日本自動車タイヤ協会が定めた基準をクリアしなければならない
クルマは消耗品の塊という部分もある。燃料補給は必要だし、エンジンオイルなどの油脂類も定期交換が必要。そして重要なのがタイヤだ。見た目でわかるように山は減っていくし、紫外線などによってひび割れも起こしてしまう。そして、いまどきのタイヤ選びにおいてキーワードとなっているのは「エコ」ということだろう。いわゆる「エコタイヤ」を選ぶことで省燃費性能にも寄与するし、また安全面にもプラスになるという。はたして「エコタイヤ」の基準とは何だろうか。
ブリヂストン「エコピア」やヨコハマ「エコス」といったように“エコ”を名前に入れてわかりやすくアピールしているタイヤもあるが、名前だけがエコタイヤの識別ポイントではない。じつは日本自動車タイヤ協会(JATMA)によってエコタイヤの基準は明確に決められている。JATMAが策定したグレーディングシステム(等級制度)というのがあるのだが、その等級制度において低燃費性(転がり抵抗性能)と安全性(ウエットグリップ性能)がそれぞれの基準値をクリアしているタイヤだけを「エコタイヤ(低燃費タイヤ)」と呼ぶことができるのだ。この基準を満たしているかどうかが、エコタイヤと普通のタイヤの境目だ。
より細かくいえば、「転がり抵抗性能」の等級がAAA・AA・Aに該当し、なおかつ「ウエットグリップ性能」の等級がa・b・c・dに該当するタイヤだけが客観的にエコタイヤといえるのだ。この基準を満たすと「低燃費タイヤ」の統一マークを表示することができるようになる。カタログや店頭でエコタイヤを探すときは、このマークが目印になる。逆にいえばエコを感じさせる名前であっても「低燃費タイヤ」のマークがなければ、エコタイヤとして認めるだけの性能を有していないと判断することができる。
とくに重視したいのはウエットグリップ性能
ところで、エコタイヤとして認められるグレーティングで注目したいのはウエット性能だ。ドライでの転がり抵抗を高めていくと、ウエット性能がおざなりになる傾向がある。燃費も大事だが、安全はもっと重要だ。つまりJATMAがエコタイヤの基準としてウエットグリップ性能を定めているのは、安全第一という姿勢の表れといえる。もちろん、それはすべてのドライバーの願いだろう。
基本的に転がり抵抗とウエットグリップは相反する傾向にある。つまりグレーティングにおいて転がり抵抗「AAA(トリプルA)」とウエット性能「a」を同時獲得しているタイヤというのは、最高級のエコタイヤということになる。いまや、ほとんどの国産タイヤメーカーにおいて、エコタイヤのフラッグシップモデルにおいては「AAA-a」を実現している。
タイヤというのはけっして安い買い物ではないので、素性がわからなくても安いタイヤに手を出したくなるものだが、安全を担保するのはタイヤによるところが大きい。「安物買いの銭失い」で済めばいいが、取り戻せないものを失ってしまう可能性もある。タイヤには命を預けるという意識で、慎重に選んでほしい。
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