迎え撃つはホンダGB350、カワサキ エリミネーターか
普通二輪免許で乗れるトライアンフとして注目の「スピード400」と「スクランブラー400X」が発表され、生産はインドのバジャジ(BAJAJ)が担うことも判明。“競争力のある価格”で2023年末に発売予定だ。日本においてこのクラスはGB350が強さを見せているが、カワサキからはエリミネーターも登場し──。
【エンジンの気筒の数でなにがちがう?】バイクの乗り味ざっくり解説[単・2・3・4・6気筒]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400ccクラス
―― トライアンフ スピード400
バイクの免許は原付(~50cc)、普通二輪小型限定(125cc))、普通二輪(400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除いてAT限定免許も存在する。このうち大型二輪免許は18歳以上でないと取得できず、多くのライダーが最初に取得する免許は16歳から取得可能な原付~普通二輪免許になる。
普通二輪免許を教習所に通って取得するには15万円ほどの費用がかかり、教習所での実技試験と、各都道府県の試験場での学科試験を経てめでたく取得となる。期間は時期によってさまざまだが、初めての免許であれば1か月程度が一般的だ。
400ccバイクのメリットは?
―― カワサキ エリミネーターSE
◆タンデムでも余裕のあるパワー
今回紹介する350~400ccのバイクは、小排気量車に比べてエンジン出力に余裕があり、低い回転域から車体を前に押し出すトルクも持っている。いちばん売れているGB350で言えば、3.0kg-mの最大トルクをわずか3000rpmで発生する。
◆大型バイクに近い凝ったディテール
ひとつ下の250ccクラスに比べると車両価格はやや高く、そのぶん凝った造りやコストをかけたサスペンションなどを採用する傾向。海外でも“ビッグバイク”の入門クラスにカテゴライズされることがある。
◆エンジンの味わいが濃い
エンジンは排気量が大きくなるほどに個性や鼓動感が強く感じられるようになる。乗り方も大きな排気量ほどトルクで車体を動かす、いわゆるスロットルコントロールで走らせるというエンジン×車体のバランス関係に。単気筒エンジンは350ccあたりから“ビッグシングル”の雰囲気がしはじめ、混合気を吸って、圧縮して、爆発して、排気するという一連のサイクルを明瞭に感じやすい。
400ccクラスのバイクのデメリットは?
◆車検がある
250cc以下は車検がなく、点検と整備をきちんとしていれば、走行以外で年間にかかるコストは税金と自賠責保険のみ。排気量が251cc以上になると税金の額が少し上がり、車検の審査費用印紙代1750円がかかる。とはいえ、車検がなくてもきちんとした整備をするというのであれば、じっさいの差額は年間で数千円ほどと、それほど大きくない。
◆重い
エンジンが大きくなればエンジン自体が重くなり、パワーが上がればそれに対応するために車体も頑丈になって重くなる。華奢な体格の方は購入前に押し歩きや跨りが不便なくできるか確認したい。ただし、走行中は重さが安定感につながる部分もあるので、完全にデメリットとも言い切れない。
◆大型バイク乗りにマウンティングされることも
「高速道路でエンジン小さいと疲れるでしょう」とかであれば素で言っているだけの可能性もなくはないが、なかには「そんな小さいバイクで何が楽しいの」とか「俺のビッグバイクは云々」と感じの悪い輩もいるとか。ふーん……(ハナホジ)と気にしなければいいだけである。
2023年、400ccのバイクはどんな状況?
2021年、43年の歴史に幕を下ろしたヤマハSR400に取って代わるかのように登場したホンダ「GB350」が2022年に圧倒的な販売台数を記録するのと同時に、ホンダが1992年から31年間にわたって販売してきたCB400スーパーフォア/スーパーボルドールが2022年10月をもって生産終了。CB400SF/SBは100万円近い価格に見合う、“普通二輪のフラッグシップ”として長く愛されただけでなく、教習車としても多くのライダーを輩出した名車だった。
―― 空冷、単気筒、キックスターター。機械と人間のシンプルな関係性が心地好かったヤマハSR400は、2021年3月に発売されたファイナルエディションをもって生産終了となった。
いっぽう、インドのロイヤルエンフィールドは2021年頃からニューモデル投入が活発になり、メテオ350、クラシック350、ハンター350の兄弟車が人気を呼んでいる。
2023年には、今回のネオクラシックモデルには関係ないがカワサキがニンジャZX-4RRを発表して大きな話題に。さらに往年のビッグネームであるエリミネーターが復活した。同じ頃にハーレーダビッドソンは中国でX350/X500という小排気量車を、のちにインドでX440も発表した。
そして本命とも言えそうなのが、2023年6月28日に発表され話題になったばかりのトライアンフ400シリーズである。
【2023年最新版】251~400ccのネオクラシック バイクおすすめ5選!
