現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタ流マーケティングの副産物か!!一世代で終わった悲運のトヨタ車たち

ここから本文です

トヨタ流マーケティングの副産物か!!一世代で終わった悲運のトヨタ車たち

掲載 13
トヨタ流マーケティングの副産物か!!一世代で終わった悲運のトヨタ車たち

 トヨタというと、ソツのないクルマ造りで広くユーザーに支持される車種を多くラインナップしていることもあり、退屈なクルマが多いとか、無難なクルマが多いという見方をされることも少なくない。

 しかし、なかには世界初の量産ハイブリッドカーとなったプリウスをリリースしてみたり、未開拓のジャンルにいきなり新車種を投入したりと思いきった動きを見せることも珍しくない。

トヨタ流マーケティングの副産物か!!一世代で終わった悲運のトヨタ車たち

 とはいえそんなモデルがすべて世の中に受け入れられたワケはなく、一世代でヒッソリと消えてしまった不遇のクルマも少なからず存在している。今回はそんな後継車種が存在しなかったトヨタ車を振り返ってみよう。

文/小鮒康一、写真/トヨタ、アストンマーティン

中途半端な大きさが災いしたデリボーイ(1989年7月登場)

バンライフブームなどもあり、デリボーイは中古市場で人気

 小口の集配送に特化した「日本初の大衆クラスのウォークスルーバン」として1989年7月にリリースされたデリボーイ。トヨタとしてはすでに同様のコンセプトを持つクイックデリバリーをリリースしていたが、小型商用車(4ナンバー)として登録できるモデルとして登場した。

 メカニズムの多くは同社の1トンクラスのトラックに使われていた部品を流用して作られており、ボディ側面のフラットなパネルは店舗のイメージに合わせたロゴやイラスト、ペイントを施す前提となっていた。

 その特徴的なルックスによって現在でも趣味のトランポとして根強い人気があるデリボーイだが、現役時代は小口配送であれば軽ワンボックスバンが、フルに荷物を積むのでればタウンエースバンが存在していたこともあり、後継車種が登場することなく姿を消した。

奇抜セリカの保険的存在と呼ばれたカレン(1994年1月登場)

奇抜なルックスとなったセリカの薄味版として登場したカレン

 1993年10月に登場した6代目セリカの兄弟車として翌年1月にデビューしたカレン。6代目セリカが先代までのリトラクタブルヘッドライトから一転、個性強めの丸目4灯モデルとなったことで、大人しい顔つきのカレンが用意されたとも言われている。

 そのため、セリカに設定されていたホッテストモデル「GT-FOUR」は用意されず、スポーツツインカムの3S-GE型エンジンを搭載するモデルが最もホットな仕様となっていたが、カレンはマイルドな1.8Lエンジンを搭載したグレードが売れ筋だったようだ。

 なお、カレンは顔つきだけでなくリアセクションもセリカとは異なっており、独立したトランクを持つノッチバッククーペとなっている。フロントマスクの違いだけでなく、ハッチバックとノッチバックで差別化を図って市場調査をしていたとすれば、トヨタ恐るべしと言わざるを得ない。

カレンのベースとなった、6代目セリカのノッチバッククーペ(北米仕様)

小さな高級車路線を推し進めたブレビス(2001年6月登場)

プログレをベースにセルシオ似のエクステリアを纏って若いユーザーを狙ったブレビスだったが、残念ながらヒット車種とはならなかった

 ブレビスは1998年に登場したプログレの兄弟車。明らかに保守的だったデザインのプログレに対し、ブレビスは当時のセルシオにも似たデザインとなっており「アクティブ・エレガンス」をキャッチコピーに若い世代をターゲットとしていた。

 プラットフォームやパワートレインこそプログレと共通であったものの、全長や全幅はプログレよりも大型化されており、インパネに至ってはプログレの面影は全くなく、オプティトロンメーターやセンター部分に埋め込まれたエレクトロマルチビジョン、乗用車としては世界初となる純正5.1ch対応のDVDシステムなどを備える先進的なものになっていた。

 しかしながら当時のトヨタの中~大型セダンにはセルシオを筆頭に、クラウン、アリスト、マークII、カムリ、プロナードと複数の車種が存在しており、明確なポジションを確保できることなくプログレと共に姿を消すこととなってしまった。

こちらがブレビスのベースとなったプログレ。小さな高級車という考え方は決して悪くなかったが、保守的過ぎたのが仇となったか?

