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長岡技術科学大学の自動車部には想像の斜め上をいくクルマ好きがわんさか! フォーミュラ・ジムカーナ2024日本一の大学に潜入してみた

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長岡技術科学大学の自動車部には想像の斜め上をいくクルマ好きがわんさか! フォーミュラ・ジムカーナ2024日本一の大学に潜入してみた

 この記事をまとめると

■フォーミュラ・ジムカーナ2024 全国決勝大会の優勝は長岡技術科学大学自動車部だった

日本一の大学自動車部の栄冠は長岡技術科学大学が勝ち取った! 学生たちの熱戦が雨雲を吹き飛ばした「フォーミュラジムカーナ2024全国決勝大会」

■長岡技術科学大学自動車部がどんな学校のどんな部であるかを取材

■長岡技術科学大学自動車部員は頑固だけど素直で明るいクルマ好きの集まりだった

 15歳で機械いじりすることを決心した頑固者たちの集まり

 2023年から始まった「Formula Gymkhana(フォーミュラジムカーナ)」とは、「いわゆるフォーミュラマシンを用いて行われるジムカーナ競技」ではなく、4年制大学の学生たちが「完全イコールコンディションの同一車種で競い合うジムカーナ競技」のことだ。

 昨今の中古スポーツカーの価格高騰に伴い、それら車両のメンテナンスは困難になり、予算が限られている学生にとっては大きな障壁になってきている。また、そうした背景から、戦闘力の高い車両をもつチームに勝率が偏る=ある意味「カネがあるかどうか?」の戦いにもなってしまっている──という現状もある。

 そこで、車両や装備などをさまざまなメーカーが──未来を担う学生たちのため──一律に提供することで、出場校による負担のない形でのワンメイク競技を実現するべく2023年に始まったのが「Formula Gymkhana」だ。

 そんなFormula Gymkhanaの「2024全国決勝大会」は9月21日と22日の2日間、滋賀県の奥伊吹モーターパークで開催された。そして決勝ラウンドに進んだ10校のうち、見事に優勝を果たしたのは新潟県長岡市の国立大学法人「長岡技術科学大学」という、いささか聞き慣れない学校の自動車部だった。

 ……長岡技術科学大学とは果たしてどんな大学で、そしてその自動車部にはどんな面々がいるのだろうか?

 強い興味を抱いたWEB CARTOP取材チームは、新潟県長岡市へと飛んだ。いや実際には飛行機ではなく、関越自動車道を使ってひたすら走って行った。

「長岡技術科学大学は、工学系の学部と大学院で構成されている、その名称どおり技術および科学を専門に学ぶ大学です。そして在学生の全員ではないのですが、その大半は高専(高等専門学校。実践的・創造的技術者を養成することを目的とした5年一貫教育の高等教育機関)を卒業したあと、学部の3年生として当大学に編入しています」。

 そう語るのは、長岡技術科学大学自動車部・部長の越塚リョウさん(修士1年)だ。そして越塚さんは「主には高専出身者で構成されているという点が、ウチの自動車部を、良くも悪くも特徴づけているかもしれません」という。

「シンプルな話としては、15歳で高専に進むことを決めたような人間は、僕を含めてやはり機械いじりが好きですし、工具の使い方などにもある程度慣れています。そのため、クルマを整備するにあたって必要となる技術の習得と継承が、他校さんよりもスムースである──というのはあると思います。でもそれ以上に、良くも悪くもウチの特徴といえるのは、各部員の“頑固さ”かもしれません」。

 ……頑固? どういうことだろうか?

「良くいえば“天才肌”ということになるでしょうし、悪くいうならオタク気質といいますか(笑)。とにかく自分的に興味があるモノに対しては徹底的に、妥協なしでのめり込むんです。それぞれの我が強すぎて衝突したりもしますが、全員で頑固に切磋琢磨し合うことにより、結果としては、部の総合力向上につながっているのではないかと思っています」。

 高専からの編入者が多いことに加えて「新潟県ならではの地域性も効いている」と、副部長の湯浅耕作さん(修士1年)はいう。

「新潟県内には、我々学生でも思いっきり練習できる場所が多いんです。ウチの部の場合は月に2回ほど、胎内市というところにある『胎内スキー場駐車場』で行われている練習会に参加しています。そのほかでは上越市の『R-Spec Kakizaki』というミニサーキットで行われている練習会にも参加しているのですが……そこにいる人たちが凄いんですよ」。

 湯浅さんによれば、胎内スキー場駐車場やR-Spec Kakizakiでの練習会には、たくさんの“おじさんたち”も参加している。そしてそのおじさんたちのなかには、若い頃は高いレベルのラリー競技に参戦していた人も多数いて、そういった猛者たちが長岡技術科学大学自動車部の若者たちに、それこそ手取り足取り“走り方”を教えてくれるのだという。

「そしてこれは新潟県人の気質だと思うのですが、皆さん本当にお優しいんです。『講師料をお支払いしているわけでもないのに、なぜそんなにニコニコと、本当に手取り足取り、超細かいテクニックまでを若造に教えていただけるのですか!』と叫びたくなるほど、皆さん親切なんですよね。そんな素敵なおじさまたちから実践的に学ばせていただけていることも、我々が『Formula Gymkhana 2024全国決勝大会』で優勝できた大きな要因だと思っています」。

