現在の国内市場で販売される新車のMT比率は2%を下回っているといいます。効率のよいDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の登場や、多段化したステップAT(従来のトルコンAT)、小型車を中心としたCVTの普及もあり、性能面でMTの存在価値は見いだせなくなってきています。
歴史のある日本を代表するスポーツカー日産「フェアレディZ」(画像は50周年記念車) そうした背景がありながらも、マツダのように「CX-8」以外のモデル(自社開発)すべてにMTをラインアップするメーカーがあります。
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やはり、MT車には操る楽しさがあるのは確かで、とくにFR駆動の場合は操舵輪と駆動輪が分離しているということもあり、運転の楽しさはさらに高いという声も聞かれます。
そこで、現在、日本で販売されているFR駆動のMT車を5車種ピックアップして紹介します。
●日産「フェアレディZ」
新機構の6MTを採用した日産「フェアレディZ」 日産「フェアレディZ」は1969年に初代が発売され、2019年で50周年という大きな節目を迎えた歴史的スポーツカーです。
歴代フェアレディZに共通するのがFRであることと、6気筒エンジンを搭載していること、そしてMTをラインナップしていることです。
こうしたブレないコンセプトによって国内外で多くのファンを獲得し、日本を代表するスポーツカーとして君臨しています。
現行モデルの「Z34型」フェアレディZは2008年に登場し、すでに10年以上販売されているロングセラーです。
エンジンは3.7リッターV型6気筒の自然吸気で、最高出力は336馬力を誇ります。これに6MTと7ATが組み合わされますが、6MTは最新の技術が採用されました。
それは世界初となる「シンクロレブコントロール」で、シフトダウン時にエンジンの回転数を自動に合わせてくれ、シフトレバーを操作して即時にクラッチをつなぐことができ、誰でもプロドライバーを凌ぐシフトダウン操作が可能になるというものです。
これにより、意識することなくシフト操作することが可能で、ハンドル操作やブレーキングに集中し、滑らかで安定した走りが可能になります。
同様な機構は後にポルシェやホンダ、トヨタなどが採用しています。
●トヨタ「86」
量産スポーツカーの見本的存在のトヨタ「86」 トヨタのFRスポーツといえば「カローラレビン/スプリンタートレノ」が真っ先に思い浮かぶでしょう。1972年の「TE27型」から始まり、1987年に生産を終了したシリーズ最後のFR「AE86型」まで、常に走りを愛する若者から支持されてきました。
この小型FRスポーツの復活を望む声が多くあったことから、そのリクエストに応えるカタチで2012年に発売されたのが「86」です。
86のネーミングは言わずもがなAE86型のオマージュで、FR駆動の2ドアクーペという点が踏襲されています。
エンジンはスバル製2リッター水平対向4気筒自然吸気を搭載し、最高出力207馬力を発揮。自然吸気ならでは優れたレスポンスのエンジンを堪能できるように6MTが用意されています。
86は発売当初、大きな話題となりましたが、それは一過性なものだと揶揄する声もありました。しかし、86の存在は評価され続け、いまも進化を続けています。
●スバル「BRZ」
熱狂的なファンが存在するFRスポーツのスバル「BRZ」 スバル「BRZ」はトヨタと共同開発で誕生したFRスポーツです。トヨタ「86」と多くの部分が共有する兄弟車という位置づけになっています。
86との差異はフロントフェイスや内装に見られますが、エンジンのスペックなど性能面は同一です。しかし、実際には足回りのセッティングは両車で異なり、双方のメーカーが考えるスポーツカー像が反映されています。
「販売のトヨタ」といわれるだけあって、販売台数は86がBRZを大きく上回っているのが現状ですが、熱狂的スバルファンも多く、あえてBRZを指名買いする人もいます。
また、現行モデルで比較するとBRZには86で設定されていない、243万円という廉価グレードの「R Customize Package」や、モータースポーツに参加するためのベース車「RA Racing」がラインナップされるなど、スバル独自のラインナップを展開しています。
「ロードスター」をベースとしたイタリアンスポーツ●マツダ「ロードスター」
世界を変えた2シーターFRオープンのマツダ「ロードスター」(画像は北米仕様の30周年記念車) 平成元年(1989年)に発売されたオープン2シーターFRスポーツがマツダ(ユーノス)「ロードスター」です。
ロードスターが発売された時には、国産車でオープン2シーターのスポーツカーは皆無で、世界的にもかつてほどの栄華はありませんでした。
しかし、ロードスターの登場によってオープン2シーターの市場が再燃し、各メーカーがロードスターに追従するようにオープン2シーターを発売するなど、大きな影響を与えたモデルでもあります。
マツダが提唱する「人馬一体」をコンセプトとして、軽量な車体にパワフルすぎないエンジンを搭載し、パワーを使い切れるような走りでドライビングプレジャーを高めています。
現行のロードスターは2015年に発売され、初代への原点回帰を行ない、最軽量のグレードで990kgという車重を実現。
1.5リッター(RFは2リッター)直列4気筒自然吸気エンジンを搭載して、トランスミッションは6MTと6ATが選べますが、ロードスターをフルに楽しむならば、やはり6MT一択でしょう。
●アバルト「124スパイダー」
イタリアンテイストあふれるFRスポーツのアバルト「124スパイダー」 2013年にフィアットとマツダが提携契約を締結し、2016年にマツダ「ロードスター」をベースにしたオープン2シータースポーツ、フィアット「124スパイダー」が発売されます。
日本での販売は124スパイダーをベースにチューニングした、さらにスポーティに仕上げられたアバルト「124スパイダー」のみとなっています。
エンジンは、ロードスターの1.5リッター自然吸気に対し、自社製の1.4リッター直列4気筒ターボで、最高出力は170馬力を発揮。
車両重量は1130kgとロードスターに比べ重くなっていますが、パワーウェイトレシオは6.65kg/psと、アバルトの名に恥じぬスペックとなっています。
外観は初代「124スパイダー」をオマージュしたデザインで、ノスタルジックな雰囲気となっており、ロードスターの流麗な印象とは明確な違いをみせています
トランスミッションは6MTと6ATが用意され、6MTはロードスターからギア比が変更されるなど、124スパイダー専用に設計されています。
※ ※ ※
2019年3月に日本で発売された新型BMW「3シリーズ」は、ついにMTがなくなってしまいました。これは日本国内だけではなく、本国や欧州で販売されている3シリーズ・ガソリン車も同様です(ディーゼルのみMTあり)。
こうした流れは世界的なものであり、日本よりもMT比率が高い欧州でも避けらないのが現状です。
ATの進化による影響であって、ある意味仕方がないのかもしれませんが、MT車が少なくなるのは寂しいですね。
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