かつては、ほぼすべてのクルマで採用されていた「フェンダーミラー」。しかし現在のクルマは、ほとんどが前席ドア外側に取り付けるドアミラーを採用しており、フェンダーミラーは、一部タクシーを除いては、採用されていません。
ただ、逆にいえば、いまも一部タクシーでは採用されているわけで、「働くクルマ」であるタクシーで採用されていることを考えれば、フェンダーミラーにはメリットもあるはず。フェンダーミラーのメリットとデメリットを考えてみました。
実はフェンダーミラーは使いやすかった?メリットデメリットと消滅した理由
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:写真AC_ Rosh164
写真:NISSAN、HONDA、写真 AC
輸入車と足並みを揃えるため、日本でもドアミラーを解禁
クルマの後側方確認のためのサイドミラーの装着は、日本では1951年に義務化されました。当時は、死角が少ない、目線の移動量が少なく後側方を確認できるという判断から、フェンダーミラーのほうがドアミラーより安全とされ、日本ではドアミラーは認可されませんでした。
一方欧米では、1960年代、すでに流麗なスタイリングにフィットするドアミラーが主流となっていました。そのため、ドアミラー装着車を日本に輸出したい海外メーカーから不満の声が上がり、1977年頃には輸入車のみドアミラーが認可されるようになりました。その後、国内メーカーからも国際競争力の観点から強い要望があり、1983年に国産車もドアミラーが解禁されたのです。
国産車で最初にドアミラーを装着したのは、日産の「パルサーEXA」で、その後トヨタ「カローラ/スプリンター」など、各メーカーも続きました。現在も、法規上は、ドアミラーでもフェンダーミラーでも、また両方装着することも可能ですが、冒頭で触れたように、現在は一部のタクシーを除いて、ほぼすべての乗用車はドアミラーを採用しています。
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フェンダーミラーのほうが安全??
フェンダーミラーのメリットは、主に次の3つです。
・目線の移動量が少なく、左右確認のために首を振る必要がない
フェンダーミラーはドアミラーよりも前方にあるために、ドライバーはほとんど首を振ることなく、わずかな目線の移動だけで済みます。ドアミラーでは、助手席側のミラーを見るときには首を振る必要があり、長時間運転する場合は、フェンダーミラーのほうが疲労軽減につながるのです
・死角が少なく、後側方が広く見渡せて安全
前方にあるフェンダーミラーのほうが、(ミラーに映る画は小さいですが)後側方の死角が少なく、広く見渡せます
・ミラーの横方向の張り出し量が小さいので、車幅が狭く運転しやすい
一般的には、ドアミラーよりもフェンダーミラーのほうがミラーの張り出し量が少なく、車幅が狭くなります。狭い路地などで走行しやすいこと、またフェンダーのミラーが目印となって車幅感覚をつかみやすいこともメリットです
疲れにくい、狭い路地でも安全に運転しやすい、という点は、タクシーのドライバーにとっては重要であり、これが今も多くのタクシーがフェンダーミラーを採用している理由です。また、ドアミラーだと、助手席の乗客が大きな荷物を持っている場合などには助手席側のドアミラーが見難くなるということもありますし、左右確認のために運転手が頻繁に首を左右に振ると、助手席の乗員をチラチラ見ていると勘違いされやすいという、タクシー特有の事情もあるようです。
多くのタクシーは、目線の移動量が少なく疲れにくい、死角が少ない、車幅が狭いなどのメリットを重視して、フェンダーミラーを装着している(PHOTO:写真AC_NiraiStyles)
デザイン性に加えて、突起物規制によっても、フェンダーミラーは絶滅状態に
ドアミラーは、ドアに直付けされているので、一体感ある美しいボディフォルムを形成することができます。特に、フロントフェンダーが低いスポーツモデルや、フロントフェンダーが短く傾斜の大きいクルマにとっては、ドアミラーが必須なのです。
フェンダーミラー絶滅の追い打ちをかけたのが、2001年に保安基準で規定された「車室外突起物規制」です。衝突時など車外の人との接触による受傷を軽減するため、ボディに鋭い突起物がないことを定めた法令で、デザイン性を求めて鋭い形状とした一部のフェンダーミラーは、衝突時に傷害物になる可能性が高く、歩行者保護の観点からも規制が必要とされたのです。
現在のタクシーにつけられているフェンダーミラーは、鋭利な部分を極力なくし、たとえ衝突してもミラー側が倒れて被害物へ危害を与えない、法規対応構造となっています。また、ドアミラーも突起物ですが、走行時に衝撃が加われば倒れる緩衝構造、かつ停車時には格納できる構造であり、規制をクリアするものです。
フェンダーミラーにはほかにも、映る画が小さく距離感が掴みにくい、ミラーの角度調整や水滴の拭き取りに手間がかかるといった、ドアミラーより劣る点もいくつかあり、前述したようにメリットも少なくないものの、最終的にはデザイン性に優れるドアミラーが優先された、というのが、現在フェンダーミラーが絶滅寸前となっている理由でしょう。そう考えると、デザインよりも機能を重視するタクシーにはいまも残っていることについても、納得ができます。
1978年にデビューした2代目(S130型)日産「フェアレディZ」、まだフェンダーミラーを装着
1983年にデビューした3代目(Z31型)日産「フェアレディZ」。3代目からドアミラーに変更し、突起物がなくなり、流麗なスタイリングとなった
◆ ◆ ◆
ただ、現在はカメラモニタリングシステムが普及してきていることから、今後はタクシーからもフェンダーミラーが消えていくかもしれませんね。もちろん(「ミラー」ではなく)「カメラ」であれば、現状のドアミラーの位置に設置する必要もなく、また、空力との関係もあり、「ミラー」そのものが設置場所や形状だけでなく役割を変えてゆく時期でもあります。どのように変化してゆくのか、楽しみです。
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みんなのコメント
国内メーカーも主戦場の海外仕様そのままに国内で売れれば安上がり。
その他にも、ハーレーが売れないから、二輪の免許改正、3ナンバー車が買いやすいように自動車税の改正など。
要するに、日本は外圧に弱いからね。
電気自動車も同様に、海外で普及してしまえば、国内でHVへの締め付けがされるだろう。
当家に軽トラックが昔から有る
ドアミラー禁止の時から、軽トラックはカッコ良くドアミラーだった。未来の装備だった