ロングホイールベースのベンテイガ
2015年に「世界初のラグジュアリーSUV」として発売されたベンテイガ。
【画像】ベンテイガのロング版【ベンテイガEWBを細部まで見る】 全117枚
ベントレーらしい豪奢な内外装の作り込みにくわえ、グランドツアラーに相応しい走りの力強さと快適性を実現したこのモデルは、またたく間にヒット作となり、いまやベントレーを支える大黒柱へと成長している。
ちなみに、2021年に生産されたベンテイガは5838台で、ベントレー中トップ。全体に占める割合でも39.5%と突出して高い数値を誇っている。
こうした成功にライバルブランドが刺激を受けたのは当然のこと。
その後を追うように、ランボルギーニ、ロールスロイス、アストン マーティンなどが次々とSUV市場に参入し、ついにはフェラーリまでもがプロサングエで対抗しようとしている。まさに百花繚乱の様相だ。
こうした事態に、ベントレーも手をこまねいていたわけではなく、スポーティなハンドリングのV8、よりパワフルなスピード、PHEVのハイブリッドなどを投入したほか、2020年には大規模なマイナーチェンジを実施してテコ入れを図っていた。
それでも、ボディサイズだけは如何ともしがたかった。
ベンテイガの全長は5125mmで決して短くないが、ホイールベースは2995mmで、カリナンの3295mmはともかく、DBXの3060mmやウルスの3003mmにも及ばない。
これが後席のレッグルームに影響するのは当然のこと。
そこでロングホイールベース版のベンテイガEWBを追加し、形勢逆転を図ろうとしたのである。
後席へ ベントレー流「おもてなし」
EWBとはExtended WheelBaseの頭文字で、要はロングホイールベースのイギリス的表現。
そのレシピはベンテイガのホイールベースを180mm延長して3175mmとし、ライバルに対する優位性を確保するというものだ。
しかも、ただホイールベースを伸ばすだけでなく、後席に「エアラインシートスペシフィケーション」を設定。
4シーターモデルに用意されるこの特別なシートは、22通りのシート調整を備えているほか、リラックスモードを選べばシートバックが40°まで倒れるとともに、助手席が自動的に前進して前傾し、助手席のシートバックからフットレストが現れるというもの。
まあ、この手の仕掛けは最近よく見かけるが、ベンテイガEWBの場合は、ゴロッと寝転がる姿勢までシートバックが倒れるのではなく、上半身をほどよく脱力できる程度にリクラインするのが特徴的。
実際に試してみると、このほうがコーナリング時にも上半身を支えるのが楽で、クルマ移動を考えた設定であることが確認できた。
このエアラインシートスペシフィケーションはさらにオートクライメートシステム(乗員の体温と表面湿度を検知してヒーターやベンチレーターなどを自動設定する機能)や姿勢調整システム(シート表面の圧力を測定して着座姿勢などを自動的に微調整する機能)などを装備。
後席乗員の疲労を最小限に抑えるのに役立つという。
「快適さ」増す 「ロング」の恩恵
ベンテイガEWBで進化していたのは、後席の居住性だけではなかった。
まず、キャビンの静粛性が改善され、タイヤが発する「ゴーッ」というロードノイズがこれまで以上に小さくなった。
もちろん、従来のベンテイガも決してロードノイズがうるさかったわけではないが、EWBのほうが静かなことは間違いない。
聞けば、騒音レベルを下げるために遮音材をふんだんに使ったという。
乗り心地の変化も見逃せない。
既存のベンテイガは、グランドツアラーとしてのベントレーらしく、乗り心地はソフトななかにも明確な「芯の強さ」のようなものが認められたが、EWBではこの「芯の強さ」が遠のき、ソフトな印象がより鮮明になった。
こうした傾向は、前席だけでなく後席でも感じられるもので、標準ホイールベース仕様では乗り心地に多少のガマンが強いられたスポーツ・モードでも、EWBの後席であればベントレー推奨のBモードと変わらないくらいの快適性が味わえる。
聞けば、EWBでは電子制御式エアサスペンションの設定も見直されたようだが、それとともに、ホイールベースが長くなったことで足まわりの入力地点が乗員から離れ、これによって衝撃の度合いそのものが小さくなったことも大いに影響しているように思う。
剛性が効く 正確なハンドリングは健在
ハンドリングはどうか?
一般的にいって、ホイールベースが長くなればハンドリングがダルになるのは自然の摂理。
しかも、世にあるロングホイールベース版のなかにはボディ剛性が下がっているものも少なからずあり、このためステアリングレスポンスはさらに低下。
くわえて、ハンドリングのあいまいさも悪化するといった具合で、ワインディングロードが苦手なロングホイールベースは少なくない。
しかし、ベンテイガEWBは違う。
まず、ロングホイールベース版にありがちなボディ剛性の低下がほとんど認められない。
このため、ベンテイガの正確なハンドリングは健在。
しかも、ホイールベースが180mmも延長されたのに、ステアリングレスポンスが標準ホイールベース版とまるで変わらないように思えたのは驚きだった。
その理由を、試乗会にいあわせたエンジニアに訊ねたところ、「ベンテイガEWBは新たに4WSを搭載し、低速域では後輪を逆相に操舵してレスポンスを改善しています」との回答を得たが、実際には低速域だけでなく、中高速域でも良好なステアリングレスポンスが楽しめる。
この辺は、ボディ剛性の低下を防ぐとともに、エアサスペンションやアクティブアンチロールバーの設定を細かく見直した成果だろう。
V8 4.0Lツインターボエンジンのパフォーマンスにもまったく不満を覚えなかったベンテイガEWB。
乗り心地やハンドリングで失った部分が見当たらず、スタイリング面でも間延びした印象を与えないEWBが、今後はベンテイガの主力モデルに躍り出るような気がして仕方なかった。
ベントレー・ベンテイガEWBのスペック
価格:2675万円
全長:5305mm
全幅:1995mm
全高:1739mm
ホイールベース:3175mm
車両重量:2514kg
パワートレイン:V8気筒3996ccツインターボ
最高出力:550ps/5750-6000rpm
最大トルク:78.5kg/2000-4500rpm
ギアボックス:8速DCT
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