■若者の「サンルーフ」離れが止まらない!?
ひと昔前のクルマにはかなりの確率でオプション設定されていた「サンルーフ」。天候がいい日には明るい車内が楽しめ、全開にすればオープンカーのような解放感が楽しめるアイテムとして人気を誇っていた時代もありました。
しかし現在ではサンルーフをオプション設定するのは一部の高額車両に限られ、装着率もそこまで高くないというのが現状。このようにサンルーフを装着する車両が減ってしまったのはどんな理由があるのでしょうか?
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そもそもサンルーフはあると嬉しいけれど、なくてもさほど困らないという装備の筆頭であり、車両自体の価格帯が上がっている現在では、支払総額を抑えるために真っ先に省かれてしまうものという側面があります。
サンルーフ自体のオプション価格は、車両のクラスに関わらず10万円から20万円ほど(ツインサンルーフなど特殊なものは除く)となっています。
1000万円に迫る高額車であれば支払総額の数パーセントで収まるところ、200万円前後の車両となると、実に1割近くにもなります。
クルマが憧れの存在だった世代はともかく、平均所得が上昇しないなかで、年々高騰し続けていく車両価格を考えれば、物事を合理的に考えコスパを重視する今どきの若者世代にとっては「やむを得ないところ」となるのでしょう。
そのため、近年サンルーフの設定があるのは、もともと車両価格の高めな上級車種か、グレードの中でも上級グレードにのみ設定されることが多くなっているのです。
そして自動車メーカーとしても、サンルーフをオプション設定することで「サンルーフあり」と「サンルーフなし」という2種類のボディパネルを用意しなければなりません。結果として、製造コストが増加してしまうという難点もあります。
ユーザーからそこまで選択されないのであれば、設定ごとなくしてしまおうということになるワケです。
一方でサンルーフは、解放感を得るだけではなく、車内の換気にも一役買ってくれる機能性を持ち合わせた装備となっています。
喫煙ユーザーにとっては、サンルーフをチルトすることで走行中に効率よく車内のタバコの煙を排出することができるアイテムとしても重宝されていました。
しかしこちらも近年では喫煙者率が大幅に低下しているのも、サンルーフ人気に陰りが出た一因と言えるかもしれません。
ちなみにサンルーフを設定するために発生するコストというのは、往々にしてサンルーフ装着車だけに上乗せされるのではなく、その車種全体にじんわり上乗せされることがほとんどであるため、サンルーフを選ばないユーザーにとっても無関係ではありません。
そのため最近ではホンダ アコードのように最初からサンルーフを標準装備とするものや、厳密にはサンルーフではありませんが、ダイハツ タフトのようにガラスルーフをエントリーグレードにも標準装備とすることで、そもそも作り分けをしないという手法が採られることもあるのです。
なお北米や欧州市場はサンルーフ人気の高い地域とされており、日本車でも国内仕様には設定のないサンルーフ付が用意されていることも珍しくありません。
ただしこれらの車種は現地にある工場で生産されているモデルも少なくなく、需要と供給のバランスを考えて生産されているケースが多くなっています。
※ ※ ※
このように日本では選択されることが少なくなってしまっているサンルーフではありますが、中古車市場に目を移してみると、状況は少し変わってきます。
中古車市場では相変わらずサンルーフ付の車両は人気が高く、同程度の状態の同型車であればサンルーフ付の方が高値となっています。潜在的な需要はまだまだ存在していることが分かります。
そのため、もし新車を購入するときに「サンルーフが欲しいけど、どうしようかな……」と迷っている場合は、迷わず選択することをオススメします。
購入後の満足度がより高くなるばかりか、手放すときの売却額もサンルーフ付の方が有利になることでしょう。
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