クーダ風フロントマスクをS14にドッキング
個人的に好きな車種であるS13以降のシルビアについてインターネットで検索していたら、昔のサニーのようなカローラのようなフロントマスクの、しかしAピラーから後ろはS14シルビアにしか見えない、不思議なクルマを見つけた。何だろう……と思いよくよく調べてみると、ロケットバニーのボディキットを組み込んだS14シルビア、ということで、アメリカ車に疎い私にはよく分からなかったのだが、昔のプリマス・クーダをイメージしたフロントマスクだとのこと。
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【画像47枚】見事BOSS化されたS14シルビアとその制作工程を見る!
レトロ感のあるフロントフェイスとシルビアのボディが妙なマッチングを見せていて、このシルビアが妙に気になり続けていた。今回(注:「モデルカーズ」誌2017年9月号)のチューニングカー特集で「なにか作りたい物ありますか?」と聞かれた時、ふとこのシルビアのことを思い出したのである。「あれを作ったら面白いかも」などと軽く答えてしまったのが運の尽き(?)、切った貼ったあふれる高カロリー制作へと自分を追い込んでしまったのだった。
実車について簡単に述べておくと、インターネットや雑誌で見ることのできる個体には色々な仕様が存在する。これはキットとして発売されているもの(「BOSSキット」というネーミング)なので、当然、各オーナーによって仕様は様々ということ。今回は自分もオーナーになったつもりで、好きなパーツをチョイスし組み上げることとしてみた。
まずノーマル、と言うよりベースとなっているS14型シルビアとの違いを洗い出してみよう。もちろん、車体の基本構造が大きく変わるような変更はないはずで、デザインが変更されているフロント周りが、どこまで変わっているのが焦点となる。フロントフェイスはもちろんだが、短くなったオーバーハング、ボンネットのプレスライン、ノーマルより先端がスラントしていないノーズエッジ、やや角張ったラインをもつフェンダーショルダーなどがノーマルとの違いである。
左右のフェンダーパネルはオーバーフェンダーと一体化されているようで、ボンネットやフロントバンパーカバーと合わせ、フロント側はまるっと別パーツに交換されるようだ。フロントにドーンとインタークーラーをマウントした車輌も多いが、今回それは再現せず。個人的には、無い方がよりクーダっぽく見えるように思われる。同じ理由で、リップスポイラーも取り付けていない。
もちろんフロントマスク以外も改造必須
サイドはステップとオーバーフェンダー。リア側はバンパーカバーが取り外されインナーパネルがむき出しとなり、下側にディフューザー状のアンダースカートが取り付けられている。リアバンパーがそのままの車両もいるようだが、これはフルキット装着ではないということであろう。
正直なところ、インナーパネル再現工作の複雑さを考えるとここはノーマルタイプでいきたい気持ちもあったのだが、やはり全体のバランスを考えると、外した方が収まりがいいようだ。インナーパネルは地道にプラ材を重ねて再現することにした。これらボディ改修はプラ材で基準を出しつつエポキシパテで形作ったのだが、現状を見失わないよう、常に基準を取りつつ作業すれば、迷いも少なく形状を出しやすくなると思う。
ボディカラーは、資料として見かけた個体のワインレッドを再現。塗料は「監修」という形で私自身が関わった、MyStarカラーのVino Rossoを使用した。自分が関わっていながらナンだが、やや発色にコツが要る。狙う色あいをある程度イメージして下地の時点でしっかり発色させておくと、本塗りでキレイに塗り上がるだろう。今回は意図があってラベンダーを使用したが、ミスを抑えるならまずは普通に赤で発色させ、軽く乗せるように本塗りをすれば、ムラや発色ミスを最小限に抑えられる。これは隠蔽力の低い他のカラーにも使えるテクだ。希釈にはフィニッシャーズのピュアシンナーやクワトロポルテのTipoマルチシンナーを使えば、塗装面に乗った塗料が泳がず定着するのでオススメである。
クーダのビンテージ感を持ちつつS14シルビアの程よい近代感がマッチしていて、その絶妙な存在感に惹かれてしまい、「カッコイイ!!」と何度も呟きながらの制作となった。作例を見る皆さんはいかが感じられるだろうか? 好きなシルビアだけに実車が欲しくなってきたのだが、そうすると何よりもまず、程度のいいS14を探さないといけないようだ。
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