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新車の供給体制は前年より改善……なのに販売台数は伸びず! 「ディーラーに行きたい」と思わせる「目玉車種」が少ないことが原因か

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新車の供給体制は前年より改善……なのに販売台数は伸びず! 「ディーラーに行きたい」と思わせる「目玉車種」が少ないことが原因か

 この記事をまとめると

■自販連と全軽自協から2024年9月単月締めでの新車販売台数が発表された

トヨタが強すぎる! 8月の登録車販売ランキングTOP10は7台がトヨタ車で圧巻の内容

■2024年9月の新車販売台数は登録乗用車が24万399台、軽四輪乗用車が12万5813台

■販売現場に話題の新型車がなく消費者の購買意欲も盛り上がりに欠けている

 2024年9月の新車販売台数は前年同月とほぼ同数

 9月は新車販売では重要な「節目」の月ともいえる。事業年度締め(4月から翌年3月)での上半期(4~9月)末という重要な節目であり、そのため過去にはほぼ全メーカーが大々的に「上半期末決算セール」を展開していた。ところが2024年9月の上半期末決算セールでは、ホンダが熱心にテレビなどで宣伝活動を展開していたぐらいで少々盛り上がりに欠けるものであった。

 過去には9月の事業年度締め上半期末や、3月の事業年度締めでの年度末などの「増販期」には、それに合わせて値引き額や下取り査定額の底上げ、旅行クーポン券などが当たる特典などが用意され、販売促進活動が展開された。いまのホンダのように専用のテレビCMを積極的に流すなど宣伝活動にも余念がなかった。しかし、いまは増販期といっても目標販売台数(ノルマ)の上乗せこそあっても、目立ったバックアップを得ることができなくなっているのが現状のようである。

 基本的な車両価格からの値引きは年間を通じてほぼ平準化してしまい、増販期でも消費者を惹きつける特典もほぼないのだが、それでも「増販期」をセールストークに使い、多少なりとも特典も残っている。昔ほどではないが新車がよく売れる月と売れない月が出ており、統計数値上の差は縮まっているものの、多少デコボコしたグラフになったりしている。

 さて、そんなことを踏まえ、自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から軽自動車それぞれの2024年9月単月締めでの新車販売台数を見ていこう。

 まず登録乗用車については24万399台(前年比101.1%)、軽四輪乗用車は12万5813台(前年比100.2%)と、両方ともにかろうじて前年比プラスとなっている。この動きを紐解くひとつのキーワードが、日本車の「新型車不作」ともいわれる状況である。

「もちろん不作と表現しても各メーカーからは新型車がデビューしているのですが、新車販売市場に華を添えるような、つまり『ディーラーへ行って見てみよう』と思えるような、インパクトの大きいモデルは私が見る限りでは確認できません」とは事情通。

「面倒な場所」として感じる人も多い新車ディーラー。そのディーラーへお客さんの足を向けさせるためにも魅力的な新型車のデビューは大切であり、仮にその新型車が購入検討に入っていなくても、「人寄せパンダ」として店頭に人を集めてほかの車種の販売促進活動も可能なのである。

 いろんなことがありすぎて消費者の購買意欲が盛り上がっていない

 前年比プラスとなったのは、前年に比べて新車の供給状況の改善がさらに進んだことに助けられたという部分のほうが大きいように感じる。トヨタを除けば、販売主軸車種でも最短2カ月ほどで納車可能というケースもあった。ホンダは8月のお盆休み明けから「プレミアム決算フェア」と銘打ったイベントの宣伝を開始しており、お盆休み明けから商談し、早々に発注すれば9月中に納車が間に合うというケースが前年より確実に増えていたので、この供給体制の改善にも助けられた部分が大きいのではないかと見ている。

 毎月のブランド別での軽自動車販売台数の推移は興味深いところだが、2024年9月もスズキが1万台ほどダイハツに差をつけてトップとなっている。内訳をみると、軽四輪乗用車が約1.6万台差をつけてスズキがトップとなっている。

 軽四輪車総台数では、ダイハツはスズキの販売台数比約79%で2位となっていたが、軽四輪乗用車ではそれが約63%となっている。軽四輪貨物では140%でダイハツがトップとなっているので、ここのところダイハツは軽四輪貨物販売で支えられているといえる。軽四輪乗用車でスズキに大差をつけられてしまうので、軽四輪総台数でも2位という状況が続いているのだ。

 中古車市場には、販売先の決まっていない在庫車をディーラー名義などでナンバープレートだけ装着した自社届け出車両由来の「届け出済み未使用軽中古車」が溢れているが、相変わらずダイハツの軽自動車が目立つ。スズキの軽自動車もないわけではないが、その数はダイハツよりは控えめとなっている。未使用中古車として新車より割安で購入できる環境が整ってしまっているので、新車販売がいまひとつふるわないとも見ることができるのである。

 9月単月の統計が発表になると、事業年度締め上半期の販売台数も決まる。軽四輪車総台数ではスズキが9万台ほど差をつけトップとなっている。軽四輪乗用車では10万台強スズキが勝っている。軽四輪貨物では約1.6万台差をつけダイハツが逆にトップとなっているが、10月末には再び一部車種でダイハツは生産停止となるといわれているし、事業年度締め下半期で上半期の差をリカバリーしてトップになることはかなり厳しいように見える。

 ちなみに登録乗用車の2024事業年度締め上半期販売台数は121万9924台となり、124万2377台であった前年比約98%となっている。前年以上に供給体制の改善が見られるなか、ほぼ前年並みで推移しているのは、やはり消費者の購買意欲というものが盛り上がりに欠けており、それを刺激するような新型車が2024年は不作といわれている状況が影響しているのかもしれない。

 あとは世のなかに目を向ければ、増税、社会保険料の負担増といった国民負担のさらなる増加の話ばかり。これではなかなか積極的に「新車を買おう」と盛り上がることができないのも納得できるところである。

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