■人気「ノート e-POWER」を過酷な実燃費テスト実施
大人気モデルとなった日産「ノート」。エンジンで発電し、モーターで走行するというハイブリッド「e-POWER」が人気を牽引しているのは間違いないです。そこで気になる燃費は実際にどんなものなのか、人気の「ノート e-POWER」の実燃費テストをしてみました。
新型セレナe-POWERは弱点が見つからない 加速感あり、燃費良し、自動ブレーキも世界トップ
日産「ノート e-POWER」、電気自動車のリーフで培った経験があるからこそできた新感覚の走行感覚も人気の要因と言えるでしょう。もちろん燃費性能もよく、カタログ値(JC08モード燃費)で34.0km/L(e-POWERメダリスト/e-POWER X)となっています。
そこで今回は横浜市内を出発し、世田谷を経由して箱根大観山まで登って横浜市内に戻るという約200kmのルートを走行し、燃費を計測することにしました。テストに使用したグレードは「ノート e-POWERメダリスト」。カタログ燃費は34.0km/Lと、「ノート e-POWER X」と変わらないものの、充実装備で10kg増えた車重と15インチになったホイールがどう影響するのか気になります。
当日は車両の温度計で30度を指すような夏日だったため、エアコンはオートで24度設定に固定し、走行モードは「ECO」、燃費は車両の燃費計で計測しました。
まず今回のテスト結果からはお伝えすると、196.7kmの走行で実燃費は25.16km/Lという数値になりました。カタログ燃費達成率74%と、カタログ燃費との乖離が大きいハイブリッド車としてはなかなかの好成績と言えるのではないでしょうか。
それではここからセクション別の燃費を振り返ってみます。
■一般道:横浜市内から東京インター(34.1キロ、実燃費値 24.5km/L)
横浜市内を出発し、保土ヶ谷バイパスを経由して国道246号線で東名高速道路の東京インターまで向かうルート。スタート時は完全なコールドスタートで、バッテリーの残量は4メモリ(満タンで6メモリ)とあくまで一般的な使用を想定した条件で開始しました。
エンジンが暖まるまでは、バッテリー容量にかかわらずエンジンが始動しやすいようでスタートからしばらくは10km/L台の低調な燃費数値が続きましたが、エンジンが暖まってからは燃費もグングン改善し、最終的には24.5km/Lまでになりました。
■高速道:東京インターから小田原西インター(68.5キロ、実燃費値 28.0km/L)
東京インターから東名高速道路に乗り、小田原厚木道路の小田原西インターまでのルートは、今回のセクションで一番長い距離を走る部分です。一般的な内燃機関モデルとは異なり、高速走行は苦手とされる「e-POWER」ですが、80km/h程度の定速走行であればそれほど燃費の悪化もないということが判明しました。
空気抵抗は速度に比例しますから、あまり速度を出し過ぎないことがポイントと言えそうです(これは普通のクルマにも言えますが)。
■ワインディング路:小田原西インターから箱根大観山駐車場(14.7キロ、実燃費値 7.7km/L)
今回のルートで一番燃費に厳しいと思われるのがこのセクション。小田原西インターから箱根ターンパイクを駆け上がり、大観山駐車場に向かうほぼ登りだけというシチュエーションです。距離は約15kmと短いものの、燃費面では厳しいものとなりました。
モーター駆動のトルク感を楽しみながらグイグイ登っていくとあっという間にバッテリーが減っていき、エンジンが始動します。通常であれば一番効率の良い2375回転で一定に回り続けるエンジンですが、上り坂で消費電力が大きいと判断するや、エンジンの回転数が上昇。効率よりもバッテリーへの充電を重視して電欠を回避するモードになってしまいました。
そのため、大観山駐車場に着くまで電欠の症状は起きませんでしたが、燃費は7.7km/Lと散々な結果になりました。
■ワインディング路:箱根大観山駐車場から西湘バイパス西湘PA(29.3キロ、実燃費値 81.0km/L)
ターンパイクの登りでガンガン電力を消費してしまいましたが、帰路は箱根新道から西湘バイパスを通るルートを選択し、逆にほぼ下りというシチュエーションとなりました。アクセルペダルはほぼ踏むことなくワンペダルドライブで坂を下っていくと、約1.5kWhしかないバッテリーはあっという間に満充電になりました。
その後もワンペダルドライブを続けていると、過充電を防ぐための放電をしようとエンジンが始動。負荷をかけるための始動で燃料はほとんど消費していないとはいえ、静粛性が損なわれてしまうのはいささか残念なポイントです。
結局、たっぷり充電をした「ノート e-POWER」の燃費計は表示限界の99.9km/Lを長い間キープし続け、西湘PAに入ったところでも81.0km/Lというとんでもない数値を叩き出したのです。
■一般道:西湘PAから横浜新道(35.6キロ、実燃費値 31.2km/L)
日産本社への帰路は西湘バイパスから国道1号を使って横浜新道に向かうルート。適度に交通量があり、アクセルオフでの回生ブレーキを使うことができたのが功を奏したのか、先ほどの下りコースを除けば一番の低燃費となる31.2km/Lをマーク。
やはりこういった市街地走行が一番向いているのかもしれません。
■一般道:横浜新道から日産グローバル本社(14.5キロ、実燃費値 25.5km/L)
最後は横浜新道から首都高に乗って日産本社までの道のり。ここでは短い距離ながら、インテリジェント クルーズコントロールを使用しての走行をチェック。プロパイロットとは異なりステアリングアシストはないものの、前走車への追従は全く問題ないレベルです。
ただ、クルコンをONにした瞬間にメーターに表示される航続可能距離の数値が減少したため、燃費走行にはやや不利になるのかもしれません。
とはいえ、この区間の燃費も25.5km/Lと、極端に悪いとも言えない数値。アクセル操作をクルマに任せられる楽さとのトレードオフと考えれば、許容できる範囲ではないでしょうか?
■ノート e-POWERは知らないうちに周囲が見れる運転が身につく?
「e-POWER」という新たなドライブトレインはそれまでのエコ運転にプラスして、どれだけうまく回生ブレーキで電力を回収できるかで大きく燃費が変わってくるものでした。
「ノート e-POWER」はフットブレーキでの減速では回生ブレーキが作動しないため、ECOモードもしくはSモードを使い、いかにワンペダルドライブで走行できるかがキモとなります。そのためには常に先の道路状況を見極め、アクセル操作だけで停止できるようにしなければならないため、結果的に周囲をよく見たドライブが必要になるわけです。
また、回生ブレーキで回収できる電力量には上限があるため、いきなりアクセルを全閉してしまうと、せっかくの回生ブレーキなのに全て電力を回収できない「回生失効」という状況になってしまうことも。そうならないためには繊細なアクセルコントロールも必須ですから、知らず知らずのうちに微妙なアクセルワークが見に付くかもしれませんね。
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