現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ

ここから本文です

「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ

掲載 3
「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ

 SNSなどでトヨタの2.8Lディーゼルエンジン「1GD」の生産が終了してしまう、という情報が飛び交っている。ランクルを愛するベストカーWebとしては非常に大きなトピックだけに、この真相を少し探ってみた。ぶっちゃけた話、しばらくは安泰だと思われる。

文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ、編集部

「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ

【画像ギャラリー】納期正常化だけが唯一の願い!!? 激推しディーゼル仕様のランクル見て(12枚)

そもそもディーゼル廃止に排ガス規制が関係ある?

2015年登場の1GDエンジン。ユーロ6対応のディーゼルエンジンだ

 SNSなどで「ランクルシリーズに搭載される1GDエンジンの国内向けの廃止が決まった」という情報が出回っている。

 まず最初から結論を言うとベストカーWebが掴んでいる情報では、この1GDエンジン(2.8Lディーゼル)の廃止という情報は入っていない。ましてやランクル250やランクル70のディーゼルモデル廃止や受注再開がないという話もつかんでいない。

 そもそも1GDエンジンを国内仕様からフェードアウトさせる理由はどこにあるのだろうか? 1GDエンジン自体はユーロ6のエミッションをクリアしており、アドブルー仕様であれば日本はもちろん、欧州でも排ガス規制単体の影響は受けない。

 もちろんオーストラリアがアドブルー仕様のランクル70へスイッチするタイミングもやってくるはずで、そのための生産調整などがあったとしてもトヨタが日本市場から1GDを排除するメリットは感じられない。

ランドクルーザーの他の記事を見る

騒音規制という噂も出たけれど……

シャフトなどが露呈しているフレーム車。国連規定で1dBのオーバーは認められている

 排ガスに問題がないとなると、次に噂になっているのが車両騒音規制。これについてはランクル70は2023年12月に発売開始だから、いわゆる70dBを上限とする「平成28年騒音規定”フェーズ2″(M1A2C)」が適用される。

 しかしカタログスペックでは「71dB」でフェーズ2の上限である70dBには到達していない。もちろんこれには理由があり、国連規定「UN_R51-03」において下記の例外があるのだ。

“6.2.2.2. For vehicle types designed for off-road use, the limit values shall be increased by 2 dB(A) for M3 and N3 vehicles category and 1 dB(A) for any other vehicle category.
For vehicle types of category M1 the increased limit values for off-road vehicles are only valid if the technically permissible maximum laden mass > 2 tons”

 ざっくり要約すればM1カテゴリー(ランクル70が該当)のオフロード車両については、技術的最大許容質量が2トンを超える車両のみ1dBの規制値引き上げを認めるというもの。つまり規定値より1dB大きな71dBがランクル70の場合の騒音規制値なのだ。

 国土交通省への取材によれば「M1A2C」という認可基準の「C」はオフロード車を示すとのことで、この例外措置を適用したのは間違いない。ちなみにランクル250についてもディーゼル、ガソリンともに「M1A2C」だ。

 つまり2024年10月の「フェーズ3」施行開始よりも前に型式認定されている再再販ランクル70(とランクル250)については、当分の間は問題なく「フェーズ2」の車両騒音規制で対応できるってこと。そうなると「騒音規制が原因」という噂も1GDエンジン搭載車やランクル70を排除する理由ではなくなる。

そもそも「元が取れていない」 のに廃止するか?