◆ホンダ GB350
―― ホンダ GB350
2022年の251cc~400ccクラス ベストセラー車で、ロングストロークの空冷単気筒エンジンと扱いやすく立派に見える車格が人気を呼んでいる。パワーは20psと大したことないが、凝ったバランサーを採用するエンジンは振動が少なく、それでいてスロットルを大きく開ければ鼓動感も明瞭。長距離を淡々と走っても疲れないのも美点だ。スロットル全開でも危険な速度域に入ることはなく、ワインディングロードをキビキビと走れる意外なスポーツ性も秘めている。2023年7月6日に令和2年排出ガス規制に適合した新型が発売予定。兄弟車にはスポーティバージョンのGB350S(60万5000円)もある。
主要諸元■全長2180 全幅790 全高1105 軸距1440 シート高800(各mm) 車重179kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 348cc 20ps/5500rpm 3.0kg-m/3000rpm 変速機5段 燃料タンク容量15L■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/70-18 ●価格:56万1000円 ●色:白、青、黒 ●発売日:2023年7月6日
◆ロイヤルエンフィールド クラシック350
―― ロイヤルエンフィールド クラシック350
同じエンジンをベースにクルーザータイプの「メテオ350」、前後17インチのカジュアルな「ハンター350」もラインナップされる、世界的ヒットのネオクラシックモデルがクラシック350だ。トルクフルで旧車っぽいエンジンの味わいはGB350をしのぎ、設計は最新ながらリアルクラシックを彷彿とさせるディテールも見事。英国バーミンガムに設立されたR&Dで開発され、フレームはハリスパフォーマンス製だ。イギリスからインドに渡って生き延びたブランドが再び興隆の時を迎え、旧き佳きモーターサイクルらしさと最新技術を組み合わせるという、ネオクラシックのお手本のような存在になっている。
主要諸元■全長2145 全幅785 全高1090 軸距未発表 シート高805(各mm) 車重195kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 348cc 20.2ps/6100rpm 2.75kg-m/4000rpm 変速機5段 燃料タンク容量13L■タイヤサイズF=100/90-19 R=120/80-18 ●価格:69万4100円~72万8200円 ●色:赤、茶、灰、黒、緑、砂
◆ベネリ インペリアーレ400
―― ベネリ インペリアーレ400
1911年にイタリアで創業し、現在は中国のQJグループの傘下にあるベネリ。ストリートファイター的なネイキッドモデルを得意とする現在のベネリは、中国で発表されたハーレーダビッドソンX350/X500のベースモデルを作っていることでも知られる。そんなベネリが374ccの空冷単気筒エンジンを鋼管ダブルクレードルフレームに搭載し、1950年代の雰囲気を演出したネオクラシックモデルがインペリアーレ400だ。車体各部のディテールはかなり旧車寄りで、エンジンは歯切れよく鼓動感も十分。低回転域の粘り強さや穏やかな振動特性、意外にも滑らかな走行感覚、ABSの装備など、中身は現代のバイクながら旧車感覚を強く味わえる1台だ。
主要諸元■全長2170 全高1120 軸距1440 シート高780(各mm) 車重205kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 374cc 21ps/5500rpm 2.9kg-m/4500rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量12L■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/80-18 ●価格:66万8800円 ●色:黒 銀
◆カワサキ エリミネーター/SE
―― カワサキ エリミネーターSE
ネオクラシックモデルかというと少し微妙なところだが、往年の車名を復活させたことと、丸目1灯のヘッドライトを採用するネイキッドスタイルから今回は取り上げてみた。エンジンはニンジャ400/Z400と共通のスポーティな並列2気筒で、今回紹介する5車の中では断トツでパワフル。それを穏やかかつ軽快な車体に搭載したシート高の低いネイキッド、というのがエリミネーターの持ち味だ。クルーザースタイルから想像するアメリカンっぽい走り心地というよりも、往年の1300ccクラスのビッグネイキッドを相似形でダウンサイジングしたかのよう。上級仕様のSEにはヘッドライトカウルやフォークブーツ、USBソケット、専用シートのほか、量産モーターサイクルとして世界初のGPS対応型ドライブレコーダー(前後カメラ付き)を搭載していて、ユーザーからも大好評とのこと。
