SUV仲間入り 多種多様カローラシリーズ
執筆:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】ファミリーに仲間入り【新入りカローラ・クロスはどんなクルマ?】 全84枚
編集:Taro Ueno(上野太朗)
今、最も注目度の高い新型車は、2021年9月に発売されたSUVのカローラ・クロスだろう。
トヨタは以前からコンパクトSUVのヤリス・クロスとライズ、LサイズSUVのハリアーとRAV4を用意していたが、日本に最適なミドルサイズはC-HRのみだった。
そのC-HRは、外観のデザインを優先させて、売れ行きが伸び悩んでいる。
そこでカローラ・クロスを投入した。ボディサイズが適度で価格も割安だから、受注も好調に推移している。
その結果、カローラシリーズの品ぞろえは膨大になった。
3ナンバー車では、カローラ・セダン、ワゴンのツーリング、5ドアハッチバックのスポーツがある。
5ナンバーサイズにおさまるセダンのアクシオとワゴンのフィールダーも健在だ。
新型のカローラ・クロスも含めると、カローラシリーズは6種類のボディをそろえる。
不思議なのは、2012年に発売された11代目のカローラアクシオ&フィールダーが、9年を経過した今でも継続販売されていることだ。
2019年に現在の新しい12代目カローラが発売されたとき、開発者は「アクシオ&フィールダーも継続するが、2年後(2021年)の半ば頃には終了するだろう」と語っていた。
設計が古いから当然だが、実際は今でも売り続けている。
しかも2021年9月には、衝突被害軽減ブレーキを進化させたので、今後もしばらくは廃止されない。
なぜ旧型を9年以上も造り続けるのか。
フィールダー/アクシオ 今も売れている
日本自動車販売協会連合会が公表する国内の登録台数では、「カローラ」として6種類のボディが合計されている。
そこでボディタイプ別の登録台数を算出すると、それぞれの販売比率は以下のとおりだ。
2021年1~8月におけるカローラ登録台数の内訳(カローラ・クロスを除く)
カローラ・ツーリング:43%
カローラ・セダン:17%
カローラ・スポーツ:15%
カローラ・フィールダー(継続生産):15%
カローラ・アクシオ(継続生産):10%
上記から分かるとおり、継続生産型のカローラ・フィールダーとアクシオを合計すると、カローラシリーズ全体の25%を占める。ここまで販売が堅調だと、設計が古いからといって廃止できない。
それならなぜ、発売から10年近くを経過するカローラ・フィールダーとアクシオが、今でも堅調なのか。
フィールダー、アクシオともにグレードはEXのみで、1.5Lのノーマルエンジンとハイブリッドは選べるものの、選択肢は乏しい。
どのようなユーザーが購入しているのか、販売店に尋ねると以下のように返答された。
「今のフィールダーとアクシオは、低価格グレードのみを販売している。そのために購入されるのは、仕事で使う法人のお客さまだ」
「購入費用をなるべく安く抑えたいとか、社内の規定で5ナンバー車以外は買えない法人もあり、3ナンバー車の新しいカローラではニーズに応じられない。そこで5ナンバーサイズのフィールダーとアクシオも用意している」
法人が使う営業車といえば、セダンのアクシオを思い浮かべるが、ワゴンのフィールダーにも需要があるのか。
「フィールダーは法人のお客さまが荷物を積む用途に使う。トヨタにはバンのプロボックスもあるが、4ナンバーサイズの商用車だから後席が狭い。車検も毎年受けねばならない」
「その点でフィールダーはワゴンだから、後席が広く、畳めば荷室を拡大できる。車検も初回は3年、その後も2年で面倒が少ない」
つまりカローラ・フィールダーは、法人がバンとして活用しているわけだ。
旧型ベースのカローラが売れるワケ
トヨタの商品企画担当者にも、カローラ・フィールダーとアクシオの需要について尋ねた。
「カローラはもともと法人のお客さまが多い。3ナンバーサイズの新しいカローラが登場する前の段階でも、アクシオの購買層の50%以上が法人のお客さまだった」
「フィールダーでも30%を占めていた。法人のお客さまにとって、5ナンバーサイズのボディと価格の安さは重要だから、今でも新型と併売している」
レンタカーやカーシェアリングの需要もある。
レンタカーでは、カローラ・アクシオと新しい3ナンバー車のカローラ・セダンで、料金のクラスが異なる場合もある。
仕事でレンタカーを借りるとき、カローラ・アクシオは大切な選択肢だ。
以上のようにカローラは、仕事で使う法人需要やレンタカー、カーシェアリングなど、一般ユーザー以外の需要も多い。
開発者によると「3ナンバーサイズの現行カローラも、約50%を法人のお客さまが占める」という。
このあたりはトヨタの事情だろう。
国内で新車として売られる小型/普通車のうち、50%以上をトヨタが占める。そうなるとトヨタ車の需要も幅広く、法人などの顧客も多い。
その代表がカローラだ。ほかのメーカーであれば、新旧モデルを併売する必要がなくても、トヨタでは大切なことなのだ。
トヨタではヤリスについても、新開発された直列3気筒1.5Lエンジンに加えて、従来から採用してきた1Lエンジンを設定している。
1LのX Bパッケージは、衝突被害軽減ブレーキを省いたから推奨はできないが、価格は140万円を下まわる。
このようなグレードを設定するのも、トヨタならではだろう。
日産がノートやキックスをeパワー専用車に整理したのとは対照的だ。
9年もの そろそろ世代交代では?
トヨタが根強い需要に基づいて、カローラ・アクシオ&フィールダーを造り続ける理由は分かったが、9年前に登場したクルマだから設計は古い。
前述のとおり安全装備を改良したが、衝突安全性能を含めて、3ナンバーサイズのカローラやヤリスに比べると安全性が見劣りする。
カローラ・アクシオ&フィールダーの需要が根強く、今後も売り続けるなら、GA-Bプラットフォームを使うヤリスをベースにした5ナンバーサイズのセダン&ワゴンを開発すべきだ。
かつてのヴィッツをベースに開発したコンパクトセダンのプラッツやベルタは、5ナンバーサイズだった当時のカローラ・セダンと競争して、売れ行きを低迷させた。
しかし今はカローラ・セダン&ツーリングが3ナンバー車になって価格も高めたから、ヤリス・セダン&ワゴンも成立する。
今は国内で新車として売られるクルマの40%近くが軽自動車で、ホンダでも軽自動車比率が50%を超えた。日産も約40%を占める。
このような市場環境では、トヨタを中心に小型車の売れ行きを守るうえでも、ヤリス・セダン&ワゴンは大切な商品になる。
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みんなのコメント
クラウンの下に「コロナ」があった、次期コロナのテスト中に覆面走行してるのをすっぱ抜かれた。
トヨタは、違うよ! って、下位クラスをカローラとして販売びっくりさせたんだ。
ころな1500,カローラ1100ってね。 日産サニーにぶつけた。 面白かったよ。
双方すぐに1200,1300と競走した。ワーゲンも排気量で競っていた。
カローラは、日本人の大衆車なんです。(その点ではマニアには受けない)スタイル平凡?
ヤリス・ワゴン、イイねぇ~。ヤリスクロスより広くて運転もしやすそうだし。
今のフォールダーは燃費も余り良くないし、アクシオやフィールダーの需要を見れば売れると思う。