マーケティング先行の色が強かったiQ(2008年10月登場)

マイクロカーとしてリリースされたiQにはさまざまな仕様や限定車などが追加された

 ドイツのスマートに代表されるマイクロカーのトヨタ版として2007年にコンセプトモデルを発表し、2008年から販売を開始したのがiQだ。

 1LエンジンとCVTという組み合わせのパワートレインと、全長3m弱と軽自動車よりも短い全長ながら4名乗車とした(実質的には3+1で、のちに2シーターも追加)パッケージングで、小さくても上質な車両を求めるユーザーをターゲットとして本革シートを備える「レザーパッケージ」なども用意されていた。

 しかしながら、価格面や使い勝手だけでみるとヴィッツやパッソの方が優れているため、一部のコアユーザー以外にはなかなか評価されないという状態が続いた。メーカー側も1.3Lエンジンや6速MTの追加、GAZOO Racingが開発を手掛けたチューニングモデルの「GRMN」、さらにパワートレインに手を加えて過給機をプラスした「GRMNスーパーチャージャー」などを限定でリリース。精力的にテコ入れをしていたが、ベース車の人気につながることはなかった。

 車両自体はあのアストンマーティンが(環境性能のためとはいえ)認め、シグネットというモデルのベースになるほどであったが、評価が高いからといって売れるわけでないという残念な一例となってしまったのである。

ルーフ、ドア、リアフェンダー以外は専用の外板を持つアストンマーティン シグネット。500万円弱の価格に見合った仕上がりとなっていた

欧州勢に果敢に挑んだブレイド(2006年12月登場)

「乗るといいんだけどね~」と言われる代名詞となってしまったブレイド

 実用車のイメージの強いハッチバックにプレミアム感をプラスし、「ショートプレミアム」というキャッチコピーで登場したブレイド。ある意味では「小さな高級車」のプログレの後継モデルとも言える1台だ。

 当初は2.4Lの直列4気筒エンジンを搭載するモデルのみだったが、2007年8月には280PSを発生するV6 3.5Lエンジンを搭載した「ブレイドマスター」も追加。V6、3.2Lエンジンを搭載したフォルクスワーゲンのゴルフ「R32」を意識していたのだろう。

 しかし、当のフォルクスワーゲンは2008年にリリースしたゴルフの6代目モデルからダウンサイジングターボを投入。ブレイド自体も1.5Lクラスのオーリスと車体を共有していたことでプレミアム感が薄く、販売は低迷。トヨタには珍しいパターンと言えるだろう。

 このようにあのトヨタでさえ、大ヒットにつながらなかったモデルは珍しくなく、理由もさまざま。チャレンジングなモデルもあれば、テスト的に販売したものもあり、この辺りはさすがトヨタといった余裕を感じなくもないが、なんにせよトヨタのクルマも深掘りしていけば新たな発見がある、ということがおわかりいただけたのではないだろうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
レスポンス
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
motorsport.com 日本版
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
レスポンス
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
motorsport.com 日本版
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
くるくら
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
くるまのニュース
これはクセスゴ!!  オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
これはクセスゴ!! オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
バイクのニュース
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
レスポンス
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
カー・アンド・ドライバー
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
日刊自動車新聞
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
AutoBild Japan
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
VAGUE
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
Webモーターマガジン
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
WEB CARTOP
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
くるまのニュース
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
バイクのニュース
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
Auto Prove

みんなのコメント

13件
  • ファンカーゴなんか良い車だったけどなやプロボベースで出してくれないかな?ルノーカングーがデカク成ったから
  • iQは軽規格で出してればもっと売れたと思う。
    さすがに実質2人乗りで普通車では買う人が限られてしまう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村