生き残っている旧車は「シアワセモノ」だと思います
屋外で保管されていた期間が長かったバイクと比べれば、ガレージ内で保管されていたバイクは、やっぱり程度が良いと思います。ぼくがいじっているC100も、すでにメーカー出荷から60年以上経過していることを考えれば、かなり良い程度かも知れません。
【画像】薄汚れたカバーを美しくリフレッシュ! ホンダ「スーパーカブC100」エンジンのお化粧直しの様子を画像で見る(8枚)
もっともっと高年式カブでも、野ざらしや雨ざらしにされてしまった結果、板金ボディはサビで朽ち果ててしまい、土へと戻りつつある車両を何度も見たことがあります。過去には、そんな状況から救い出し(ぼく個人的に興味があるモデルだったので)、フルレストア実践。そして、完成させたモデルもありました。
オーナーさんの考え方次第で、バイクはその運命を左右されてしまうものなんですよね。そう考えると、今現在、ランニングコンディションで走り続けている旧車は、すべて「シアワセモノ」なのかも知れません。良いオーナーさんと巡り合えたわけですから……。一台でも数多くの旧車を、後世に伝え、残していくのが、我々旧車ファンにとっては、大きな責務だと思います。
所有するC100は屋内保管だったからか、ガソリンが腐っていても、ネチョネチョのワニス状、タール状にはなりにくかったようで、ガソリンタンク内部のサビが、薄っすらと始まっている程度でした。
今回は、タンク内のサビを除去する専用クリーナーケミカルを利用せず、ママレモンなどの中性洗剤+お湯で、一晩浸し続けた後に、水道水ですすぎ洗いしただけで、薄っすらなサビと汚れは洗い流せました。薄っすらサビが出始めたことに気が付いたオーナーさんは、スーパーカブに限らず、是非、試してください。わずかなサビの発生が、キャブレター不調を招いてしまいますからね。
薄汚れたエンジン部品は焼き付け乾燥でリフレッシュ
このC100は、エンジンまわりのクリーニングに苦労しました。クランクケース周りやエンジン周辺の見え難い部分(フレームの陰など)のコンディションが、かなり酷かったです。
農道や田んぼの畦道を走らせていたカブだと思われますが、洗車だけでは簡単に落ちないドロ汚れが強烈でした。エンジンを降ろすと、クランクケース周辺には地層のようなドロの堆積物があったほどです。
そんなコンディションだったエンジンは、シリンダーヘッドとシリンダー&ピストンの腰上部品を分解し、iB井上ボーリングさんへ内燃機加工をお願いしました。クランクケースカバー類も取り外し、エンジン腰下は、外側からできる可能な限りの部品洗浄を行いました。
内燃機加工を終えたシリンダーヘッドやシリンダー、そして、シルバーのエンジンカバーは、焼き付けペイントで美しく仕上げることができました。ペイント前には、サンドブラストで前処理を行いました。
このペイント前処理が、いわゆる「足付け」と呼ばれる作業で、ペイント膜の食いつきが良くなります。ペイントはお手軽な缶スプレーを利用しました。デイトナから発売されている「耐熱ペイント・エンジン用」のブラックとシルバーになります。
エンジン始動後の熱で温め「焼き付け乾燥できる」缶スプレーですが、ここでは、もっと確実な方法で、ペイント後の部品を焼き付け乾燥させました。カーベックから発売されている高温小型乾燥機「CVジュニア」がそれです。
CVジュニアは、台所で使うようなオーブントースターの「二階建て」タイプで、最大210℃の温度設定で、ダイヤル式のタイマーは最大で1時間。常時通電可能なセレクトもあります。シリンダーもカバーも、いずれも140℃設定で、付属の簡易温度計が140℃に達してから1時間のタイマーを掛けて、その作業を2回繰り返し行いました。この焼き付け乾燥をしっかり行うことで、耐ガソリン性や耐溶剤性が高まり、美しさが長続きします。
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