これは自分自身としてはうれしいなと思っています」

そして話は冒頭に戻る。そうして生み出されつつあるGRヤリスに、社長がいまだ合格点を出していない理由だ。

「社長というかマスタードライバーとしてね。それとモリゾウとしては合格点はまだ出せていない。えーとね、野性味がないんですよ。野性味が。だけど、コマーシャルでああやって出しているじゃないですか、野性味あふれる走りを。あのイメージがインプットされちゃってますからね。あれを超える野性味が、乗った瞬間に出るようにしたい。出るようにしないとダメなんじゃないのかなと思っています。それと、私がオッケー出したらダメでしょとも言ってるんです。そこで進化が止まるでしょと。だから私はどんなクルマであれ最後までダメ出しですから(笑)。ダメ出しのクルマは、乗ってすぐに『もういいや』って帰ります。だから、降りずにずっと乗っていれば、私としてはいいクルマなんでしょうね」

乗った瞬間から感じられる野性味。豊田社長もといマスタードライバー、モリゾウはそれを求めているという。それは具体的にどんな要素なのかについても取材してきたので、続けて報告するつもりだ。

〈文=島下泰久 写真=岡 拓〉

こんな記事も読まれています

運転士がこないと「こまります」バスが集結! 切実な人手不足を訴えるイベント実施 名鉄
運転士がこないと「こまります」バスが集結! 切実な人手不足を訴えるイベント実施 名鉄
乗りものニュース
約299万円!? マツダ新型「スポーティ“セダン”」公開! 半円4連テール×流麗ボディが超カッコイイ! 全長4.9m級の「イージーシックス」中国に登場
約299万円!? マツダ新型「スポーティ“セダン”」公開! 半円4連テール×流麗ボディが超カッコイイ! 全長4.9m級の「イージーシックス」中国に登場
くるまのニュース
シンプルながら力強さと美しさを兼ね備えたNEWグラフィック!! アライが2タイプの「RAPIDE-NEO46WORKS」を発売
シンプルながら力強さと美しさを兼ね備えたNEWグラフィック!! アライが2タイプの「RAPIDE-NEO46WORKS」を発売
バイクのニュース
過去20年で最多となる405台が湘南に帰ってきた! 「オーテック里帰りミーティング2024」が開催
過去20年で最多となる405台が湘南に帰ってきた! 「オーテック里帰りミーティング2024」が開催
WEB CARTOP
BMW、新型「X3」を発売!全モデルに48Vマイルド・ハイブリッドを搭載した第四世代
BMW、新型「X3」を発売!全モデルに48Vマイルド・ハイブリッドを搭載した第四世代
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ、スープラの生産終了を告知…特別仕様車A90 ファイナルエディションの日本導入時期は「検討中」
トヨタ、スープラの生産終了を告知…特別仕様車A90 ファイナルエディションの日本導入時期は「検討中」
driver@web
スープラ、販売終了へ! “A90 Final Edition”も登場へ──GQ新着カー
スープラ、販売終了へ! “A90 Final Edition”も登場へ──GQ新着カー
GQ JAPAN
【ダカールラリー2025】JLR  ランドローバー・ディフェンダーがダカールラリーに参戦
【ダカールラリー2025】JLR  ランドローバー・ディフェンダーがダカールラリーに参戦
Auto Prove
乗用車への採用はいまのところ期待薄! 充電待ちから解放される夢のバッテリー交換式EVの行方
乗用車への採用はいまのところ期待薄! 充電待ちから解放される夢のバッテリー交換式EVの行方
THE EV TIMES
ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
motorsport.com 日本版
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
レスポンス
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
AUTOSPORT web
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
LE VOLANT CARSMEET WEB
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
AUTOSPORT web
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
Webモーターマガジン
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
  • 3兄弟の末っ子のスターレットがハチロクを追い越して400万オーバーの次男坊になっちゃったんだね。
    次期86は排気量アップをやめて新3兄弟の末っ子らしい価格帯になってほしいな。
  • 社長としてはスープラも86も出来れば内製でやりたかったんだろうね。
    確かに儲かる車作りは企業として大切だけど、スポーツカーは自動車の花形。
    それが分からない、大して車好きでもない、己の高給のためにトヨタに入社したような役員、重役がトヨタ内部に居ることを残念に思うわ。

    しかし、それらを掻い潜って生まれたGRヤリスは奇跡と言っても良いだろう。
    なんやかんや文句言っても、確かにこういう車は売れない時代だからなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村