忙しい現代人と少ないクルマの知識
ディーラーの顧客は、営業マンが「その道のプロ」であり、クルマのことなら何でも知っていると思っている。そのため、彼らに聞けば的確なアドバイスが得られると感じている。実際のところはどうなのか。今回は、一部で物議を醸しているマツダのディーゼルエンジン搭載車を取り上げて、この疑問を投げかけてみたい。
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ディーラーに限らず、多くの顧客は一般的に商品の知識が少ないが、熱心な顧客は購入前に商品を徹底的に調べ、購入後も取扱説明書を熟読して使い方を学ぶ。しかし、これは少数派である。
なぜなら、彼らは仕事や家庭など、さまざまなことで忙しく、調べたり学んだりする時間的余裕がないからだ。そのため、彼らは「その道のプロ」にアドバイスやレクチャーを求める。
顧客の燃費重視傾向
筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)がディーラーに勤務していた10年ほど前でも、新車を購入する顧客は機能よりも
「燃費」
を重視する傾向があった。 当時はガソリン価格も今ほど高くなかったが、ガソリン価格が徐々に上昇している現在では、その傾向はさらに強まっている。
燃費のよいクルマといえばハイブリッド車(HV)を思い浮かべる人が多いが、燃料費の安いディーゼルエンジン車を購入する人も一定数いる。
ガソリン車は燃費が悪いが、燃費のよいHVは高価で選択肢が少ない。その点、マツダのディーゼル車を含む車種ラインアップは、顧客のニーズに合っているのかもしれない。
マツダはここ数年、国産メーカーで唯一、ディーゼルエンジン搭載乗用車をラインアップしてきた。日産もクリーンディーゼルエンジン搭載車を販売していたが、後継モデルはイメージを大きく変え、HV専用車となった。
ディーゼル車の環境変革
ここで簡単にディーゼルエンジンについて触れておこう。
ディーゼルエンジンは軽油を燃料とし、ガソリン車よりも燃費がよいというイメージが定着している。しかし、かつては“有害な黒煙を吐き出すエンジン”としてクルマに搭載されていた。
1999(平成11)年、当時都知事だった石原慎太郎氏が記者会見でディーゼル車の排ガスが入ったペットボトルを掲げ、
「こんなものをみんな吸っているんだよ」
と発言したのをきっかけに、東京都で「ディーゼル車NO作戦」キャンペーンが始まり、環境が変わった。
詳細は省くが、これにより有害物質の排出が少ない「クリーンディーゼル車」が市場に現れた。約25年前の話なので、若い世代にとっては
「ディーゼル車 = うるさいエンジンで有害物質を排出する」
というイメージは少ないだろう。
ディーゼルエンジンのスス問題
筆者は、マツダから現在発売されているディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」が、ロータリーエンジンなどの開発で高い評価を得ているエンジニアたちの努力の結晶であることを知っている。
「トルクフルで楽しいクルマ」
など、これまで所有したことのない顧客に所有欲をかき立てるような肯定的なコメントも多い。
しかし、エンジンについて調べてみると、ネガティブな情報がさまざまなところで目につく。その大半は、エンジン内部にたまるススに関するものだ。特にユーチューブなどでは、エンジンを分解して、その惨状を面白おかしく発信する投稿者までいる。
そもそも、現代のディーゼルエンジンは、エンジン内部に黒いススをため込んで大気中に放出しないという特性がある。ある程度たまったススを燃焼させて除去する
「DPF再生」
を行うが、通勤や買い物など「ちょい乗り」が多いクルマではDPF再生が完了する前にエンジンが停止してしまうため、ススがたまりやすくなる。
この状態が続けば、最悪の場合エンジンが停止する恐れがあるが、動画のクルマはまさにその一歩手前にあるのだろう。
顧客対応のプロ意識の欠如
前述のとおり、ディーゼルエンジンは長距離ドライブが多い顧客に向いている。もちろん、近距離しか走らなくても、長距離ドライブをしてDPF再生すれば問題ない。問題は、それを
「営業マンがきちんと顧客に説明しているかどうか」
である。営業マンは本来、顧客のニーズを理解し、それに合った解決策(商品)を提案することで、自らの価値を見いだすことができる。「このクルマが欲しい」という顧客に商品を売ることは悪いことではないが、
・その顧客がクルマをどのように使っているのか
・本当にニーズに合っているのか
を確認した上で、納得のいく説明をしているのかどうかが疑問なのだ。
営業マンが知識がないのであれば、勉強してきちんと説明できるようになればいいのだが、問題なのは、知識があっても顧客に伝えない営業マンがいることだ。
投稿された動画にもあるように、ススがたまってきたら掃除する必要がある。もちろん、ディーラーでも掃除はできるが、コストがかかる。自社工場でクリーニングすれば、工賃収入を得られる。したがって、将来の利益のために重要な事項を説明しないのは悪意があるといえる。
冒頭でも述べたように、顧客の多くはクルマのことをよく知らない。筆者は、ディーラーの営業マンが、プロ意識と誇りを持って顧客に対応することを期待している。
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