もくじ
ー 慣性を感じさせない走り
ー はるかに現代的なエンツォ
ー 挙動には不自然さも
ー スリルではF40に及ばない
ー 最新こそ最高
コンパニオン大特集(6) 東京オートサロン2019 画像70枚
慣性を感じさせない走り
458は間違いなく、2010年にわれわれが試乗したクルマのなかで最速の一台である。夏に行ったロードテストでは、0-97km/h加速で3.3秒、そして0-161km/h加速で6.9秒という堂々たる記録を残している。それでも水平な直線路での純然たる加速力については、F40の域に近づくことすら不可能なのだ。
ひとたび4500rpmから7000rpmのあいだにあるパワーバンドの震源をとらえたら、F40の加速は体感的にも絶対的にも完全に458とは別次元に突入する。それは紛れもない事実だ。シフトがはるかに素早く、レシオがはるかにクロスしているギアボックスによって、458は辛うじてこの大先輩についていけているというのが事実なのだ。
F40を本気で走らせれば、その経験からはクルマについても自分自身についてもさまざまな知識が得られる。なかでも特に重要なのは、F40が造られてから23年が過ぎた現在でも、重量もしくは軽量化はクルマの運動性能を決定的に左右する最重要要素であるという真理だ。
目の玉が押し潰されそうなほど激烈に加速し、ステアリングを切った瞬間に鮮やかに進路を変え、ブレーキペダルをグイと踏み込めばピタリと止まる。コーナーの進入で慣性というものを一切感じさせないF40の動きを体験すれば、その真理を解説する言葉など不要だろう。
はるかに現代的なエンツォ
そういう性能で言えば、F40は現代の同格のスポーツカーを今でも上回っている。その事実からは大いに学ぶべきなのは前述のとおりだ。その一方で、南仏までドライブに行って戻ってくるのにどのクルマを選ぶかについてもまた、F40の加速能力と同じくらいに議論の余地はない。
ティーセット一式が乗るほど巨大なリアスポイラーや、300万円もする透明なプラスティック製エンジンカバーが付いたクルマではないのは明白である。
F40からエンツォに乗り換えると、製造年度が何世紀も違うわけではないのに、まるでスーパーカー博物館で別の展示室に移動したかのような感慨を覚えてしまう。いつのまにかステアリングホイールにはトラクションコントロールやライト類などのスイッチが取りつけられるようになって、センターコンソールのデザインも、F40に比べればさながら宇宙船のそれである。
スターターボタンを押した瞬間、このエンツォは凄まじい爆音とともに目を覚ます。それというのもオーナーが標準のエグゾーストと触媒を取り外し、素通しのtubi製に交換してしまっているからだ。これで50kgの軽量化が達成されていると同時に、6.0ℓV12のサウンドは常識外れの強烈なノイズへと変貌している。
挙動には不自然さも
しかし、派手なエグゾーストサウンドより何より、おそらくもっとも特筆すべき興味深い事実は、エンツォがF40に比べるとやはり余分な、しかし458ほどは重くない重量を背負っている点であろう。走り出してすぐに感嘆せずにはいられないほど、エンツォのフィールは素晴らしい。
信じられないほどクイックに反応するステアリングや、それほどアクセルペダルをストロークさせずとも溢れ出る強烈極まりないパワーなどは、ある種の畏怖の念も感じさせるほどだ。
けれどほかの2台に比べると、リアクションに一瞬のもたつきが感じられるのである。458より215kgも軽いにもかかわらず、比べるとアジリティに関してはやや物足りなさがあるのは否定できず、挙動にも何か不自然なところがある。
パドル付きロボタイズドMTも、デュアルクラッチの458に比べてしまうと、たとえレースモードに設定したところで変速の遅さは隠しようがない。これならば、操作が重くても正確さに優るF40の5段マニュアルと交換したいと考える人がいても不思議ではない。
スリルではF40に及ばない
また、テールエンドがあまりに長く後方に延びているため、それを振り出させないように気を遣うあまり、アクセルペダルを踏み込みながらコーナーを立ち上がる楽しさを満足に味わえない人もいるのではないかと心配になる。
ただし、サウンドに関してはF40と同様、まさに豪快そのものだ。特にフル加速ではV12の雄叫びで右耳が麻痺しそうなほどで、レッドラインに近づくにつれて、まるでエグゾーストから火を噴かんばかりの迫力で響いてくる。
だが、正直なところ、極限での快感とスリルにかけては、エンツォはF40に一段およばない。それはそこまで到達するのが比較的容易だからでもあるが、繰り返しになるが、先輩よりも余分に背負っている重量が効いている。何しろ比べたら、F40のほうが135kgも軽いのだ。
それではそんな先輩たちに続く458はどうか? このクルマは多くの面で、両先輩が持つ世界のいいとこ取りを実現している。エンツォの魅力的なサウンドと動力性能や息を呑むような独特の雰囲気、そしてF40が持つドライバーへの強烈な訴求力の両方を兼ね備えたクルマだ。
最新こそ最高
しかもそれが、エンツォの半分にも満たない価格で実現されている。そのうえ日常的な使用に耐えるだけのリファインまで達成しているのだから、古い名車たちの古さをそのまま暴き出してしまうのは避けられない。そしてそれが最終的な決定打となり、われわれは結論はこう落ち着いた。すなわち「最新こそ最高」である。
458イタリアが信じられないほどの名車であることに疑問の余地はないし、その理由も明らかだ。F40やエンツォのように、時代ごとに歴史に残る素晴らしいクルマを生み出してきた信じられないような企業──そういう企業が製造した最新のクルマが最高なのは、ごく自然なことである。今回の3台の対決では、図らずもそれが明らかになったわけである。
ただ、車重がもう少しだけ軽かったなら、せめてF40の150kg増しくらいまでにとどまっていたなら……という気持ちはなくもない。すでにこれだけ素晴らしいクルマなのだから、そうなれば非の打ち所のない一台になっていたはずだからだ。
そのことをフェラーリ自身も承知しているに違いない。彼らが今後数カ月、あるいは数年のあいだに出してくるクルマは、それを何よりも意識して造られることだろう。最高のフェラーリの座は、458が世に送り出された瞬間から予約済みなのである。
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