芳醇な伝統を最も具現化するモデル
一新されたマセラティ・グラントゥーリズモの滑らかな肩には、重圧が掛かっている。1番の稼ぎ頭はSUVのグレカーレで、最高の興奮を誘うのはスーパーカーのMC20であることは確かだが、トライデントの芳醇な伝統を最も具現化するモデルだからだ。
【画像】芳醇な伝統が香る マセラティ・グラントゥーリズモ フォルゴーレとMC20 競合車も 全132枚
これまで75年間、12世代に渡って、改名を繰り返しながら壮麗なグランドツアラーが作り続けられてきた。1914年の創業以来、100年以上に及ぶ歴史を有するブランドの守護神といってもいいだろう。
ポルシェにおける、911のような存在でもある。その時代に応じた進化を重ねつつも、個性的なキャラクターは維持されてきた。見る人を魅了するスタイリングと、ドライバーを喜ばせる潤沢な動力性能を、実用性をないがしろにせず両立してきた。
同社がバッテリーEV(BEV)の時代へ踏み出す最初の1歩として、このモデルが選ばれたことにも疑問はない。近未来を方向付けする、グラントゥーリズモ・フォルゴーレ・プロトタイプへの試乗レポートは先日ご紹介しているが、かなり好印象なものだった。
それと同時に、内燃エンジンに対する需要はまだ確実に残っている。こちらの仕上がりも、マセラティにとっては同じくらい重要といっていい。
艷やかなボディの内側はまったくの新設計
ガソリンを燃料とする新しいグラントゥーリズモは、BEV版と見た目はほぼ同じ。2007年から2019年まで生産が続けられ、4万台以上がイタリアの工場を旅立った、先代のスタイリングを色濃く反映してもいる。
成功作のイメージを、デザインチームが一新しなかったことは理にかなっている。ライバルモデルと比べれば販売数は限定的かもしれないが、マセラティとしては小さな数字ではなかった。
思わず振り返りたくなるような、惹き込まれるほどの美しさではないかもしれない。しかし、クーペとしてプロポーションが整い、エレガントな雰囲気を漂わせていることは、誰の目にも明らかだろう。
艷やかなボディの内側、基礎骨格をなすプラットフォームは、まったくの新設計。当初から高い電圧と高いオクタン価を受け入れることが前提とされ、65%に軽量なアルミニウムが用いられている。
BEV版では、車体中央のフロア部分に大きな駆動用バッテリー・ユニットが搭載され、負荷を受け止める構造材も兼ねている。内燃エンジン版にはそれが載らないため、剛性を確保する目的でサイドシルの構造が異なるそうだ。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアが5本構成のマルチリンク式。車高調整が可能なエアスプリングで支えられる。
車重は、内燃エンジンのグラントゥーリズモ・トロフェオで1795kg。BEVのフォルゴーレは2260kgと、465kgも差がある。サスペンションは、この重さの違いをカバーすることが可能だという。
MC20も採用する3.0L V6ツインターボ
スリークに伸びるボンネットの内側には、MC20も採用する3.0L V型6気筒ツインターボ、ネットゥーノ・ユニットが収まる。F1マシンに影響を受けたとされる燃焼室形状を備え、燃費効率を高めるため、気筒休止システムも実装している。
6500rpmで達成される最高出力は、トロフェオ仕様で549ps。3000rpmから湧出する最大トルクは、66.1kg-mを実現した。0-100km/h加速は3.5秒でこなすという。
トランスミッションはZF社製の8速オートマティック。その先には、必要に応じてリアタイヤ側に100%のトルクを配分できる、四輪駆動システムが構えている。前後の分配率は通常で30:70。フロント側へは、50%まで比率を高められる。
リアアクスルには、トルクベクタリング機能付きのリミテッドスリップ・ディファレンシャルも組まれる。フロントのデフはエンジンのすぐ前にレイアウトされ、重量物をホイールベース内に収めつつ、重心を落としている。
前後の重量配分は、52:48と理想値。秀でた操縦性を期待させる。実際の走りにも興味が湧く。
ただし、今回の試乗車にはスタッドレスタイヤが組まれていた。気温は、雪の心配がないほど暖かかったのだけれど。充分に走り込むことはできたものの、サマータイヤでの本来の能力には迫れていない。
少なくとも、先代が搭載していたV8エンジンに並ぶ崇高なシンフォニーを、ネットゥーノ・ユニットが奏でないことは間違いないようだ。低回転域では特に、ややディーゼルエンジンにも近い、直噴ユニットらしいザラついたノイズを放っていた。
この続きは後編にて。
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