住友ゴム工業は、新作スタッドレスタイヤ「ウインターマックス03」の販売を、8月1日から順次開始しました。
キャッチコピーは「氷に超速で効くダンロップ唯一のスタッドレス」。従来品の「ウインターマックス02」は、雪道での性能だけでなく、ドライ性能やライフ性能などバランスの良さに定評があったのに対し、より氷上性能を重視したモデルに仕上がっているとのこと。今回は屋内のスケートリンクで、新作のウインターマックス03と02の比較試乗をすることができました。
【凹凸構造とは】ダンロップの新スタッドレスタイヤ「ウインターマックス03」 13~20インチ、8月発売
■”凍結路面にMAXX止まる”。 新技術「ナノ凹凸ゴム」
タイヤと路面の接地面は一般的にハガキ一枚分のサイズと言われており、スタッドレスタイヤの開発では、限られた接地面積でいかに氷と密着させるかに各社が心血を注いできました。
ウインターマックス03では、密着性だけでなく、タイヤと路面が接地する”時間軸”に着目。ナノレベルで凹凸を持つ新技術「ナノ凹凸ゴム」を採用し、このゴムが滑りの原因となる水膜をいち早く除去。除水時間を短くすることで、氷とタイヤが密着する時間を長く取ることができ、氷上性能を向上させています。
なお、新品時の氷上ブレーキ性能は、発表によるとウインターマックス02と比較して22%、氷上コーナリング性能は11%向上。一般的なタイヤの性能向上幅が10%前後ということを考えると、特に氷上ブレーキ性能は大幅なジャンプアップを果たしたと言えるでしょう。
加えて、ナノ凹凸ゴムには水と反応して溶ける「MAXXグリップトリガー」と呼ばれる成分が入っており、タイヤが摩耗しても繰り返し凹凸構造が出現。溝が減ってもその性能をキープしてくれます。
■ウインターマックス03と02。走りの違いをスケートリンクで体感!
今回テストしたスケートリンクでは、氷温0℃ほどで氷の上に水が多く乗っており、スタッドレスタイヤにとっては厳しい環境と言えます。なお、試乗車はトヨタ「ヤリス」のFFモデル(同一グレード)で統一されています。
※黒ボディ:ウインターマックス03、白ボディ:ウインターマックス02
まずはゼロ発進加速です。従来品と比較して、ウインターマックス03はTCS(トラクション・コントロール・システム)の介入が少なく、車速の乗りが違いました。ブレーキングでは、02よりも短い距離で停止。数値的な短さ以上に、ABSの作動を意味するガガガッという振動が少ないので、より安心して止まることができます。
今回筆者が最も性能差を感じたのは、定常円旋回でした。ウインターマックス03は、02よりも明らかに高い速度での旋回が可能で、ハンドルを切った瞬間の手応えが格段に進歩しています。02はダラダラとクルマの向きが変わるので、グリップしているのか滑っているのかが曖昧なのに対し、03では旋回Gの立ち上がりが早く、クルマの向きがスパッと変わるので”グリップしている”ことをしっかりと感じ取ることができました。リアルワールドでは、このわずかな感覚の違いが大きな安心感へとつながりそうです。
■ウインターマックス03と02、あなたにはどちらがピッタリ?
ウインターマックス03は、従来品の02に比べ、氷上性能を重視しているためライフ性能とドライ性能は少し劣っているそうです。これに関してダンロップの担当者に話を聞いてみると、ライフ性能は元々02がとても高く、03も5,000km×4年間というダンロップの自社基準を満たしており、必要十分なスペックは確保しているそうです。ドライ性能に関しては、高速のレーンチェンジといったシーンで反応が少し鈍くなる程度で、一般のユーザーはほとんど違いが判別できないレベルに収まっているとのことでした。
したがって、冬は日常的に積雪路やアイスバーンを走ることが多いユーザー、より氷上性能を重視するユーザー、関東以南でもウインタースポーツで積雪路を走る機会が多いユーザーはウインターマックス03がオススメ。ドライ路面の走行が多く、ロングライフや経済性も重視するユーザーはウインターマックス02でも十分満足できるレベルと言ったところでしょうか。
ダンロップのホームページには、新作のウインターマックス03がプレミアムな「氷上性能特化型」と表記されているのに対し、従来品の02は「バランス型」と表記されていて、今後も03と02の併売が続いていくそうです。氷上のみの短い試乗だけなので、ドライ、ウエット、静粛性などトータルの性能までは比較できませんでしたが、筆者の感覚としては、価格差が許容できるのであれば、万が一を考えて03を積極的に選びたい、それくらい氷上性能が進化しているというのが今回乗ってみての印象です。
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