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トンネル内の照明がまばらに点いている深いワケ「電球切れてる? いいえ、わざとです」

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トンネル内の照明がまばらに点いている深いワケ「電球切れてる? いいえ、わざとです」

トンネルには照明同士の設置間隔が不均等、消灯している個体がある

高速道路や幹線道路を走っていれば、誰もが通るトンネル。
2020年12月22日に新東名高速道路の御殿場JCT~浜松いなさJCTの制限速度が時速120km/hになったことで、ツーリングやドライブの際にあえてこの道を選ぶ人も増えたのではないかと思います。

【画像5枚】構造は意外とシンプル!! 間近で見る機会の少ない「トンネル用照明器具」を写真で解説

この新東名高速道路は設計速度が時速140km/hで、それを実現するために片側3車線化と幅が広い上に直線に近い緩やかな曲線を描く道路構造を設定しているので、山などを迂回することなく、とにかくトンネルが多いことで知られます。

新東名高速道路に限らずトンネルに入ると不思議に思うことがいくつかあります。例えば、トンネル内の照明がそのひとつです。

長いトンネルでは、トンネルの入り口付近、中央、出口付近でそれぞれ設置されている照明の数が均等ではないことに気がつきます。また、設置されているのに点灯していない個体もあります。「球切れかな?」なんて思ってしまうのですが、じつはあえて消灯している理由があるのです。

人間の目は光量の変化に弱い

昼間にトンネルに入れば間違いなくトンネルの中の方が外よりも暗いのはお分かりいただけると思います。もし照明がなかったり不十分だったりすると、しばらくトンネル内で目が利きません。

例えば、夏の炎天下に外から窓のない物置に何の照明もつけずに入ったら真っ暗で何も見えませんよね。でも、そこでしばらくすれば目が慣れてきて暗くても少しは見えるようになります。
人間の目は、月明かりの0.1ルクスから夏の炎天下の10万ルクスまで対応できると言われています。

しかし明るいところから暗い所へ行ったり、逆に暗いところから明るいところに行ったりした場合、即座にその明るさに適応できるわけではないのです。
特に明から暗への対応は不得手で、真っ暗な部屋から明るい日の下へ行った場合は1分程で明るさに適応しますが、明るい日の下から真っ暗な部屋に入ると適応には20倍の時間を要するのです。

トンネル内部で最も照明の数が多いのは中央付近

人間の苦手とする「明るいところから暗い所へいきなり入っていく」というのがトンネルなのです。暗いトンネルにいきなり入ってきて目が慣れるまで見えないなんて状況になったらかなり危険です。

そのためトンネルの入り口付近は明るくしているのです。そしてだんだんと暗くしていき、トンネルの中央部が一番暗い状態になります。

そこから出口に向かってまた明るくしていくのですが、これは暗いトンネル内部から明るい外に出た際、目が対応しきれずに視界が白飛びしたようになる「ホワイトホール現象」の影響を小さくするためです。

また、トンネルが対面交通になっている場合、上り方面に向かうバイクやクルマにとっては「入り口」でも、下り方面に向かう対向車にとっては「出口」となるわけですから、当然「出口」も「入り口」も同じ明るさになっています。

したがって、トンネル内部では中央部に行くにつれて照明同士の間隔が広くなっていきます。

消灯している電球があるのは24時間年中無休でトンネルを通れるようにするため

照明器具には寿命がありますので、当然交換しなければならない時期も訪れます。しかし交換のためにトンネル内の照明を一斉に消してしまってはその間通行できなくなってしまうので、点灯する組と消灯する組に分けて交互に運用し、交換時期が来たら消灯している組の照明を交換するようにしているのです。

ただし、LEDの普及によって照明器具の寿命は格段に伸び、9万時間(24時間点灯し続けても約10年)程度の継続使用に耐えられる製品も出てきたため、近年は「交互運用」を取りやめるトンネルもあります。

トンネルは照明器具だけを見ても実によく考えられて作られ、時代とともに進化しているのです。

レポート●松永 和浩 写真●GSユアサ/モーサイ編集部 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実 参考文献●トンネル工法の「なぜ」を科学する(アーク出版)

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みんなのコメント

9件
  • バイクは昼間もライト点けてくれ。
    死角に入られると認識できない
  • 取材先が間違ってる。
    照明器具会社に聞きなさい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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