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フォルクスワーゲン・パサート vs アウディRS6(C6) スペースとスピードの両立 新車か中古車か?(2)

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フォルクスワーゲン・パサート vs アウディRS6(C6) スペースとスピードの両立 新車か中古車か?(2)

スペースとスピードの両立 長い歴史のRS

スペースとスピードの両立。多くの自動車メーカーが、以前から取り組んできた課題といえる。電動化技術の普及が進む近年でも、それは変わらない。

【画像】スペースとスピードの両立 フォルクスワーゲン・パサート vs アウディRS6 最新ID.7も 全111枚

メルセデスAMG C 63は、ステーションワゴンのボディにパワフルなプラグイン・ハイブリッドを組み合わせた。BMW M5 ツーリングも、同じアプローチを選んでいる。次期アウディRS6も、恐らく強力な電気アシストを得るだろう。

ここまで高性能・高価格でなくても、電動化技術で走りを補完したステーションワゴンが存在する。例えばフォルクスワーゲンは、プラグイン・ハイブリッドのパサートを発表したばかりだ。

最高出力271psを誇る、eハイブリッド Rラインの英国価格は、5万1170ポンド(約982万円)から。M5 ツーリングの、ほぼ半額で手中に収められる。しかし、この程度の予算を準備すれば、魅力的な中古車も沢山含まれてくる。

スペースとスピードを両立させたモデルなら、アウディのRSシリーズは外すことができない。先日もAUTOCARで振り返ったが、ポルシェの技術を借りたRS2は、2024年で誕生30周年を迎えるという長い歴史を持つ。

その後のRS6は、最高峰のステーションワゴンとして一目置かれてきた。2013年から2018年に提供された先代、C7系は、かなりお買い得なチョイスといえる。モダンなスタイリングで、現行型ほど好戦的でもなく、魅力度では歴代最高水準にある。

ガヤルドにも搭載された5.0L V型10気筒

ただし、内燃エンジン時代が終わろうとしている今、せっかくなら特別なユニットを選びたい。2008年から2010年に提供されたC6系のRS6には、ランボルギーニ・ガヤルドにも搭載されていた、5.0L V型10気筒のツインターボ仕様が載っている。

既に15年ほど前のモデルで、維持費が足を引っ張り、英国では2万ポンド(約384万円)以下で探すこともできる。相応の勇気が必要ではあるが。今回のクルマは走行距離が約3万kmと短く、安心感は高いはず。

アウディUKが保有するヘリテージ車両で、同等のコンディションを中古車市場で選ぶと、5万ポンド(約960万円)前後。最新のパサートと変わらない。もう少し初期投資を抑えて、維持費に回すことも可能だろう。

四輪駆動システムのクワトロが受け止める最高出力は580psで、最大トルクは66.1kg-m。当時のライバルを、速さでは完全に打ち負かしていた。0-100km/h加速は、4.6秒でこなす。

エグゾーストノートは普段使いを想定し、ランボルギーニより穏やかに調整を受けているが、さながらイタリアン・オペラ。V10エンジンの咆哮が、ドライバーの気持ちを盛り上げてくれること請け合いだ。

他方、パサートの最大トルクは40.7kg-m。高回転域への怒涛の吹け上がりは楽しめないものの、電気モーターの鋭い立ち上がりで、RS6から大きく引き離されるほど遅いわけではない。0-100km/h加速は、7.1秒がうたわれる。

洗練度が高く粘り強いパサートの足まわり

カーブを何度か通過すれば、その差は縮まる。RS6は四輪駆動で強力なトラクションを発揮する一方、パサートは足まわりがしなやか。洗練度が高く粘り強い。

11段階に調整できるアダプティブダンパーを1番引き締めても、姿勢制御がRS6級にタイトになるわけではない。しかし、優秀なMQBアーキテクチャーが、安心感の高い操縦性と安定性を生み出す。乗り心地も素晴らしい。

ステアリングホイールは軽く、6速デュアルクラッチATはスムーズにギアを切り替える。普段使いとの親和性は遥かに高い。駆動用バッテリーが満充電なら、最長112kmを電気だけで走ることもできる。

当然といえるが、RS6は乗り心地が硬い。旋回途中の不意な凹凸でラインが狂うほどではないものの、負荷が高まるほど強い入力を吸収しきれない場面が出てくる。

油圧アシストのパワステを備え、ステアリングは重め。小さくないV型10気筒エンジンは、フロントアクスルから大幅に前方へはみ出ているから、敏捷に回頭するとはいい難い。C6系のRS6は、カーブで設計の古さを滲ませる。

2024年でも特別感あるRS6のインテリア

実用性は、全長4917mmあるパサートは有利。後席側の空間は、全長4923mmのRS6より広い。荷室容量も1760L対1660Lで、新しい方がパッケージングに優れる。

それでもRS6のインテリアは、2024年に見ても特別感がある。実際に押せるハードスイッチがふんだんにあり、時代遅れのインフォテイメント・システムの操作を補える。

パサートには15インチのタッチモニターが備わるが、大きすぎて運転の集中力に影響を及ぼす。頻繁に操作したい機能の多くはサブメニュー下にあり、操作性が良いわけでもないだろう。

ただし、ランニングコストがRS6の選択を最終的に怖じけさせるかも。V10エンジンは、エンジンルームへパンパンに収まっている。簡単なメンテナンスでも、作業にはかなりの労力が必要になる。

巨大なトルクを受け止める6速ATは、3万2000km毎のフルード交換が推奨されている。タイヤは4本で1000ポンド(約19万円)。ブレーキの交換などにも、同程度の出費が必要になる。燃費は、右足をそっと傾け続けても、7.0km/Lを超えることはない。

どの角度から評価しても、賢明なチョイスが新車のパサートであることは否定できない。9代目の新型は、歴代最高の完成度にある。ファミリーカーとしての要件を満たし、高級感も低くない。欠けているのは、至高のV10エンジンだけだろう。

パサートとRS6 2台のスペック

フォルクスワーゲン・パサート 1.5TSI eハイブリッド Rライン(英国仕様)

英国価格:5万1170ポンド(約982万円)
全長:4917mm
全幅:1849mm
全高:1497mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:245.7km/L
CO2排出量:9g/km
車両重量:1858kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:271ps/5000-6000rpm(システム総合)
最大トルク:40.7kg-m(電気モーター)
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

アウディRS6(C6/2008~2010年/英国仕様)

英国価格:4万5000ポンド(約864万円)以下
全長:4923mm
全幅:1889mm
全高:1460mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.6秒
燃費:7.2km/L
CO2排出量:333g/km
車両重量:2025kg
パワートレイン:V型10気筒4991cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:580ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m
ギアボックス:6速オートマティック(前輪駆動)

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みんなのコメント

4件
  • サミー3270
    アウディRS6の前輪駆動は間違いでは?
  • Rs
    新車から延長保証期間中は一般人でも安心して乗れるだろう。保証が切れたら、さあ大変だ。RSは複雑だけど、要は機械だから市中でも修理可能だ。独車PHEVの電気制御は、ロシアンルーレットだ。壊れたら、ディラーでのアッシー交換しか選択肢がなく、費用は百万円単位となる。工業製品として、如何なものだろう。私は怖くて買えない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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