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目の肥えた人に刺さる「縦目」 メルセデス・ベンツW108/W109型 UK版中古車ガイド(1) Sクラスのご先祖

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目の肥えた人に刺さる「縦目」 メルセデス・ベンツW108/W109型 UK版中古車ガイド(1) Sクラスのご先祖

目の肥えた人に刺さったW108/W109型

輸入関税が高かった半世紀前の英国では、W108型メルセデス・ベンツ250 Sは当惑するほど高額だった。値段の割にエンジンは2.5Lと小さめで、内装にはレザーやウッドが用いられず、支持を集めたとはいえなかった。

【画像】目の肥えた人に刺さる「縦目」 メルセデス・ベンツW108/W109 W113と114 最新SクラスとSLも 全116枚

しかし、他を圧倒する乗り心地や操縦性、洗練された走行マナー、広々とした車内空間、並外れた堅牢性や製造品質などを備え、目の肥えたクルマ好きには刺さった。価格を頷かせる価値を見い出せた。

車内のドアハンドルは内装とフラットで、ウインドウのワインダー・グリップはゴム製。堅牢なドアロックや、負荷がかかると倒れるバックミラー、パッド入りのステアリングホイール・ボスなどが与えられ、安全性も高かった。

シートは、MBテックスと呼ばれる高強度なビニールレザーが標準。オプションで選べたレザーも、高級感より耐久性が優先されていた。ボディの前後は、先端をゴムで覆ったバンパーが保護した。

他方、ステアリングコラムから伸びるシフトレバーと、ダッシュボード下から伸びるハンドブレーキ・レバーへ否定的な人もいた。フロントシートは左右に独立したものではなく、身体が横滑りするベンチシートで、クルマ酔いしがちといえた。

当時の試乗レポートを見ると、装備やスペックを称えつつ、ブレーキの性能は期待外れだったようだ。自社開発された、ポンプとタービンを用いたフルード・カップリング式オートマティックも、高回転域での変速がスムーズではないと指摘されている。

優雅でモダン 縦に長いヘッドライトが特徴

1960年代半ばのビッグ・メルセデスで、主流となったのはコイルスプリングが支えるW108型の250 Sや250 SE。その頂点に位置したのが、エアスプリングでロングホイールベース、3.0L直列6気筒を搭載したW109型の300 SELだった。

W109型では、ウォールナット・パネルがダッシュボードを飾り、パワーウインドウを標準装備。1968年には、6.3LのV型8気筒エンジンを搭載した300 SEL 6.3が登場。羊の皮を被った狼的なモデルとして、6526台が生産されている。

1967年には、2.8L直列6気筒エンジンを積んだ280がW108型へ追加。1970年には、3.5LのV8エンジン版も登場している。アメリカ市場向けに、1971年には4.5LのV8も搭載されるようになり、排気量の小さい250はフェードアウトしていった。

スタイリングを手掛けたのは、フランス人デザイナーのポール・ブラック氏。過度な装飾がなく、落ち着いていながら優雅さもあり、モダンな印象を残した。縦に長いヘッドライトも特徴で、近年はますます風合いを増しているように見える。

ドイツのアウトバーンを、疲れ知らずで運転できるよう設計されており、高速道路との相性は抜群。運転席からの視認性は素晴らしく、操縦性は正確。広大な森林地帯を抜けるような一般道でも、豊かな時間を提供する。

ただし、V8エンジン版は燃費が悪く複雑。日常的に乗りたいと考えるなら、直6を探した方が賢明だろう。

オーナーの意見を聞いてみる

メルセデス・ベンツW108/W109型レジスター(オーナーズクラブ)を率いる、フィリップ・セイン氏。このブランドの愛好家で、250 SEと280 SE 3.5も長年維持しているそうだ。

「ボディは錆びやすいですが、乗り心地は快適で、運転席からの視界は良好。とても運転しやすいですね。250の方は若干パワー不足といえますが、現代の交通でも充分。今回のクルマは、40年以上所有されていたクラブ会員から購入しました」

「再塗装されていますが、サビ補修の溶接はなし。オーバーヒート対策で、新しいラジエーターとウォーターポンプ、冷却ファン、オルタネーターへ交換しています」

「定期的に乗って楽しめますが、維持費は安くありません。エアコンやパワステも付いていて、当時としてはかなり洗練されたクルマですね」

「現在は、メルセデス・ベンツを10台所有しています。ドイツへ住んでいた時に父が購入した、フィンテール(W110型)を1985年に譲り受けて、今でも所有していますよ」

英国で掘り出し物を発見

メルセデス・ベンツ280 SE 3.5(英国仕様)

登録:1972年式 走行:9190km  価格:2万9995ポンド(約576万円)

ブラックのMBテックス内装を備えた、アストラル・シルバーの280SE。直列6気筒で右ハンドル車だ。どこかの時点で、大金をかけレストアされているようだが、惜しいことにそれを証明する書類は残っていない。走行距離は、レストア後の数字だろう。

サイドシルやエンジンルームに若干の錆があるものの、状態は素晴らしい。ダッシュボードのウッドパネルも美しい。当時モノのブラウプンクト社製ラジオが、まだ現役で動いている。

メルセデス・ベンツ300 SEL 6.3(北米仕様)

登録:1971年式 走行:8万3400km  価格:7万5000ポンド(約1440万円)

アメリカ西海岸で過ごしてきた300 SEL 6.3。2015年に、走行距離が正確であることが調べられている。再塗装され、ボディシェルやシャシーはオリジナルのまま。状態は良いという。

メルセデス・ベンツを専門とする職人、ロジャー・エドワーズ氏によってレストア済み。内装は設え直され、カーペットも真新しい。エアコンは、夏でも寒いほど効くそうだ。

この続きは、メルセデス・ベンツW108/W109型 UK版中古車ガイド(2)にて。

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みんなのコメント

3件
  • ******
    カッコいいなぁ
    縦目の6.3欲しかったけど、買える値段じゃなくなったし
    近所のオウナーさんは自宅裏側のシャッターガレージに保管してる
    修理は旧いベンツ専門店で、パーツは海外で探すしかないとか
  • gre********
    亡き父親が280SE3.5に乗っていて遺言で今も動体保存しています。管理が良かったせいかそんなに維持費はかかりません。日本の道路事情なら雨の日除けば(錆が怖いので)普通に乗れそうです。10台以上車に乗りましたが一番好きな車です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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