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名実ともに高級FRワゴンだった!? トヨタ マークIIブリットの5年【偉大な生産終了車】

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名実ともに高級FRワゴンだった!? トヨタ マークIIブリットの5年【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

禁断の超高速燃費テストで意外な実力が続々判明 人気車たちの120km/hでの燃費は??

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ マークIIブリット(2002-2007)をご紹介します。

【画像ギャラリー】日本ではもはや絶滅危惧種!? ステーションワゴン クオリス ブリット ステージアを写真で見る

文/伊達軍曹、写真/TOYOTA

■トヨタ ステーションワゴンの系譜を受け継ぎ登場した最後の「マークII」

「車名はマークIIだが中身はまったくの別物」だった“前任者”と違い、本当にX110系トヨタ マークIIをベースに作られた車。

 しかし「美しい」とは言い難かったデザインと、ステーションワゴンブームそのものの終焉により、あえなく1代限りで消えていったトヨタのステーションワゴン。それが、トヨタ マークIIブリットです。

 マークIIブリットの前身にあたる「トヨタ マークIIクオリス」は、マークIIを名乗ってはいましたが、FRセダンであるトヨタ マークIIとはメカニズム上の共通点はないFFレイアウトのステーションワゴンでした。

マークIIクオリス(1997-2002)。全長×全幅×全高は4790×1785×1480mm。マークIIワゴンの後継として登場した

 マークIIクオリスは、1990年代に巻き起こったRVブームとステーションワゴンブームに乗り遅れまいと、北米で販売されていたFFのカムリワゴンを化粧直しし、とりあえず「マークIIクオリス」という車名を付けて日本市場に投入されたステーションワゴン。

 それに対して2002年1月に発売となったこちらマークIIブリットは、正真正銘マークIIがベースです。

「高級FRツーリングワゴン」と銘打たれたマークIIブリットは、トヨタいわく「走りの魅力と日常の使い勝手を両立した」とされるFRレイアウトのステーションワゴン。

 2WD車のボディサイズは全長4775mm×全幅1760mm×全高1470mm。ベースとなったX110系マークIIセダンと較べて全長が40mm長く、全高は5mm低いという、当時のプレスリリースによれば「走りを予感させるスタイル」を採用しています。

 また独立4灯ヘッドライトを採用してセダンとは異なる顔つきとしたことも、マークIIブリットの特徴でした。

マークIIブリット。全長×全幅×全高は4775(4790)×1760(1785)×1470(1480)mm(FR)。ホイールベースは2780(2670)mm。※( )内はクオリスの数値。

 パワーユニットはマークIIセダン同様すべて直列6気筒で、2L(最高出力160ps)/2.5L(同196ps)/2.5L直噴(同200ps)/2.5Lターボ(同280ps)の4種類をラインナップ。

 組み合わされるトランスミッションは、ターボ車は5速ATですが、その他は4速ATでした。駆動方式は基本的にはFRですが、2Lと2.5Lには4WDも用意。

 4WDシステムは、前後の駆動力を30:70から50:50まで路面状況に応じて電子制御する「i-Four」が採用されました。

 サスペンションもマークIIセダンと同じ4輪ダブルウィッシュボーンですが、マークIIブリットのリアサスペンションには、走行中や荷物積載時などに一定の車高をキープする「セルフレベリング機能」を備えたダンパーを、一部のグレードを除いて装着。

 またターボ車には、車速に応じてステアリングの重さを自動調節する「プログレッシブパワーステアリング」も採用されています。

メタル調のパネルやシフトレバーなど、スポーティな味付けが随所に見られる

 このように「高級かつスポーティなステーションワゴン」といった路線を狙ったマークIIブリッドでしたが、販売はまったくふるいませんでした。

 2004年11月にセダンのほうのマークIIが「マークX」へとフルモデルチェンジされると、伝統の「マークII」の名を受け継ぐのはこのブリットだけとなったのですが、だからといって販売状況が好転することはなく、マークIIブリットは2007年5月には生産終了に。

 そしてそのまま同年6月には、販売のほうも終了となりました。

■わずか5年。生産終了の背景にあったのはブーム終焉とデザイン性!!?

 トヨタ マークIIブリットという車は、ステーションワゴンそのものとしては決して悪いモノではありませんでした。

 よく走りますし、室内や荷室は広いですし、FRですのでステアフィールもなかなか良好です。メカニズム的には特に「悪いところ」はなかったように思えます。

 悪かったのは、率直に言って「デザイン」でしょう。

 もちろんデザインというのは絶対の正解があるわけではないため、「マークIIブリットのあのフォルムやディテールが大好きだった!」という人もいらっしゃるかもしれません。

 しかしなるべく客観的に見ても、一部で「霊柩車」とも揶揄されていたマークIIブリットのフォルムは、「不格好」という単語こそがしっくりくるものでした(好きな人には申し訳ございません)。

 車というのは「素晴らしいデザイン」であるに越したことはありません。しかし特に素晴らしくはなくても、せめてほぼ同時期に販売されていた2代目日産 ステージアぐらいの「普通なデザイン」であったならば、トヨタ マークIIブリットは、もう少し違ったニュアンスで延命されたのかもしれません。

日産 ステージア(1996-2007年)。写真は2代目(2001年)

 しかし仮にマークIIブリットのデザインがまともだったとしても、日本におけるステーションワゴンブームの終焉とともに、トヨタ マークIIブリットは消えていた可能性は高いでしょう。

 1990年代の「RVブーム」と、その中心カテゴリーのひとつだったステーションワゴンは2000年代に入ると、RV(Recreational Vehicle)に対する好みがより細分化された結果台頭してきたミニバンやSUVに押され、青息吐息の状態でした。

 高速道路を走る車の平均速度が高いドイツやその他の欧州各国では、セダン並みの空力特性と走行安定性を持つステーションワゴンにはアドバンテージがあります。

 しかし100km/hか120km/h、追い越しの際でもせいぜいメーター読みで130km/hぐらいまでしか出す必要がない日本では、背が低い=高速走行が得意なステーションワゴンより、前面投影面積が大きくても、その分だけ人や荷物をたくさん収容できるミニバンやSUVが優勢となってしまったのは必然でしょう。

 個人的には国産ステーションワゴンの復権を願っていますし(実際、新しいやつを1台注文しました)、新型スバル レヴォーグが復権の先駆けとなる可能性もなくはないはず。

 しかしマークIIブリットはさすがに時代背景的にも厳しかったですし、そもそもデザインに求心力がありませんでした。

 1代限りで絶版となったことについては、「むべなるかな」としか言いようがありません。

■トヨタ マークXブリット 主要諸元
・全長×全幅×全高:4775mm×1760mm×1470mm
・ホイールベース:2780mm
・車重:1620kg
・エンジン:直列6気筒DOHCターボ、2491cc
・最高出力:280ps/6200rpm
・最大トルク:38.5kgm/2400rpm
・燃費:9.2km/L(10・15モード)
・価格:339万円(2002年式 2.5 iR-V)

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