911とのつながりを感じるボディデザイン
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)ポルシェ・カイエン・クーペは、通常のカイエンがSUV過ぎるアピアランスで、実用的過ぎる、と感じている人に向けたクルマだ。名前も単刀直入で、カイエンのクーペということは明確。
否定的な人もいるとは思うが、スタイリッシュに振ったカイエンのニーズは間違いなくある。BMWはX5をベースにしたX6をリリースし、メルセデス・ベンツはGLEとGLEクーペをラインナップ。アウディにはQ7とQ8があるし、レンジローバーにもスポーツがある。ライバルを見れば、そのマーケットのが小さくないことも明らか。
カイエン・クーペが実用性をどの程度犠牲にしたかは別として、ポルシェには優れたデザインと技術に支えられた、スポーツカーという血筋がある。アピアランスの変化に伴う、クーペとしての実質的な中身を獲得しているのだろうか。簡単なタスクではない。
好みの分かれるところだが、まずはエクステリアデザインから見ていこう。上下に低くなったシルエットや、ボディ後半で傾斜したルーフラインが最もわかりやすい変化。傾斜の強められたフロントガラスや、若干筋肉質になったフェンダーのラインは、ポルシェ911とのつながりを感じさせなくもない。一回り大きくなったマカン風でもある。
リア周りは、テールゲートに内蔵された104km/h前後で立ち上がるリアスポイラーが付いていたとしても、好みは分かれるだろう。それでもBMWやメルセデス・ベンツよりは良いと思う。
大型SUVでは最も運転を楽しめる1台
インテリアは、標準のカイエンと変わらない上質で完璧なデザインと仕立てが施されている。定員は4名が標準で、アームレストと小物入れ、カップホルダーが一体になったコンソールでリアシートは左右が分断されている。3名がけのベンチシートは無料オプション。
シートの着座位置を30mm低くすることで20mm低くなったルーフラインに対応し、後部座席にも大人が座れる。ラゲッジスペースは16%狭くなっており、まだ充分な大きさはあるとはいえ、愛犬にとっては望ましい変化ではないだろう。
「PASM」と呼ばれるアダプティブダンパーは標準装備となったほか、今回の試乗車には1600ポンド(21万円)の3チャンバー式エアサスペンションも装備されていた。カイエン・クーペは通常のカイエンと変わらない、高速域での滑らかな乗り心地と落ち着きを備えている。大型SUVの中では、最も運転の楽しめるクルマのひとつだ。
ステアリングの操作感もナーバスすぎず、重み付けも自然。見かけ以上にカイエンを機敏に操れる。ボディの姿勢制御も引き締まっており、進路変更も軽快。多くの大型SUVよりも、コーナーへの進入時に減速を迫られることがない。
ポルシェの技術力を持ってしても物理の法則に逆らうことは難しいが、走行性能はとても優れている。標準のカイエンよりも車重は45kg増えているが、知覚することも殆どない。だが、カイエンよりも優れているとは断言しにくい。
ポルシェらしくない部分もちらほら
まずは乗り心地。試乗車には2500ポンド(33万円)模するオプションの22インチホイールを履いていたことが理由と思われる。高速域ではエアサスペンションの助けもあって、ラグジュアリーSUVらしい静かで落ち着いた走りを味わわせてくれる。
一方で市街地や低速を強いられるタイトなコーナーでは、想像以上に頭が揺さぶられる振動が伝わってくる。ロードノイズも、路面状態によってはうるさい。恐らくホイールをインチダウンすれば、これらは解決できるだろう。もうひとつは、クーペの本質的な不満を良くするにはSモデルへアップグレードが必要だから。
6万2129ポンド(826万円)のエントリーグレードには、6000ポンド(79万円)安い標準のカイエンと同じ3.0LのV6ターボが搭載されている。最高出力は334psもあり、かなり力強い。カタログスペックでは0-100km/h加速は6.0秒と、大きく重いSUVとしては良好といえる数字だ。
だがポルシェというエンブレムを掲げたクルマとして、背中を押されるような心地よい加速感と、個性的なサウンドを期待するはず。それがクーペには備わっていないのだ。
大きなボディのガソリンエンジン車だから、燃費は様々な走行条件を平均しても8.8km/L程度に留まる。結果としてディーゼルエンジンの魅力が増して見えるはず。エンジンノイズも目立たず、同程度に速くより安楽で、燃費も3.5km/L程は良好だ。
レス・イズ・モアは通じないカイエン・クーペ
予算6万ポンド(798万円)程度で大型SUVのクーペボディを探すと、エントリーグレードのカイエンクーペより良いモデルは見つからないはず。カイエンらしさはそのままに、スタイリッシュさも増しているし、長距離クルーザーとしての完成度も高い。
もしこのクルマがBMWやメルセデス・ベンツなら、きっと満足できるものになるだろう。だが、ポルシェというブランドのクルマである以上、相応のパワートレインの味わいを期待するのではないだろうか。この3.0L V6ターボが、ブランドを正当化するものとは思えないのだ。
リアトレッドが18mm広げられているものの、標準のクーペが特にスポーティに仕立てたわけではない。貯金をして、間もなく登場するカイエン・クーペSか、とてつもなく速いカイエン・クーペ・ターボを選びたくなってしまう。エントリーグレードのカイエン・クーペと比較しても、実際の環境での燃費でも大きな差はないだろう。
ポルシェでも、カイエン・クーペには、レス・イズ・モア(少ないことは良いこと)が適用されないのだった。
ポルシェ・カイエン・クーペのスペック
価格:6万2129ポンド(826万円)
全長:4931mm
全幅:1983mm
全高:1676mm
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:10.7km/L
CO2排出量:212g/km
乾燥重量:2105kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:334ps/6300rpm
最大トルク:45.8kg-m/1340rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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