■「フォグライト」の本来の使い方とは
SUVを中心とした多くのクルマには、ヘッドライトとは別に悪天候時の視界を確保するための補助灯である「フォグライト」を搭載しています。
【画像】超カッコイイ!いろんな「フォグライト」を装備しているクルマを見る!
中にはヘッドライトをつけず、スモールライトとフォグライトのみで走るクルマも見受けられますが、この使い方は違反になってしまうのでしょうか。
フォグライトとは、「フォグ(霧)」という名称が示すとおり、悪天候時に視界を確保するための装備です。通常はヘッドライトの下部に取り付けられています。
たとえばホンダでは、公式サイトにて「霧などの微小な浮遊水滴を反射しないようにするため、焦点を定めずに照らすようになっているもの」と説明しています。
保安基準によれば、フォグライトの色は白または淡黄色、左右で同じ色にする必要があり、設置位置は下縁が地上から250mm以上、上縁が地上800mm以下である必要があるなど、一定の安全性が求められています。
また、市街地など晴天時にフォグライトを点灯すると、対向車や前方車両に強い眩しさを与えてしまう可能性があります。
ホンダも自社サイトで「市街地で晴天時にフォグライトを点灯してしまうと、対向車や前車に眩惑感をあたえるなど、他の運転者に迷惑となる可能性がありますので注意しましょう」と注意喚起を行っています。
実際、SNSなどでも「まぶしい」「必要のない場面で使われている」といった不満の声がたびたび取り上げられています。
海外では、天候が良好な状態でフォグライトを使用したことが、交通違反として罰則の対象になる国もあるほどです。
日本国内では、フォグライトの装着は義務ではなく、装備している場合は運転者が任意で点灯・消灯できる構造とされています。
点灯可能なのは、スモールライト(車幅灯)などが点灯している時に限られ、さらに点灯状態を知らせるインジケーターランプの設置も必要です。
ではなぜ、必要のない場面でフォグライトを点灯しているクルマが多く見受けられるのでしょうか。
■知らないと違反になってしまうケースも
理由のひとつとして、「点灯状態に気づいていない」ケースが考えられます。
昼間はフォグライトが目立たないため、スイッチがONのままでも気づかず、夜になってスモールライトが点灯すると自動的に連動してフォグライトも点く構造になっているクルマもあります。
もう一つの理由は、「フォグライトの明るさに安心感がある」という点が考えられます。
ヘッドライトが前方を重点的に照らすのに対し、フォグライトは広範囲かつ足元を照らすため、特に自車の近くが明るく感じられます。
これにより、見え方が変わるのを避けてフォグライトを常時点灯させている人もいると考えられます。
以前はフォグライトの明るさは1万カンデラ以下に制限されていましたが、2005年にこの基準が撤廃されて以降、LEDなどの高輝度光源を使用したフォグライトが増えています。
特に市街地では、街灯が多く、フォグライトだけでも十分視認性が得られると感じるドライバーもいるようで、実際ヘッドライトを点灯せず、フォグライトだけで走行するクルマも見かけられます。
しかし、警察庁は「夜間走行時は前照灯(ヘッドライト)を点灯することが必要」であり、「フォグライトだけの走行は無灯火扱いとして指導や取締りの対象になる」と明言しています。
ただし、対向車とすれ違う際や前走車に近づいた際など、一時的にヘッドライトを消してスモールライトとフォグライトで走行する行為は、状況次第で違反に問われないケースもあります。
また、後部に装備される「リアフォグライト」も話題にのぼることがあります。これは濃霧などの際に、後続車に自車の存在を知らせるためのライトですが、赤色で非常に強い光を発するため、晴天時に点灯していると前方以上に“まぶしい”と不快に感じる人が多いようです。
リアフォグの点灯にも条件が定められており、スモールライトやヘッドライトが点灯している状態でのみ作動できること、独立したスイッチで操作可能であること、さらに運転席のドアを開けた際にアラートが鳴る構造であることなど、不用意な点灯を防ぐための規制が設けられています。
※ ※ ※
フォグライトは非常に便利な装備である一方で、使用タイミングを誤ると他のドライバーに迷惑をかけかねません。とくに夜間の市街地走行では、自分にとっての見やすさだけでなく、周囲への配慮も大切です。
フォグライトが点いていないか、知らずに使用していないか、定期的に確認してみるのも良いでしょう。(くるまのニュース編集部)
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みんなのコメント
バッグフォグの方が大迷惑です。