主要諸元■全長2250 全幅785 全高1140 軸距1520 シート高735(各mm) 車重178kg(装備)■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 398cc 48ps/10000rpm 3.8kg-m/8000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12L■タイヤサイズF=130/70-18 R=150/80-16 ●価格:75万9000円~85万8000円 ●色:黒、白/SE=黒 ※諸元はSE
◆トライアンフ スピード400
―― トライアンフ スピード400
2023年6月28日に発表されたばかりのロードスターがスピード400だ。普通二輪免許で乗れる中型セグメントに、兄弟車の「スクランブラー400X」とともに投入される。トライアンフの中核を担うモダンクラシックラインを踏襲しながら、エンジンブラットフォームから新設計。冷却フィンを刻みながら水冷とした単気筒エンジンは、なんとフィンガーフォロワーロッカーアームやDLCコートというリッタースポーツ並みの技術を盛り込み、40psとかなりパワフルだ。足まわりもφ43mm倒立フロントフォークにリヤ1本ショック、前後ラジアルタイヤと贅沢な装備を誇る。ボッシュ製のECUとライドバイワイヤースロットルを採用し、オン/オフ可能なトラクションコントロールシステムやデュアルチャンネルABSも標準装備。これだけの内容なのに“競争力のある価格で投入する”というのだから楽しみしかない。
主要諸元■全長2055 全幅795 全高1075 軸距1375 シート高790(各mm) 車重171kg(装備)■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 398cc 40ps/8000rpm 3.87kg-m/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量13L■タイヤサイズF=110/70R17 R=150/60R17 ●価格:未発表 ●色:赤、青、黒 ●発売時期:2023年末
まとめ
―― ロイヤルエンフィールド INT650
現在のヨンヒャククラスは、大型二輪免許保持者であってもあえて比較検討の対象にしたくなるほど魅力的。たとえばロイヤルエンフィールドのINT650(47.5ps/94万7100円~)やモトグッツィV7(65ps/134万2000円)あたりと比べると、より軽くて扱いやすく、特にトライアンフやカワサキはトルクの余裕こそさほどではなくても回せば十分な加速も得られるはず。また、250cc軽二輪クラスに比べれば、ちょっと高速道路を使って遠出したいときなどに交通の流れをリードする余裕もある。免許制度にとらわれなければ、ミドルクラスのバイクとしてかなりの魅力を備えているのが400ccクラスといえる。もちろん大型バイクに対しコスパで優れる点も見逃せない。
よくある質問
◆400ccバイクはどの免許で乗れるの?
400ccのバイクを運転するには、400ccまでのバイクを運転できる「普通二輪免許」か、排気量制限なくバイクを運転できる「大型二輪免許」が必要。
◆AT限定免許でも乗れるの?
今回紹介した5車はすべてマニュアルトランスミッションを採用しているので、AT限定免許では運転できない。126cc~400ccでAT限定免許で運転できるのはスクータータイプがほとんど。125ccクラスであればスーパーカブなど自動遠心クラッチを採用している車種もAT限定でOKだ。
◆400ccバイクで高速道路に乗るとどんな感じ?
125ccを超えるバイクなら法規上は高速道路や自動車専用道路を運転できるが、タンデムや荷物満載での走行も想定すると、150ccや200ccよりも250cc、400ccを選んだほうが楽に走れる。特に400ccは100km/h巡行を余裕でこなし、タンデムしながらの合流や追い越しもスムーズにできる。
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