本格的な量産を目指したブリストル
第二次大戦後、ブリストル・エアロプレーン社から派生し誕生した、ブリストル・カーズ。1961年以降は、ジョージ・ホワイト氏とアンソニー・クルック氏という新体制のもと、直線基調のグランドツアラーが生産された。
【画像】ブランド最後で究極の6気筒クーペ 406 S 個性的なブリストル 同時期の英国車たち 全147枚
クライスラー社製のV8エンジンを搭載し、徐々にパワーとラグジュアリーさが高められていった。身長が180cmある大人が4名快適に乗れ、その荷物を余裕で積める、長距離旅行を想定した2ドアサルーンだった。ひと癖あるスタイリングも特徴といえた。
そんな時代のブリストル407や411は、職人による手作りで受注生産に近く、ディーラーはロンドン・ケンジントン・ハイストリートの1か所のみ。右ハンドルの英国が、主要な市場になった。
だがそれ以前、1946年から1960年にかけては、本格的な量産が目指されていた。ボディスタイルには4ドアも用意され、コンバーチブルも選択可能。ボックスセクション構造のシャシーには、ショートホイールベースも設定された。
運転の楽しさも大切な要素として開発され、必要な点検・整備を怠らなければ、普段使いにも問題なく対応できた。そのベースにあったのは、第二次大戦の戦利品といえた、戦前のBMWの技術。先進的な設計にあり、戦後にも伸びしろは充分あった。
1950年代半ばには、403と404、405という3車種をラインナップ。奇抜なスタイリングのスポーツレーサー、450 ル・マンを擁するモータースポーツ部門も存在し、ACカーズにはエンジンを販売してもいた。
裕福なカーマニアから一定の支持
とはいえ、量産のピークは1951年。1947年から1950年まで提供された、クラシカルなアルミニウム製ボディを載せた400が、初期のブリストル・カーズでは1番生産数の多いモデルといえる。それでも約700台に留まり、401と403は更に少ない。
ボックスセクションのサイドメンバーを持つシャシーは、単体で剛性が高く、様々なボディを架装できた。ファリーナやトゥーリング、ベルトーネなどのコーチビルド・ボディを載せた少量生産モデルや、1台限りのワンオフも複数提供されている。
エンジンは、プッシュロッド式の2.0L直列6気筒。高精度なトランスミッションと、正確なラック&ピニオン式ステアリング、煮詰められたリジッドアクスルが組み合わされ、裕福なカーマニアから一定の支持を集めた。
一方、1960年代が近づくにつれて、シャシーとボディが一体のモノコック構造が普及。フォードやBMC、ヴォグゾール(英国オペル)は、新世代の6気筒サルーンを安価に提供し始める。価格価値に秀でたジャガーMk VIIや2.4なども、存在感を強めていった。
ブリストルの技術者は変化を理解し、次期モデルの開発へ取り組んだ。小規模な自動車メーカーから、排気量を拡大したエンジンを積んだ、高級車メーカーへのシフトも同時に進められた。プロジェクト220では、ジャガーに対抗できる内容が必要とされた。
ブランドの特徴が色濃いスタイリング
この裏では、航空機事業の再編も進んでいた。1959年に、ブリストル・エアロ・エンジン社とアームストロング・シドレー・エンジン社が合併。ブリストル・シドレー社が誕生し、そこで生産される4.0L直6エンジンの採用が、ブリストル・カーズへ提案された。
ところが、そのユニットは大きく重すぎた。レスポンスも悪く、次期モデルには望ましくなかった。ジェットエンジンを発明した英国ではあったが、戦後は在庫がだぶつき、資金繰りが悪化。航空機事業は、破綻寸前の状態にあったという。
それ以前の1956年には、ブリストル・エアロプレーン社は航空機と航空機用エンジン、自動車の3部門へ分割されていた。新モデルの開発資金はほぼ存在せず、航空機部門からの後ろ盾も消滅。BMW由来の、古い6気筒エンジンを作り続ける状況が続いていた。
かくして、プロジェクト220の成果として誕生したのが、405の後を継ぎ、最後の6気筒エンジン・ブリストルとなった406だ。エンジンは2.2Lへ拡大。ダンロップ社製のディスクブレーキが前後に組まれ、サスペンションも安定性が高められていた。
上級2ドアサルーンとして、406は1958年に発表される。航空機部門の再編により、ボディの製造施設を失い、外注先を探すという困難も乗り越えて。ブランドの特徴が色濃い個性的なスタイリングは、社内デザイナーのダドリー・ホッブス氏が手掛けた。
この続きは、ブリストル406 S(2)にて。
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みんなのコメント
だったのにね…第二次世界大戦ではナチスドイツに(アメリカの支援でやっとこさ…)勝ったけど、戦後は負かしたはずのドイツに自動車生産ではボロ負け…今はマトモな自動車メーカーすら無い…今じゃ自動車博物館に飾ってある「過去の栄光の遺物」というイメージしか無いな…