スバルのアイサイトをはじめとしたカメラを使った運転支援システム&自動ブレーキの普及は歓迎すべきことである。
その反面でこの種の安全装備の普及に伴い、この種の安全装備はフロントガラスにカメラが付いているだけに「飛び石などでフロントガラスの補修、交換が必要になった場合に費用が非常に高い」という声も増えつつある。
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ここではアイサイトを例にガラスの補修、交換が必要になった際の費用を調べてみた。
文/永田恵一、写真/SUBARU、AdobeStock
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■アイサイトなしの場合
先代のBRZにはアイサイトは装着されていなかった。フロントガラスが破損して交換するといった場合、社外製互換品が使えるというメリットがあった
※以下費用はディーラーでの作業の場合の概算
スバルの自社製登録車でアイサイトなしのモデルはほとんどないため、先代BRZを例に挙げると
●部品代
フロントガラス(純正新品):9万円
モールやテレビのフィルムアンテナなどの付属物:1万円
●工賃:2万円
合計12万円程度だ。しかし、アイサイトなしであれば作業を外部のガラス屋さんに直接頼む、ガラスは中古品や安価な輸入品、紫外線や赤外線をカットし、日焼けや車内の温度上昇を抑える旭硝子のクールベールなどの社外品のガラスを修理ついでに選ぶ、補修で済む可能性もあると、選択肢はいろいろある。
■アイサイト付の場合
新型BRZにはアイサイトが装備される。フロントガラス修理に使用可能なのは純正品のみとなり、アイサイトの調整などが必要になるため費用は上がる
※アイサイト付きの車両の一例
●部品代
フロントガラス(純正部品):15万円
モールやテレビのフィルムアンテナなどの付属物:1万円
●工賃
ガラス交換そのもの:2万円
エーミング※:2万円
(※エーミングとはガラスを交換した際に必要になる、アイサイトの調整作業)
合計20万円程度と、一気には跳ね上がる。その挙句アイサイト用のフロントガラスは専用品なので、純正部品以外の選択肢は中古品を含めゼロに近い。
また、エーミング作業は器材が必要になる関係もありディーラー以外でできるところは少ない。トドメに補修もアイサイトはステレオカメラを持つため補修できる範囲がかなり狭く、結果的にガラス交換を余儀なくされることも多い。
まとめると、アイサイト装着車のガラス交換、補修は修理方法の選択肢が少ないのも含め、やはり非常に高いというのが結論だ。
■ガラス交換の際に車両保険は有効か?
飛び石被害の確率は決して低いものではない。しかし保険等級の変動を考えると自動車保険の安易な使用も考えものだ(kelly marken@AdobeStock)
アイサイトなどが付いているクルマのフロントガラス交換は高いのに加え、飛び石は遭遇する可能性が小さくないだけに、その対応も含め車両保険の加入を考える人も少なくないだろう。
しばらく前までは主に相手を特定できた際だけに使えるエコノミータイプを含め車両保険に入っていれば、飛び石により掛かったフロントガラスの修理代は免責だけで、等級も変わらず修理できた。
しかし、現在は飛び石による保険の利用や支払いが増えたためなのか、飛び石によるガラスの修理で車両保険を使うと、免責に加え等級も事故ありの1等級ダウンとなる。
そのため、飛び石によるガラスの修理で車両保険を使うと、等級が戻るのは使った2年後で、よく言われる「保険を使った方が損、得」という話となる。
先々の保険代も考えると、飛び石によるガラスの修理を含め、車両保険はそう簡単に使えるものではない。
その中で1つの方法はディーラーを通し加入するスバルの保険プランだ。スバルの保険プランは車両保険の加入を前提に、いろいろな特典があるのだが、アイサイト装着車向けにアイサイトプラスというものがある。
これは3年間以上の長期契約という条件かつ新車から6年までのアイサイト装着車を対象に、契約期間に1回フロントガラスの補修代が車種によって5万円か7万円で済むというもので、非常に心強い。
他社で聞いたことはないが、フロントガラスにカメラなどが付いているクルマに乗っていて、もしそういった特約などをやっている保険会社やメーカー&ディーラーがあるなら、加入する意味はあるだろう。
飛び石の対策
・飛び石を防ぐ対策としてはダンプカーなどが前を走っていたら、車線を変えるなどして離れる
・走行中は理由があるとき以外内気循環ではなく外気導入
フロントガラスを風船で例えれば内気循環の空気で張った緊張状態ではなく、外気導入で空気が抜けた柔軟性のある状態にして、飛び石が当たってもガラスにクッション性を持たせて破損を防ぐということがある。
■まとめ
すでに現行車のほとんどが該当するガラスに付くカメラ、グリルに付くミリ波レーダー、バンパーに付くセンサーなどを持つ安全装備付のクルマは、多かれ少なかれ例にしたアイサイトのように補修の際の部品代や工賃が高いというのは頭に入れておくべきだろう。
この点は補修費が安くなるのに越したことはないが、事故を防いでくれるものだけに「事故で掛かる損害よりは、補修代の方が安い」と考えて、基本的に非装着にはせずに割り切って付き合って行くべきだろう。
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