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戦後フルラインメーカーへと登りつめたドイツの名門自動車ブランドOPELの歴史

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戦後フルラインメーカーへと登りつめたドイツの名門自動車ブランドOPELの歴史

戦後初の大衆車『OLYMPIA REKORD』はポンツーン型のデザインを纏い、ワゴンも追加されて人気を博した。上級クラスの『KAPITAN』には3速ATがオプションで用意されるなど新機軸の投入も始まった。

創業から終戦までのOPELは紆余曲折の日々を送ってきた。もっとも、だからといって決してそこに諦めの文字はない。再びゼネラルモーターズの力を得て、また自身の技術力をもとに、フルラインメーカーへと上り詰めていくのだった。

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ゼネラルモーターズと歩んだ戦後の復興と伸長の道

『BRITZ』の生産で幕を開けたオペルの戦後は、同時に工場の再建を図りつつ『OLYMPIA』の生産を再開。1948年にはゼネラルモーターズも経営権を回復する。そして53年、戦後初の大衆車として『OLYMPIA REKORD』が登場。フェンダーをボンネットやトランクと一体化したポンツーンスタイルのセダンとして好評を得る。これに続いたのがワゴンタイプの『CARVAN』だ。CAR-AND-VANの造語から生まれたクルマは実用的でレジャーでも楽しめるとして人気に。54年には『KAPITAN』、60年には『REKORD』(P2)をリリースするなど、それまでの足踏み状態を取り戻すかのように新型車の発売ラッシュに転じたのだった。

 そして小型車製造のオペルの名を再び強固なものとしたのが1962年の『KADETT』の復活だった。フルモノコック構造のボディーは、生産性に配慮したシンプルな造形が特徴。メカニカルコンポーネンツも、簡素ではあるが軽く丈夫な造りとも相まって、1Lエンジンでも十分実用に足る性能を発揮し、大衆車として確かな実力を有した。63年にデビューした『REKORD A』はディスクブレーキや6気筒エンジンを搭載する先進的なモデルとして、ドイツの中産階級の支持を獲得。そんな中小型車が充実する一方で『KAPITAN』『ADMIRAL』『DIPLOMAT』が上級クラスを担うなど、着々とラインアップの拡充が進んでいった。

 1960年代中期にはヨーロッパメーカーとして初の試みとなるデザインスタジオを開設。オペルの代名詞となるエアロダイナミクスに関しての研究が行なわれることとなる。実際、その後に『GT』のコンセプトモデルが生まれ、68年には待望の市販化にこぎつけた。『GT』はその類いまれなるスタイリングの良さと手頃な価格で大きな支持を得ることになった。

 それまでのアメリカ的ニュアンスが強かったデザインに変化が見え始めたのが1970年代。モールなどによる装飾を抑え、オーガニックなラインを生かした欧州デザインとの融合はインターナショナルスタイルとも言えるものだった。その具体例が『MANTA』だ。スペシャルティークーペを戦力に引き入れることで、オペルのフルラインメーカーとしての体制が整っていく。加えて、当時の親会社のゼネラルモーターズが世界戦略車構想に力を入れていたのも見逃せない。ひとつのプラットフォームから様々なモデルを展開する戦略に則って生み出されたのが第3世代の『KADETT』で、実際に、いすゞ『GEMINI』やシボレー『CHEVETTE』といった兄弟車を展開して、グループとしての結束力を強めていくことになる。

次世代を見据えた空力開発と世界戦略車構想への注力

1960~70年代には『KADETT』の復活、『REKORD』のモデルチェンジ、そして上級クラスに『KAPITAN』『ADMIRAL』『DIPLOMAT』を取り揃えてフルラインメーカーへと成長していく。

『GT』はスタイリング研究用、あるいは空力開発用としての触れ込みで1965年のフランクフルトショーで公開されたこのモデルは、高い評価を得て市販化に至った。また、これをベースとした『ELEKTRO GT』は電気自動車としてのテストベッドともなり、1971年に6つの世界記録を樹立している。

OPELにとって、次のステップに向けた課題のひとつが世界戦略車構想への注力だ。第3世代『KADETT』(上)や初代『CORSA』(下)がその役割を担うことになった。

取材・文/桐畑恒治

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランドMOOK「&OPEL 未来を創るクルマ。」発売中

 1862年の誕生以来、不断の進化によっていつの時代も時代も最先端のポップカルチャーであり続けたOPEL。そのブランドDNAとその魅力を、チーフデザイナーへのインタビューや歴史的名車の検証などをもとに解き明かすムック本「&OPEL」が発売されました。

 ドイツの自動車メーカーOPELは、160年の歴史を持つ老舗ブランドです。日本との縁も深く、戦前から輸入され、2006年までは日本国内でも販売されていたので、ご存じ方はもちろん、実際に乗った/所有したことがある方も多いのではないでしょうか。

 そして今、OPELが再び、日本に上陸するといわれています。今度、日本にやって来るOPELは、私たちがしばらく見ないうちに、すばらしくモダンで、ポップな佇まいに変身していました。ドイツ車としての信頼感と堅実さはそのままに、ガジェット感あふれるデザインやカラーリングからは、「どんな人生を愉しみたい?」と、クルマが語りかけてくるようです。そんな、ニュー・ジャーマン・カーで実現するライフスタイルのテーマは「リラックス」。

 本書では、暮らしをアップデートするモダンジャーマンなクルマづくりの魅力を、160年の歴史とともに余すところなく、紹介します。

160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランド大図鑑

『&OPEL(アンドオペル) 未来を創るクルマ。』

定価1650円(税込)A4変形判/132ページ

小学館刊

https://www.shogakukan.co.jp/books/09104254

■本書のコンテンツ紹介

PART 1  OPELが提案するRELAX LIFE

●人気モデル「CORSA」「MOKKA」「GRANDLAND」徹底解剖!

PART 2 Pop&Future! OPELの秘密

チーフデザイナー・Mark Adams インタビューファッションデザイナー・Marcel Ostertag インタビュー「ASTRA」「MANTA」「COMBO LIFE」最新モデルの魅力OPELと相性抜群のライフスタイル名品セレクションPART3  Just like an OPEL

注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPELPART 4   ドイツから特報!元気なOPEL

「MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビューPART 5   Republish of Historic car impression

革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史

老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力OPEL in Motorsports「CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA」PART6 「&OPEL」 Square

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みんなのコメント

3件
  • 販売不振からGM傘下で事実上の欧州部門となり、GMの破綻からプジョーシトロエン傘下。
    上りつめた感はないなぁ。
  • オペルってドイツのダイハツみたいなイメージだなぁ。今はドイツの皮被ったフランスのダイハツかもしれんが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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