一気に電動化が進んだプジョーのSUVモデルたち。どれもそれぞれに魅力的なので、パワートレーンを選ぶのが悩ましい。今回はその中でも、プジョー初のPHEVとしてデビューした3008GTハイブリッド4に試乗した。(Motor Magazine2021年9月号より)
プジョーの好調な販売をけん引するSUVモデル達
2021年1月~6月の累計新車販売台数を見ると対前年同期比171.0%と好調なプジョー。その好調要因のひとつとして挙げられるのが2008/3008/5008といったSUVモデルの商品力の充実だろう。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
その中でも注目は、プジョーブランドの中で唯一の四輪駆動車であり、初のプラグインハイブリッド(PHEV)となる3008GTハイブリッド4である。
そもそもプジョーは、ユーザーが純粋にパワートレーンの好みでクルマを選べる「パワー オブ チョイス」コンセプトを謳っており、2008や5008にも、いくつかのパワートレーンをラインナップしている。そして3008にも、ガソリン/ハイブリッドに加え、2021年のマイナーチェンジを機にPHEVが用意されたのだ。
さてこのPHEVだが、電気モーターをそれぞれフロントとリアに搭載、フロントはエンジン、リアは電気モーターで駆動する4WDシステムを採用している。
エンジンは1.6L直4ターボで最高出力200ps/最大トルク300Nm、フロントの電気モーターは、110ps/320Nm、リアモーターは112ps/166Nmを発生し、13.2kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、トータル出力300ps/520Nmというパフォーマンスを持つ。これはプジョーの歴代市販モデル最強スペックである。
ドライブモードは、リアモーターが後輪を駆動する「4WD」、エンジン主体の「SPORT」、システム始動時のデフォルトとなる「HYBRID」、電気モーターのみの「ELECTRIC」が用意される。ちなみに「ELECTRIC」では、最高速度は135km/hに制限され、EV走行換算距離はWLTCモードで64kmとなる。普通充電のみに対応し、スマートフォンから充電操作もできる。
3008GTハイブリッド4は実に刺激的な走行フィールだ
デフォルトの「HYBRID」で走り出すと右足をアクセルペダルに軽く乗せただけでPHEVらしくスルスルとスムーズに動き出す。少し踏み増しただけでは、滅多にエンジンはかからない。後輪を駆動する電気モーターによる力強い加速力を味わえるだけだ。
「SPORT」でワインディングロードも走ったが、これが実に楽しい。最高出力300psは伊達じゃない。出力&トルクに不足を感じることはまったくなかった。さらにオフロードコースを「4WD」モードにして走ったが、あらゆる場面で安心できる安定した走りを見せてくれた。
3008のパワートレーン選択肢は多いが、このハイブリッド4が一番気に入った。刺激的な走行フィールは、自らハンドルを握って確認することをお勧めする。積極的に選びたくなるクルマに仕上がっている。
プジョーのSUVには、この他にも2008と5008があり、2008には1.2Lガソリン/BEV、3列シートを採用する5008には1.6Lガソリン/2Lディーゼルを用意する。セグメントこそ違いはあるが、どちらもプジョーらしい粘りのあるフットワークと軽快な走りが魅力的である。ライフスタイルに合わせて選んでも後悔はないだろう。
プジョーは、FCAと合併し大きなアライアンスの「ステランティス」の一員となった。今後は、そのスケールメリットを活かした研究、開発、生産、販売が行われるわけだが、その中心となるのが電動化だろう。すでにプジョーは、PHEVもBEVも市販車しているが、今後はその動きが加速する。
ブジョーブランドが出した電動化のステートメントは「Turing Sastainable Mobility into Quality」。文字どおり、これからプジョーからリリースされる上質な電動化モデルが楽しみである。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:小平 寛、井上雅行)
プジョー 3008GT ハイブリッド4 主要諸元
●全長×全幅×全高:4450×1840×1630mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1850kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1598cc
●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm/3000rpm
●モーター最高出力:前81kW/2500rpm、後83kW/14000rpm
●モーター最大トルク:前320Nm/500-2500rpm、後166Nm/0-4760rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・43L
●WLTCモード燃費:15.3km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):595万円
プジョー電動化モデルのバリエーションがますます増える予感あり
パワー控えめ、航続距離多めなFF仕様の3008ハイブリッド225e
日本に導入されている3008ハイブリッドは「4」とつくとおり前後2モーターの4WDのみだが、欧州ではさらに手ごろな価格の1モーターFF版も存在する。システム出力は225psとやや控えめだが、それでも最高速度は225km/hに達する。EVモードの航続距離はWLTPで56kmとなっている。
[ アルバム : プジョー3008、5008、2008 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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