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爽やかなほど小さく軽い トヨタ・アイゴX 1.0へ英国試乗 シンプルなシティカー

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爽やかなほど小さく軽い トヨタ・アイゴX 1.0へ英国試乗 シンプルなシティカー

ヤリスと同じGA-Bプラットフォーム採用

クロスオーバー風のスタイリングに生まれ変わったトヨタ・アイゴには、電動化技術がまったく採用されていない。それはなぜか?と尋ねれば、クルマが重くなるから。単純な答えだ。

【画像】クロスオーバー風に一新 トヨタ・アイゴX 欧州で競合するコンパクトモデルと比較 全116枚

たとえマイルド・ハイブリッドであっても、アイゴのベーシックなコンセプトを害してしまう。ボディサイズは大きくなり、製造コストが増え、価格へ跳ね返ってくる。

欧州トヨタで研究開発部門を率いるシニア・プロジェクトマネージャー、ステイン・ペータース氏によれば、同等のモデルを純EVで作るなら、今より500kg近く増えてしまうらしい。新しいアイゴXの車重は、965kgと軽い。

そんなアイゴXのパッケージングはシンプル。1.0L 3気筒エンジンをフロントに搭載し、前輪を駆動している。全体の部品のうち、約50%は他モデルとの共有。プラットフォームはひと回り大きいヤリスも採用する、GA-Bを用いている。

ハイブリッドに関わる装置が載らないぶん、パワートレインはコンパクトになり、前後のオーバーハングは極端に短い。全長は3700mm丁度。それでも、フォルクスワーゲンUp!より100mmも長いのだが。

2022年のニューモデルらしく、ルックスは車高の高いクロスオーバー風。だが実際は、ベーシックな都市部向けのコンパクトカーだ。着座位置は先代より55mm持ち上げられ、視点も高くなり、混雑した市街地の交通状況も掴みやすい。

良好な視界に充実した運転支援システム

ダッシュボードの中央には、最新モデルらしく9.0インチのタッチモニターが収まる。Aピラーの位置が手前側で、前方の視界も良好。エアコンの操作には実際に回せるノブなどが残されていて、操作性も良い。

リアシート側の空間は限定的だが、ボディサイズを考えれば当然ではある。Cピラーが分厚く、試乗したバルセロナのように良い天気でも、メランコリックな気持ちになるかもしれない。

フロントシートは肉厚で、後ろより遥かに座り心地が良い。足元空間にもゆとりがある。ルーフには、後方へたためるキャンバストップもオプションで装備できる。フレームの構造で頭上空間に制限は出るものの、開けば開放的な気分を味わえる。

衝突被害軽減ブレーキに知的なアダプティブ・クルーズコントロール、オートハイビームなど、運転支援システムもふんだん。運転が苦手だと感じる人には、特に心強いはず。

試乗車のトランスミッションはCVTで、0-100km/h加速時間はマニュアルより0.1秒短い、14.8秒とのこと。ロケットのように加速するハッチバックではないが、穏やかにアクセルペダルを踏んでいる限り、低回転域を活用し印象は良かった。

従来から成長したドライビング体験

日常的な速度域なら車内も比較的静かに保たれ、対向車の発するノイズが1番大きく聞こえるほど。普段必要な加速力も充分に備えている。

ただしスピードを乗せていくには、3気筒エンジンを6000rpm付近まで回す必要がある。CVTだから、ダイレクト感が乏しい。MTはシフトレバーのストロークが短く、エンジンの回転数をドライバーが調整しやすい。より好感触だと思う。

高速道路の制限速度を超えるスピードまで、加速することもいとわない。登り坂では9.5kg-mという線の細い最大トルクに、ヤキモキしそうだけれど。

ステアリングフィールは直感的で、狙ったラインを走りやすい。車重が軽いだけあって、乗り心地も良好。アルミホイールは18インチと車格からすると大径ながら、舗装の剥がれた穴なども巧みにサスペンションが均してくれていた。

反面、車高が持ち上げられたことで重心位置も高くなり、コーナーではボディロールが大きい。速めのスピードでコーナー途中の起伏を通過した場合などは、若干落ち着きに欠けるようだ。

それでも、新しいアイゴXのドライビング体験は従来のアイゴより成長した。クロスオーバー風ボディも新鮮に映る。

シンプルなパッケージングが持つ魅力

さかのぼること2005年、トヨタは都市部向けコンパクトカーの開発効率を改善するため、プジョーとシトロエンとの共同開発を選んだ。それが初代アイゴだ。

しかし3代目に当たる2022年のアイゴXは、ヤリスと同じプラットフォームを採用することで、スケールメリットを生み出している。生産ラインも、ヤリスと共有するという。

このAセグメントのコンパクトカーは、近年純EVへのシフトが顕著。それでも、シンプルな内燃エンジンにもまだ強みがあると、トヨタは主張している。

時流に乗れていないように聞こえるかもしれない。それでも、シンプルなパッケージングが持つ訴求力を、筆者も理解できる。

後部座席の広さと曖昧なCVTのフィーリングは、プラスではない。しかし、ピュアなコンセプトから導かれた小ささと軽さは、電動化の時代だからこそ、爽やかな印象すら与えてくれる。

今回の試乗車、アイゴX エクスクルーシブの英国価格は、1万8825ポンド(約301万円)もする。装備が充実した手頃なベーシック・グレードなら、1万4805ポンド(約237万円)で手に入る。選ぶならこちらだろう。

複雑さを増す現代のクルマに抵抗を感じているなら、トヨタ・アイゴXは有力な選択肢になる。魅力的なコンパクトカーが登場したといえる。

トヨタ・アイゴX 1.0 エクスクルーシブ(欧州仕様)のスペック

英国価格:1万8825ポンド(約301万円)
全長:3700mm
全幅:1740mm
全高:1510mm
最高速度:151km/h
0-100km/h加速:14.8秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:109-114g/km
車両重量:965-1015kg
パワートレイン:直列3気筒998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:72ps/6000rpm
最大トルク:9.5kg-m/4400rpm
ギアボックス:CVT

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みんなのコメント

9件
  • むちゃくちゃイケてるじゃん?日本でも売ってほしい
  • スイスポならベーシックグレードより安く車重もほぼ同じ走りは間違いなく上。もう4年以上前のに発売された車ですが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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