中国で人気を集める小さなバッテリーEV
小さなバッテリーEV、ジーリー・ジオメトリー・パンダは、6000ポンド(約116万円)の中古車より良いだろうか。装備は充実している。エアコンやパワーウインドウだけでなく、アップル・カープレイに対応したタッチモニターも付いている。
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このパンダは、中国に設けられた新しい小型車クラスに該当する。ちゃんと4シーターで、100km/h近い速度まで加速でき、1度の充電で約200km走れる。今回は北京郊外のサーキットのみでの試乗だったが、運転も想像より楽しかった。
このクラスのバッテリーEVは、最近の中国では人気が高い。パンダのライバル、ウーリン・ホングアン・ミニEVは、2022年に40万台を販売したとか。英国でも規制を緩和して、同等クラスのモデルを普及させても良いように思う。
バッテリーEVは全般的に高価で、車重は増えがち。原材料を削減できる小さなモデルに乗るというのは、ゼロ・エミッションの考えで理に適っている。
この手のモデルを多く販売すれば、中国ではCO2の排出量が多い自動車メーカーへ、新エネルギー車両(NEV)クレジットを買ってもらうこともできる。内燃エンジン車の販売割合いが多いメーカーに対する、ペナルティのようなものだ。
実はルノーのCEO、ルカ・デメオ氏も、小さなクルマの推進派。日本の軽自動車に相当するような、コンパクトカー・クラスの創設を、ACEA(欧州自動車工業会)で呼びかけているのだ。
車内空間を最大化 見た目以上に不安が少ない走り
小さなバッテリーEVは、若者にとって理想的でもあるようだ。ジーリー・ジオメトリーの若き女性スタッフの1人は、社用車としてこのパンダを選んだという。「運転が余り得意ではないので、これは完璧です」。と答えてくれた。
小さなサイズで最大限の車内空間を得るため、必然的にタイヤは12インチ。ほぼ直方体のようなカタチをしている。とはいえ、若い世代の共感も得るため、スタイリング的な工夫は凝らされている。
鮮やかな塗装色や、コミカルなルーフスポイラーだけでなく、ランドローバー・ディフェンダー風のボディキットも用意されている。リアのラダーや、ボンネット上のグラブハンドルを追加できる。
インテリアでは、スマートフォンと連携可能な、大きなタッチモニターが存在感を示す。ドライバーの正面には、細長いメーター用モニターがあり、スピードなどを確認しやすい。今回の試乗では、82km/hまで出すことができた。
パンダの瞬発力は悪くない。最高出力は40psだが、車重は870kg。速度が増すほど、空気抵抗が邪魔し始める。全長は3155mm、全幅が1522mm、全高が1655mmというサイズの割に、カーブでも安定している。
駆動用バッテリーは17kWhで、例によってフロア下に敷き詰められている。低重心だから、コーナリングはフラット。ステアリングの反応は驚くほど鋭く、感触もクリアで、軽快に駆け回れる。ノッポな見た目の割に、不安は少ない。
内心では大きいクルマを買いたい中国人
近年は、駆動用バッテリーの低価格化も進んだ。リン酸鉄リチウム (LFP) ・バッテリーの量産化で、安価に充分な航続距離を得られるようになっている。
ところが、2023年のホングアン・ミニEVの販売数は、2022年の半分近い23万7863台へ減少したという。ライバルモデルの台頭もあるが、オックスフォード大学研究所の調査では、このクラス自体が縮小しているらしい。
2021年の中国では、バッテリーEVの販売数で、このクラスのモデルが約30%も占めていた。転じて2023年には、10%を切ったという。
その理由は、いくつかある。上海など一部の都市では、新規にナンバープレートを
付与する対象を、バッテリーEVのみへ制限している。しかし、パンダのような小型車は対象外となったことが1つ。
もう1つは、ふた回りほど大きなモデルが、同等の価格帯で販売され始めたこと。BYDシーガルの価格は、8100ポンド(約157万円)に相当する。ウーリン・ビンゴも、6000ポンド(約116万円)程度でディーラーに並んでいる。
「中国人は、内心では大きいクルマを買いたいと考えています。コンパクトカーを買う理由は、そのサイズが欲しいのではなく、価格にあります」。と、中国・北京モーターショーの幹部担当者は説明していた。
スマート・フォーツーは独自プラットフォーム
それでも、欧州では小さなクルマに対し需要がある。メルセデス・ベンツのスマートは、延べ220万台を販売した。ジーリー・ホールディングスとの新体制下で開発が進むスマート・フォーツーは、同等の支持を集める可能性が高い。
ただし、フォーツーが基礎骨格とするプラットフォームは、パンダとは異なるそうだ。ツイン・エアバッグを備え、スマートフォン・アプリでドアロックを操作できるなど高度な技術にも対応するが、採用されなかった。
「(パンダは)本格的なクルマとは呼べません。フォーツーの後継モデルは、ブランドに適合する必要があります。アウトバーンを走れ、プレミアムな雰囲気を持つ、本物のクルマとして」。と、スマートの欧州部門トップ、ダーク・アデルマン氏は話す。
真新しいバッテリーEVへ6000ポンド(約116万円)で乗れる日は、英国には来るのだろうか。パンダを直接輸入しても、モデル名はフィアットとの調整が必要になることは間違いないが。
執筆:ニック・ギブス(Nick Gibbs)
ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)のスペック
価格:5940ポンド(約115万円/換算)
全長:3155mm
全幅:1522mm
全高:1655mm
最高速度:99km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:199km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:807kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:17.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:40ps
最大トルク:11.1kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
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みんなのコメント
スペースユーティリティーとか、高速操安性とか、もっとレビューすべき所沢山あるだろ?
何が何でも批判しない、中国様々という態度が丸見えで気に食わない。
1年や2年で壊れたのでは元も子もない。
特に中国製品には要注意。
10年以上変わらず使用できるかどうか、の問題だから飛びつかず様子を見るのが賢明。