この記事をまとめると
■第二世代のスカイラインGT-Rはいまだに人気が高い
5世代すべてが絶対王者のスカイラインGT-Rに挑み続けたライバル車たち
■中古車はコンディションにかかわらず高値をつけている状況
■伝説的な存在に成り上がった理由について解説する
スカイラインGT-Rは国産車が世界に並んだことを象徴するモデル
ネオクラシックと呼ばれる1980年代~90年代の国産車人気は上昇し続けている。とくにBNR32/BCNR33/BNR34といった型式で知られる日産スカイラインGT-Rの中古車はコンディションにかかわらず高値をつけている状況だ。
1969年~1972年に生産されたスカイラインGT-R(ハコスカ、ケンメリ)を第一世代として、第二世代GT-RとしてまとめられることもあるBNR32/BCNR33/BNR34は、なぜこれほど人気が高いのだろうか。
ひとつには、BNR32が「国産スポーツカーが世界のレベルに到達した」ことを象徴しているからだろう。それまで海外勢に比べて国産車は性能面では劣っているというのが定説であったし、実際にハイパフォーマンス系モデルを乗り比べるとハンドリング、加速力のいずれも負けていると感じるシーンが多かった。
しかし、1980年代後半、いわゆるバブル期に開発された国産車は一気にレベルアップを果たした。スカイラインGT-Rだけでなく、世界基準で勝負できるモデルが増えたが、その象徴的存在なのがスカイラインGT-Rだったといえるだろう。
そうしたパフォーマンスを明確に示したのが、全日本ツーリングカー選手権(JTC)だ。国際格式の市販車改造レースであるJTCはいくつかのクラスにわけられていたが、最高峰クラスでは海外勢に歯が立たない状況だった。
レースマシンのレギュレーションがグループAという、現在のツーリングカーレースから見ると改造範囲が狭いこともあり、量産状態でのポテンシャルが勝負を左右する状況だったからだ。そのため、メーカーワークスよりも欧州からマシンを持ち込んできたチームのほうに勝負権があった。当時のライバルはフォード・シエラRSコスワースだった。
日産スカイライン(R31型)やトヨタ・スープラ(A70型)といった国産パフォーマンスモデルは海外勢に勝てない……とユーザーがあきらめていたとき、BNR32スカイラインGT-Rは登場した。
圧倒的な速さでグループAレースをワンメイク化!
グループAのレギュレーションを吟味した2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジン、ハンドリングと加速を両立するトルクスプリット4WDといったスカイラインGT-Rのメカニズムが生み出す速さは圧倒的で、グループAレースにおいて最強のパッケージとなっていった。
あっという間にJTCの最高峰クラスはスカイラインGT-Rのワンメイクレース状態となり、同じスカイラインGT-Rの中で速さを競い合う状況になっていったのも、その圧倒的なパフォーマンスを実感させたものだ。
そんなスカイラインGT-R速さの秘密は、やはり2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジンにある。「RB26DETT」という型式で知られる、このハイパフォーマンスエンジンは、カタログスペックこそ自主規制に合わせて280馬力だったが、500馬力オーバーを考慮した設計になっているともいわれた。実際、チューニングを施せば、たしかに500馬力を狙うことができるエンジンだった。
500馬力オーバーのパワーユニットを積んでいるということは、2020年代のスーパースポーツと比しても同等のパフォーマンスが期待できるということである。つまり、第二世代スカイラインGT-Rについていえば、単に懐かしいスポーツカーというだけでなく、現在でも一線級の性能を持つ稀有なネオクラシックスポーツカーといえるのだ。
当然ながらエンジンの基本設計は同じであっても、設計年次の違いからBNR32よりはBCNR33、BCNR33よりBNR34のほうがシャシー性能は高まっているといえる。その意味では第二世代の終着点といえるBNR34が最高の性能を持っている。そうしたこともあって、この3モデルの人気が揃って上がり続けているのだろう。
なお、冒頭で国産スポーツモデルが世界レベルに到達したと書いた。実際、市販車を改造して行なわれていた当時のWRC(世界ラリー選手権)でもトヨタ・セリカ、三菱ランサーエボリューション、スバル・インプレッサが多くの勝利をあげるなど、グループA規格において国産車は大いに飛躍した印象がある。あらためて、そうした象徴となるのがスカイラインGT-Rであり、そうした背景も含めて、このモデルは伝説的存在になっているといえる。
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みんなのコメント
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