 2025年のFormula Gymkhanaでも何かやってくれそう

 だが「まだまだ練習は足りない。もっと速くならなければ」とも、みなが思っている。たとえば今年の大会で第1ドライバーを務めた阿部聖大さん(修士1年)だ。

 ちなみに阿部さんは「僕が調べた限りでは、長岡技術科学大学の自動車部にだけは部室に2柱式の整備リフトがあったから」という理由だけで、この大学への入学(編入)と自動車部への入部を決めた人物だ。

「僕は本当にスピード狂で、これまでの部活も陸上とか水泳とか自転車など、速さを競うものばかりやっていました。その集大成的なものとしていま、自動車部にいるわけですが、地元のおじさまたちにいくら教わっても、そのとおりにできるわけではありません。ジムカーナの大会前の慣熟歩行(競技コースを覚えるために歩いてコースを確かめること)も、普通は文字どおり歩くものですが、僕の場合は“走る”に近いぐらいの早歩きで(笑)何周もします。しかしそれでも、おじさまたちと同じ走りができるわけではない。来年のFormula Gymkhanaまでに、もっともっと練習を重ねる必要がありますね」。

 そして「Formula Gymkhana 2024全国決勝大会」で第2ドライバーを務めた今川晴幹さん(学部2年)も、口をそろえる。

「今年の大会では確かにウチが優勝しましたが、それはあくまでもトップを走っていた近畿大学さんが痛恨のペナルティを与えられたからであって、生のタイムでは我々が負けていました。2025年の大会では、他校さんのペナルティがなかったとしても勝てるぐらいにならないといけませんね。そのためには練習あるのみです。幸いにして長岡市は駐車場代が安いので、我々のような学生であっても『1人1台、またはそれ以上』のクルマを容易に維持できます。そういった地の利も活かしながら精進していきたいと思っています。現在、クルマ以外にはとくに好きなものもありませんし(笑)」。

 以上のとおりの話を部員たちから聞くと、「子どものころからクルマが大好きで、それ以外のことは眼中になかった」的な人物像がイメージされるわけだが、必ずしもそうではない。たとえば「Formula Gymkhana 2024全国決勝大会」を第3ドライバーとして走りきり、結果として部を優勝に導いた小田英人さん(修士2年)は、長岡技術科学大学に入学するまでは「クルマにはとくに興味がなかった」という人物だ。

「高専時代はクルマを持っている友人から『ドライブに行こうよ』と誘われて、なんとなく一緒に行く──という程度でした。で、この学校に入学(編入)した際に、ただなんとなく自動車部なる部を覗いてみたら、なぜか部室でクルマのエンジンを降ろしている(笑)。それで『何なんだこの部は!』と思うと同時に『ちょっと手伝ってみる?』といわれて手伝ってみたら、意外と楽しかった……というのが入部のきっかけです。だから僕は、他のみんなと違って『生粋のカーマニア』みたいな感じではなかったんですね」。

 しかし、入部後はめきめきと整備とドライビングの腕を上げた小田さんは、クルマのことを大好きにもなり、2024年のFormula Gymkhanaでは前述のとおり第3ドライバー、つまり「最終ヒートを走るドライバー」になった。

「めちゃめちゃ緊張したというか、プレッシャーは凄かったですよ。第1ヒートと第2ヒートを走ったドライバーは後輩なんですが、『さて、僕らはちゃんと結果を出しましたけど、小田サンはどうかなぁ……?』なんていって煽ってきましたし(笑)。

 でも、そんなプレッシャーはそのうちワクワクに変わりましたね。『……ここでオレがいい走りをしたら、みんなはどんな顔で喜んでくれるだろうか?』みたいな感じで。で、結果としてやりきることができました。もちろん課題というか、できなかったことも多かったのですが、自分のなかでは『やりきった! 期待に応えることができた!』という感覚はあります。

 ……来年春にはエンジニアとして就職することが決まっていますが、社会人になってからもジムカーナは続けたいですし、まだわかりませんが、ダートラやラリーにも挑戦してみるかもしれません」

 全部で35名ほどいる長岡技術科学大学自動車部部員のうち、我々は5人に話を聞いたに過ぎない。だが彼らにインタビューすると同時に、多数集まった部員同士の会話などを盗み聞き(?)した限りにおいては、長岡技術科学大学自動車部の強さの秘密は「理系の学問に秀でた人にしばしば見られる、ある種の頑固さというかこだわりの強さ」と、「それと相反する“素直な明るさ”のようなもの」が、部全体において絶妙にブレンドされていること。そしてそこに「地元新潟の優しい猛者のおじさんたち」というスパイス加わったこと──なのではないかと思えた。

 この見立てが合っているかどうかはわからない。だが2025年のFormula Gymkhanaにおいても長岡技術科学大学自動車部はきっと、優勝争いをする一群に入ってくるだろう。楽しみにしながら、経過を見届けたい。

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みんなのコメント

4件
  • IM0470
    綺麗が全てでは無いんだよな。
  • ....
    自分達個人所有の車はピカピカなのに、競技で頑張ってくれてる車は最低限のメンテでボロボロのままなんですか?
    ボロボロにしておくことが美学なんでしょうか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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