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超人気のスズキ「ジムニー」なぜ納車待ち解消されない? 増産したのにどんどん売れる!? 新型5ドア国内導入の目処は?

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超人気のスズキ「ジムニー」なぜ納車待ち解消されない? 増産したのにどんどん売れる!? 新型5ドア国内導入の目処は?

■ジムニーの納期はなぜ短縮されない?

 新型コロナウイルスの感染拡大により、半導体やワイヤーハーネスなどの供給が滞り、クルマの納期が一斉に遅れました。ただしすべての納期遅延が、新型コロナウイルスの影響によるものではありません。車種によってはそれ以前から納期が遅れていました。
 
 その典型が軽自動車のスズキ「ジムニー」と、小型車版の「ジムニーシエラ」です。
 
 両車ともに2018年7月に発売されると早々に納期が1年以上となり、今でも同じ状態が続いています。

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 2018年の段階ではジムニーとジムニーシエラは生産規模が小さく、ジムニーが1年間に1万5000台(1か月当たり1250台)、ジムニーシエラは1年間に1200台(1か月当たり100台)でした。

 ちなみにジムニーは、フルモデルチェンジの直前となる2017年でも、1か月平均で1124台を届け出していました。

 2018年に行われたフルモデルチェンジは実に20年ぶりで、新型の登場を待っていたユーザーも多かったことを考えると、国内販売目標が1か月当たり1250台では納期遅延に陥って当然でしょう。

 そこでスズキは生産規模を増やしました。ジムニーの2018年後半の届け出台数は、1か月に1700台から2000台と国内販売目標を少し上まわる程度でしたが、2019年には2500台を超えて国内販売目標の2倍以上です。

 さらに2020年には、ジムニーは新型コロナウイルスの影響を受けながらも1か月平均3171台となり、2021年は3285台、2022年は3450台まで増えました。

 先代ジムニーは特殊な軽自動車とされ、10年前の2013年の1か月平均届け出台数は1299台でしたが、現行型になって急増したのです。

 現行ジムニーが人気を高めた理由は、大きく分けて2つあります。1つ目はデザインを含めた商品力の向上です。

 外観は直線基調でシンプルに仕上げ、悪路向けのSUVらしさを濃厚に感じさせます。内装もブラックで統一されてデザインはシンプルですが、質感は高く、さらには衝突被害軽減ブレーキなどの装備も充実させました。

 このように現行ジムニーは魅力を増して、売れ行きも増加したのです。

 2つ目の理由は、SUVを取り巻く市場の変化です。今はSUVの人気が高く、新車として売られる小型/普通乗用車の30%以上を占めます。SUVはミニバンを抜いて、コンパクトカーと並ぶ人気のカテゴリに拡大しました。

 ただし、昨今のSUVは、乗用車と共通のプラットフォームを使うシティ派がメイン。コンパクトなトヨタ「ヤリスクロス」からミドルサイズのトヨタ「ハリアー」など、デザインは都会的で、運転感覚も乗用車と変わらず、しかも価格が高く、似通った雰囲気のSUVが増えました。

 この影響で、SUVユーザーの間で原点回帰の傾向が見られるようになりました。トヨタ「ランドクルーザー」や輸入車のジープ「ラングラー」など、後輪駆動をベースにした4WDを採用する悪路走破力の優れた伝統的なSUVが注目されています。

 ジムニーもまさにこのタイプで、売れ行きが伸びています。ジムニーとジムニーシエラの長い納期も、原点回帰の根強い人気によるものだといえます。

■新型「ジムニ―5ドア」国内導入はどうなる?