ランクル250も含めて1GDエンジンの費用対効果は大きい。これをいますぐなくすとは考えにくいのだが……

 当然ながらランクル70にしても250にしても300にしても、外的要因で純粋な内燃機関モデルの終焉から逃げきれなくなる日はくる。中東ではランクル300ハイブリッドが、そして欧州ではランクル250の1GDエンジン搭載車にマイルドハイブリッド仕様が登場しているのが、そのXデーへの備えとも見てとれるだろう。

 またランクル大国のオーストラリアでもそれは例外ではなく、ハイラックスやランクル70の電動モデルのテストが進んでいる。当然過酷な自然環境下でテストを行うという意味は、今後の実用化が大前提のはずで、欧州の1GD+48Vハイブリッドはまさにオーストラリアでの知見が生きたパワートレインだ。

 しかしながら「ランクル70も250もディーゼルモデルは廃止へ」という記事を書く日は今ではないし、トヨタとしてもこのまま1GD搭載車両を国内向けに廃止したら採算を取ることはできていないはずだ。

ハイラックスEVの実験はオーストラリアでも始まっている。この知見は今後の市販車にもフィードバックされるはず

 グローバルモデルだから日本向け車両は「チャチャっと」手を入れて簡単に安価で出せると思う人もいるかもしれないが、皆さんが思っている以上に日本でクルマを新型車として登録するコストは高い。認証を取得するだけでも「億単位」の金額がかかることだってある。

 ランクルを取り巻く環境が販売などを含めて非常に困難を帯びてきており、販売終了という情報がSNSなどで頻繁に出回ることが多くなった。しかしその情報だって真実かどうかは計り知れない。それであればデータが示す内容をきっちり精査してみたくなり、この記事をまとめてみた次第。

 また廃止ばかり議論されているが、新たな1GDエンジン搭載モデルの可能性にだって、今後は注視していく必要があると思う。ベストカーWeb調べではランクルFJはガソリンエンジンのみになりそうだが……。

 

投稿 「ランクル」国内むけディーゼル廃止はない? 「騒音規制」「排ガス規制」が噂の”決定打”にならないワケ は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

