現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

ここから本文です

一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

掲載 更新 96
一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

運営元:旧車王
著者 :松村 透

「愛車遍歴の1台が左ハンドル+MTっていいかも」という話

さまざまなオーナーインタビューを経験してきて思うのは「このクルマは一生モノ」といい切るオーナーが本当に多いことだ。仕事柄、たまたま熱量の高いオーナーばかりを取材しているだけで、実際には少数派なんだと思う。

ましてや、いまや残価設定ローン、サブスクリプションでクルマを所有する時代だ。期間が満了すれば新しいクルマに乗り換える。クルマではないが、筆者が普段使っているiPhoneとMacintoshのノートパソコンがこれだ。毎日使うものだし、いざというときに故障されては困る。この原稿を書くために使っているMacintoshだって、つい2日前に新しいモデルに換えたばかりだ。

翻って、一生モノとはいうけれど、悲しいかな愛車を墓場まで持って行くことはできない。骨壺にお骨といっしょに愛車に使っていたキーホルダーも収めてもらうとか、せいぜいそれくらいだ。

いつか必ず別れる日が訪れるという、誰もが逃れられない事実に想いを馳せつつ、長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた。

■人は1日に最大で3万5000回の決断を下している(らしい)確率100%、誰にでも確実に訪れるできごとってそうそうあるものではない。

ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、人は1日に最大で3万5000回の決断を下しているのだという。

朝、目が覚める。まず最初に何をするか?まだ眠いので2度寝するという選択肢もあるだろう。休日の2度寝はまさに至福だ。そういったさまざまな決断を下していくうちに、なんだかんだで1日あたり数万回というカウントになっていく。

万歩計(いまならApple Watchのようなウェアラブル端末か?)をつけて歩いてみると、いつの間にかに1万歩くらいの歩数を稼いでしまうこともあるわけだし、「1日で最大で3万5000回」という数字もあながち間違っていないように思えてくる。

■誰もがいつか愛車と別れる日が必ず訪れるそして、確率100%、誰にでも確実に訪れるできごとのひとつに「死」がある。筆者自身はもちろんのこと、この記事に読んでくださっているそこの貴方も、確実にその瞬間に向かって突き進んでいる。

さらに「クルマを所有している人」という条件付きにはなるが「いつか愛車と別れる日が必ず訪れる」ことも事実だ。他に欲しいクルマが見つかった、家庭環境の変化、運転免許を返納してクルマに乗ることを止めるから、故障してしまい、膨大な修理費用が掛かることが判明したから、事故を起こして廃車になってしまったから…。理由はさまざまだろう。

筆者自身も、一生モノと決めて所有している愛車がある。このクルマとも、遅かれ早かれ別れる日が訪れるのは避けられない…なんてと書いてしまうとさすがに悲観的すぎる気がする。ならばいっそ「いつか手放すときまで、楽しめるだけ楽しんでおこう」と思考を切り替えた方が前向きでいいかもしれない。

■一時の衝動や感情で「卒業」するべきではない「いつか愛車と別れる日」の「いつ」を設定するかはオーナーの自由だが、さまざまな取材を通じてかなりの確率で失敗する例を挙げておく。

それは「なんとなく」とか「衝動的に」といった、後先考えずに、そのときの気分で愛車を手放す行為だ。

憧れのクルマが納車された当日は「フワフワした気分で、なんだか自分のクルマとは思えない」といった具合に、現実味がないほど有頂天になりがちだ。

憧れのクルマが愛車となり、ガレージや駐車場にあるのが日常となっていく。そのうち目が慣れてくる。そして冷静になるにつれ、少しずつアラが見えてくるようになる。ここで「まぁ、そんなもんさね」と割り切れるか、耐えられなくなるか。ここでふと思った。これって結婚生活に似ているかもしれない…。ただし、こちらは相手がいることなので、お互い様なのだろうけど。

そのうち、そこに「在る」のがあたりまえになってしまう。と同時にありがたみも薄れていく。「手に入れたときの感動なんてすっかり忘れてしまった」。こうなったら要注意だ。ふとしたときに魔が差してしまう。

不思議なもので、こういうときに限って「隣の芝生は青く」見えてしまうようなクルマが目の前に現れる。しかも、厄介なことに、いまの愛車を手放せばなんとか買えそうなところにあったりする。さらに、よせばいいのに商品車を観に行ってしまうのである。「見るだけ見るだけ」と自分にいいきかせながら。

この先の展開はおおよそ見当がつくだろう。一時の衝動や感情で「卒業」してしまい、やがてまた同じように魔が差して乗り換えてしまう。こうして同じことを繰り返す。浮気性は不治の病なのだ。

■「○○○が起こったら卒業」と決めておくという手もあるなかには「手放すタイミングを逸し、惰性で所有している」といったオーナーもいる。そろそろ卒業してもいいかなと思いつつ、手放すほど気持ちは冷めていないし、他に欲しいクルマも見つからない。さらに、長年連れ添った愛車を手放したあと、自分がどういった心境になるのか分からないといった怖さも秘めているようだ(と同時に、どういった心境になるのか知りたいといった矛盾を抱えているケースもあった)。

もしもいま、卒業するタイミングを探しているとしたら…、何らかの目標を決め、それが達せられたら決断するというのはどうだろうか。例えば、愛読してきた雑誌の表紙を飾ったら、主治医が引退したら、子どもが免許を取得して、クルマの運転に慣れてきたら…。

自分自身が納得できるものであればなんでもいい。卒業するポイントを決めて、その日から来たるべきXデーに向けて心の準備をしておくのだ。見事にその目標が達せられたらめでたく卒業だし、それで未練があると感じたらもう少し結論を先延ばしにしたっていい。大切なことは、どう折り合いをつけるか?あとは尾を引かないようにすることではないかと思う。

■まとめ:自らの手で葬るというケースも・・・これはオーナーにしか許されないことだが…。他の人の手に渡るくらいなら、いっそこの世から愛車の存在を消してしまうという方法もある。つまり「廃車」にしてしまうのだ。

この世から完全に愛車を消去してしまえば、「今ごろどうしているのか…」などと案ずることもなくなる。割り切るにはもっとも確実な方法かもしれない。ただ、1台の貴重なクルマがこの世から姿を消してしまう(しかもコンディションもそれなりに良いはずだ)としたら、あまりにも悲しい。

クルマをどう処分しようとオーナーの自由だ!といわれたたらそれまでだが、ある意味では究極のエゴ、自己中かもしれない。

あくまでも個人的な意見だが、コンディションが良い個体であれば家族に譲るなり、どこかのエンスージアストに託してもいい。動かすのが困難であれば、ドナー、つまりは部品取り車として他の誰かの愛車が延命できるようにしてみてもいいのではないかと思えるのだ。

[撮影&ライター・松村透]

 

関連タグ

こんな記事も読まれています

エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

96件
  • きたかま
    てか、なんの記事やねん。
  • neo********
    文章長いわりに大した中身は無かった。書いた人は色々考え直した方が良いと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村