 ジムニーの人気と納期について、スズキの販売店は以下のようにいいます。

「ジムニーとジムニーシエラの納期は、今でもジムニーが1年から1年半、ジムニーシエラは2年近くを要することもあります。

 メーカーは増産していますが、それに応じて受注台数も増える不思議な状態が続いています」

 ジムニーの届け出台数は、先に述べた通り2018年の後半は1か月に1700台~2000台でしたが、2022年は2倍前後の3450台に増えています。それでも納期は短くならないのです。

 それなら生産規模を大幅に増やす方法もあるでしょう。特にインドで発売されたジムニーシエラの5ドア仕様は、国内投入に期待しているユーザーも多いです。

 ジムニー5ドアをインドから輸入する方法もありますが、日本で生産すれば台数を大きく増やせます。

 しかしメーカーには、国内の増産に踏み切れない事情もあります。メーカーや販売店の話を総合すると、2つの理由がありました。

 1つ目の理由は、生産設備を増やして増産すると、その後も同等の生産台数を保たねばならないことです。人気が下がって生産台数も減ると、メーカーは過剰な生産設備を持つことになるため、なかなか増産に踏み切れません。

 2つ目の理由はジムニーの燃費が悪いことです。今は二酸化炭素の排出抑制を目的に、企業別平均燃費規制が実施されています。各メーカーの全車種の燃費数値と販売台数に応じた平均燃費を算出して、それを一定の範囲内に収めねばなりません。

 欧州では平均燃費規制値を達成できないと罰金を請求されます。国内では今のところ罰則はありませんが、努力目標とされているのです。

 スズキは軽自動車とコンパクトカーが中心のメーカーですから、乗用車の燃費数値は全般的に優れていますが、ジムニーとジムニーシエラは例外的です。

 例えばジムニー/ジムニーシエラの4速ATはWLTCモード燃費が14.3km/Lです。ベーシック軽コンパクト「アルト」の23.5km/L~27.7km/Lに比べると、2倍近い燃料を消費します。

 燃料消費量の多いジムニーやジムニーシエラが数多く売られると、スズキの平均燃費値が悪化。スズキの販売店では「燃費規制とのバランスもあり、ジムニーの大量な生産と販売には踏み込めない事情もあるでしょう」と述べています。

 ジムニーは、従来型に比べて国内需要が格段に増えたのに、燃費規制などによって大量に生産しにくい事情があります。これらの原因が相まって、納期が常に1年以上に延びているのです。

 そしてジムニー5ドアは車両重量が3ドアを上まわり、燃費性能はさらに悪くなることが予想され、しかも国内に導入すれば間違いなくヒット商品になるはずです。そうすると納期も一層遅延することになり、そのため現状では国内発売は考えにくいと言わざるを得ません。

 ジムニー5ドアへの望みがあるとすれば、燃費を向上させることが必要でしょう。ジムニーシエラのエンジンは、先代型は直列4気筒1.3リッター(M13A型)でしたが、現行型では設計の新しい1.5リッター(K15B型)を搭載しています。

 フルモデルチェンジで間もなく新型になる「スイフト」は、さらに新しい1.2リッター直列3気筒(Z12E型)を採用します。このエンジンの排気量を拡大して、AT車も日本向けのCVT(無段変速AT)に切り替える工夫を施せば、ジムニー5ドアの国内投入が可能になるかもしれません。

 軽自動車のジムニーの燃費も同様です。今は「R06A型」を搭載していますが、新型「スペーシア」のNAエンジン車などには、設計の新しい「R06D型」を採用。燃費性能が向上しており、ジムニーも燃費改善の余地があるでしょう。

※ ※ ※

 日本のユーザーが求めているのは、威圧感のある大型のSUVではなく、ジムニーや5ドアボディを含めたジムニーシエラのような車種だと筆者(渡辺陽一郎)は思います。

 ジムニーは国内市場に最適な商品で、新型ではファンも増えました。燃費規制などに対応して商品力を向上させ、ジムニー5ドアも加えて欲しいところです。

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みんなのコメント

38件
  • ********
    今日も車体から物凄い勢いでタイヤがはみ出てるジムニーが走ってた。
    警察、ちゃんと取り締まり強化してよ。

  • jun********
    というかでかい声で納期納期言ってるのは契約すらしてない奴が大半で。
    契約しなけりゃ3年待っても5年待っても来ませんわ。言うほど待たされてないのが実情なのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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