日産の軽の電気自動車「サクラ」に世良耕太が試乗した。都市部での走りっぷりはいかに?
開発者の気づかい
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サクラとはじつにいい車名である。植物の「桜」が由来だ。今までにない車名なので「新しいクルマだな」と想像がつくし、サクラがもつ語感から、やわらかいイメージのクルマを思い浮かべるだろう。
少なくとも、いかついクルマのイメージはないはずだ。日産にはかつて、桜をあらわす英語の「チェリー」を車名にもつクルマはあったが、もし今回も英語のネーミングだったら、印象は大きく違っただろう。
国内専用モデルということもあり、日本語車名の採用に至ったようだ。日産のラインナップのなかでは、「アリア」、「リーフ」に次ぐ、電気自動車(EV)3兄弟の末弟の位置づけである。クロスオーバーSUVのアリアも、Cセグメントハッチバックのリーフも世界戦略車であるが、サクラは日本独自の軽自動車規格に準拠しているのが興味深い。
車体骨格は660ccのガソリン・エンジンを積んだ「デイズ」をベースにしている。シルエットを重ねれば相似形ではあることははっきりするが、デイズと近い関係にあるようには見えず、むしろアリアの縮尺版に見える。狙ってそうデザインしたのでアリアっぽく見えて当然だ。最新のクルマに見えるし、未来を先取りしたような先進的なムードを漂わせている。「伝統」のワードが似合いそうな純和風の車名を戴いているのに。
車両全体で先進的なムードを漂わせながら、差し色を施すように、随所に和の遊び心をちりばめているのが面白い。ホイールのデザインは贈答品を飾る帯ひもの「水引」がモチーフ。車内に入ってカップホルダーを引き出せば、ホルダーの端に桜の花びらがあしらってある。
ディズニーランドの隠れミッキーではないが、エクステリア/インテリアのそこかしこに水引と桜のモチーフが隠れている。「サクラとの生活を楽しんでほしい」という、開発者の気づかいだ。
軽自動車とは思えぬクオリティ
先進的なムードの面では、すべての光源をLEDにしたのも大きい。“お求めやすさ”が身上の軽自動車であることを考えると、低コストの電球ではなく、高コストのLEDを選択したのは英断である。
LEDのシャープな光のおかげで、プレミアム感が漂う。今回の試乗では、日産グローバル本社の地下駐車場でランプ類が点灯した様子を確認できたが、V字を描くヘッドランプまわりと光るNISSANエンブレムが醸し出す先進的なムードは兄貴分のアリアそのものだ。
リアはテールランプが車幅いっぱいに点灯するデザインで、ヨーロッパのプレミアム・ブランド顔負けの存在感を放っている。ナンバープレート灯までLEDにする念の入れようだ。サクラはただサイズが小さいだけで、安っぽさは微塵もない。おなじブランドの、画面サイズの小さなタブレット端末が、画面サイズの大きなタブレット端末に比べて安っぽくは感じないのとおなじ。アリアとサクラもそういう関係のように思う。
サクラの開発にあたった技術者はそのインテリアを「上質なプライベート空間」と表現している。
デイズで使った車体骨格を共用しているのにサクラには独自のエクステリアを与えたように、インテリアも一新。インストルメントパネルは全面ファブリックとし、カジュアルながらも落ち着きのある空間としたのが特徴だ。
「モノリス」と呼ぶ、タブレット端末を横に2台並べたような統合型インターフェイスディスプレイはアリア譲り。メーターに表示されるグラフィックはサクラ専用に開発されている。
「軽自動車だから」と、とかく低い期待値で眺めてしまいがちだが、サクラと対峙すると、固定観念に凝り固まった自分を叱りつけたくなる。サクラはエクステリアもインテリアも、クラスを超越したクオリティを備えている。そして、走りも。
超感覚、再来!
左手を伸ばした位置にある、パソコンの起動ボタンのようなアイコンを押すと、サクラはやさしい起動音を響かせて目覚める。ガソリン・エンジン車ならキュルキュルとスターターモーターのギアノイズを響かせたのち、おなじみのエンジン・ノイズを発するところだが、サクラはEVなので、ほぼ無音のままだ。
エアコンがオンの状態で停止していた場合は起動時にエアコンのスイッチが自動的に入ってルーバーから風を送り出す。サクラの室内を支配するのは、そのファンの音だけだ。寝起きにいきなり洗濯機の騒音を耳にするのと、エアコンの心地いい風のみを感じるのとでは、気分がだいぶ違う。サクラは後者で、じつにすがすがしい。
走り出した瞬間にEVらしさを実感できるのも、サクラの特徴だ。ガソリン・エンジンを積む軽自動車の場合、排気量は最大660ccに制限されているし、最高出力は47kW(64ps)に(自主的に)制限されている。発進直後の加速に効くのは、出力よりもトルクだ。
デイズのターボ・エンジン車が発生する最大トルクは100Nmなのに対し、サクラのモーターは約2倍となる195Nmもの最大トルクを発生する。ターボ・エンジンが最大トルクを発生するのは2400rpmだ。エンジンはある程度回転を高めないと大きな力を発生できない。
いっぽう、モーターはまわりだした瞬間から最大トルクを発生する。だから、エンジンのような騒々しいノイズを撒き散らすことなく、スッと走り出し、力強く加速する。地下駐車場のスロープを澄まし顔で上るなど朝飯前。その気になれば、幹線道路で交通の流れをリードすることすら可能だ。まるで、巨体ぞろいのフォワードをかいくぐるようにして動きまわるラグビーのスクラムハーフのような俊敏な動きで街を駆けまわってみせる。
「超感覚」のキャッチフレーズで登場したのは、8代目のR32型「スカイライン」(1989年)だったが、サクラにもこのフレーズが似合う。
従来の軽自動車の概念を超えた俊敏な走りと静粛性、それにしなやかな乗り味、エクステリアとインテリアの先進感が、このクルマがオーナーに提供する価値だ。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.)
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