文:ベストカーWeb ベストカーWeb
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

パナソニック、AI×UXで実現する「移ごこちデザイン」体験ブース出展へ…東京オートサロン2026
パナソニック、AI×UXで実現する「移ごこちデザイン」体験ブース出展へ…東京オートサロン2026
レスポンス
レクサス「“新”FRスポーツカー」“公開”され話題に! 美麗「クーペボディ」採用×高性能「V8」エンジン搭載のスペシャルED「に美しい」「存在感際立つ」声も! 迫力ウイングもイイ豪州「LC500」とは
レクサス「“新”FRスポーツカー」“公開”され話題に! 美麗「クーペボディ」採用×高性能「V8」エンジン搭載のスペシャルED「に美しい」「存在感際立つ」声も! 迫力ウイングもイイ豪州「LC500」とは
くるまのニュース
ヴァレオ、超高効率EVプラットフォームなど次世代技術発表へ…CES 2026
ヴァレオ、超高効率EVプラットフォームなど次世代技術発表へ…CES 2026
レスポンス
TAKUMIモーターオイル、2年連続みんカラ年間大賞…エンジンオイルとオイル添加剤で高評価
TAKUMIモーターオイル、2年連続みんカラ年間大賞…エンジンオイルとオイル添加剤で高評価
レスポンス
世界でたった12台しか作られなかった“2シーター・ベントレー”がオークションで落札 走行わずか1131キロの「バカラル」の価値とは
世界でたった12台しか作られなかった“2シーター・ベントレー”がオークションで落札 走行わずか1131キロの「バカラル」の価値とは
VAGUE
トヨタ「新型“5人乗り”SUV」発売! デザインは選べる「3タイプ」! まったく“隙”の無い「全方位ラインナップ」戦略がスゴイ! 絶対王者「新型RAV4」に用意された“3つの顔”とは!
トヨタ「新型“5人乗り”SUV」発売! デザインは選べる「3タイプ」! まったく“隙”の無い「全方位ラインナップ」戦略がスゴイ! 絶対王者「新型RAV4」に用意された“3つの顔”とは!
くるまのニュース
EVATEK から CT125ハンターカブ用「EVATEKアルミバーハンドル」が発売!
EVATEK から CT125ハンターカブ用「EVATEKアルミバーハンドル」が発売!
バイクブロス
群馬県の太田市が10メーカーものEVを集めて試乗会……って何のメリットが? 一風変わった試乗会に潜入してみた
群馬県の太田市が10メーカーものEVを集めて試乗会……って何のメリットが? 一風変わった試乗会に潜入してみた
WEB CARTOP
岡山の渋滞区間に救世主! 約16kmの「総社・一宮バイパス」が整備中。一部開通でまもなく山陽道に直結【いま気になる道路計画】
岡山の渋滞区間に救世主! 約16kmの「総社・一宮バイパス」が整備中。一部開通でまもなく山陽道に直結【いま気になる道路計画】
くるくら
【第657回】12/20(土) THE MOTOR WEEKLY放送予告!
【第657回】12/20(土) THE MOTOR WEEKLY放送予告!
Auto Prove
「このバイク、どんな未来を見ているんだろう」カワサキとヤマハ 2台の「水素エンジンバイク」の魅力に迫る!! ~高梨はづきのきおくきろく。~
「このバイク、どんな未来を見ているんだろう」カワサキとヤマハ 2台の「水素エンジンバイク」の魅力に迫る!! ~高梨はづきのきおくきろく。~
バイクのニュース
トヨタ『クラウン・エステート』に採用、ニフコのパッキンレス・バンパーリテーナーが自動車プラスチック技術賞に
トヨタ『クラウン・エステート』に採用、ニフコのパッキンレス・バンパーリテーナーが自動車プラスチック技術賞に
レスポンス
DUNLOPが「TOKYO AUTO SALON 2026」に出展! 次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」で“生活軸”のカーライフ提案
DUNLOPが「TOKYO AUTO SALON 2026」に出展! 次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」で“生活軸”のカーライフ提案
くるまのニュース
三菱『デリカD:5』18年目の大幅改良で「原点回帰」、期待されるフルモデルチェンジは? 開発責任者「デリカを終わらせてはいけない」
三菱『デリカD:5』18年目の大幅改良で「原点回帰」、期待されるフルモデルチェンジは? 開発責任者「デリカを終わらせてはいけない」
レスポンス
トヨタが「アルファード/ランクル」を守る“最新セキュリティ”提供スタート! 社会問題化する“自動車盗難”に新対策! KINTOと協力の「サービス名称」も変更!
トヨタが「アルファード/ランクル」を守る“最新セキュリティ”提供スタート! 社会問題化する“自動車盗難”に新対策! KINTOと協力の「サービス名称」も変更!
くるまのニュース
今乗っているトヨタ車・レクサス車の機能や装備をアップグレードできる TOYOTA/LEXUS UPGRADE FACTORY取材会レポート
今乗っているトヨタ車・レクサス車の機能や装備をアップグレードできる TOYOTA/LEXUS UPGRADE FACTORY取材会レポート
driver@web
旧パチンコ店を改装、newmoが大阪にタクシー営業所開業…AI配車や自動点呼機器を導入
旧パチンコ店を改装、newmoが大阪にタクシー営業所開業…AI配車や自動点呼機器を導入
レスポンス
【ヤマハ】「WR125R」を1/30発売! 原付二種で復活した WR シリーズのオン・オフモデル
【ヤマハ】「WR125R」を1/30発売! 原付二種で復活した WR シリーズのオン・オフモデル
バイクブロス

みんなのコメント

3件
  • mhx********
    廃止されていないが買えません(2025年7月現在)
  • reg*******
    もし1GDが規制に適合できずに廃止ならハイエースやコースターはどうなる?という問題にもなる。
    新開発するなら話は別だが、現状ではほかに使える商用車向けディーゼルエンジンはトヨタに存在しないはず。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

407 . 2万円 477 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

111 . 0万円 780 . 0万円

中古車を検索
トヨタ ハイラックスの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

407 . 2万円 477 . 2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

111 . 0万円 780 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村