現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アウディTT、絶滅危機 廃止による損失を再考察するべき 英国編集部

ここから本文です

アウディTT、絶滅危機 廃止による損失を再考察するべき 英国編集部

掲載 更新
アウディTT、絶滅危機 廃止による損失を再考察するべき 英国編集部

もくじ

ー 衝撃だった初代アウディTT
ー ニッチに商機を見出したアウディ
ー 活況を呈している小型クーペ市場
ー TTの廃止でアウディが失うもの

アウディTT、ほんとうに廃止? CEOを直撃 将来性/後継モデルは ジュネーブ2019

衝撃だった初代アウディTT

初めてアウディTTを運転したときのことを今でも覚えている。それが特に興奮するようなドライブだったからではない。どこか素晴らしい場所へ出掛けたからでもない。実際、スコットランドへ北上したわけでもなければ、ルート66を横断したわけでもない。というか、どこへ行ったのか、それがいつだったのか、どのくらいかかったのかも、はっきりと思い出せない。

しかし、TTのファンタスティックな、没入型のインテリアに、思わず歓声を上げたことは、はっきりと覚えている。四角く切り取ったような視界。高いウインドウラインによって包まれるような居心地。舷窓のようなエアベントや、アルミニウムのプレート(本物のアルミではなく、おそらくアルミ調だと思われるが)。構造体を見せるような素晴らしいデザイン。それらから受ける工業的かつ海洋的なインスピレーション。

思い出してほしい。当時のアウディのラインナップは、A3、A4、A6、A8で構成されていた。見た目が悪いクルマはない。初代A4(1994年)は興味深いものを感じさせたし、1998年のA6は非常にエレガントなクルマだった。わたしが最初に思い出すのは、ルーフに装備されていた小さな赤いアンビエント照明が、インテリアを暖かな光で照らしていたこと。まさに好ましい悪夢とでもいうような。しかし、TTにはそんなものが一切なかった。

ニッチに商機を見出したアウディ

見た目が良いクルマや、風変わりなクルマは当時もあったが、TTはそのどれにもまったく似ていなかった。1990年代といえば、フォード・ピューマ、アルファ・ロメオ156、そしてフィアット・クーペやアルファ・ロメオGTVが登場した時代だ。

にもかかわらず、TTはちょっとした衝撃をもたらした。まずは1995年にTTコンセプトが発表された。写真を見ると、その室内には大きなタービンホールのようなものが見えた。驚いたのは、それがそのまま市販化されたことだ。しかもある面ではコンセプトより良くなっていた。

われわれAUTOCAR英国編集部はすぐにこのクルマを購入した。たくさんのTTが売れた。あまりに多くの台数が売れたので、これまでニッチと見做されていた市場を、アウディは十分に埋めることができると確信したようだ。初代TTの生産が終了した2006年までに、アウディは最初のQモデル、R8、そしてオールロード・モデルをラインナップに追加した。その間には、もちろん、A2というモデルもあったが、とっくになくなってしまった。思い出すのも恥ずかしい。

活況を呈している小型クーペ市場

しかし現在、3世代目となったTTは絶滅の危機に瀕しているらしい。その理由は、われわれが十分な台数のTTを買わなくなったからだ。2022年までは存続するようだが、今と同じ2ドアのスタイルは、もはやそれが最後になりそうだ。

これは残念だ。なぜなら、ポルシェ・ケイマン、トヨタ86/スバルBRZ、トヨタ・スープラ、アルピーヌA110など、今や小型クーペの市場はめったにないほど活況を呈しているからだ。

おそらく問題は、われわれがTTではなく、これらのクルマや、ホットハッチを購入しているということだろう。確かに、走りが素晴らしいクーペを求める人に、アウディTTを心から勧めることはできないだろう。しかし、TTかハッチバックにするかと迷っている人には、TTを購入するべきだと言える。これほど低くて、軽くて、コンパクトで、楽しいクルマは、ハッチバックに求め得ないからだ。

TTの廃止でアウディが失うもの

そして、これが大事なことだと思うのだが、トヨタ86/スバルBRZは、おそらくよく似たタイプの後継モデルが間もなく登場する。それなのに、いまこのクルマを勧める理由があるだろうか? 86がトヨタで最も利益を生むクルマだとは思わない。しかし、とにかく今のところ、同社の豊田章男社長は、面白いクルマを作ることが事業の成長に有益であると分かっている。

アウディの会議室では、TTの将来について「感情的な議論」が行われているという。よく考えて欲しいと思う。アウディのラインナップにTTがなくなったら、販売面で失う数字はわずかだろう。しかし、魅力という面で失うものは大きいはずだ。

こんな記事も読まれています

アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
アウディだけどポルシェが作ったRS2! 名車誕生のワケは「財政難のポルシェを救うため」の仕事だった
WEB CARTOP
F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
AUTOSPORT web
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
WEB CARTOP
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
Webモーターマガジン
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
レスポンス
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
くるまのニュース
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
motorsport.com 日本版
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
THE EV TIMES
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
Webモーターマガジン
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
AUTOSPORT web
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
くるくら
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
くるまのニュース
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
motorsport.com 日本版
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
くるまのニュース
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
VAGUE
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バイクブロス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.0468.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.045.0万円

中古車を検索
A3の車買取相場を調べる

アウディ A3の中古車

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.0468.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.045.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村