「モータースポーツ用の車両を生産する」という逆転の発想
「モータースポーツで使った際に有利となる要素を市販状態から盛り込む」というコンセプトで開発されたGRヤリスが登場して半年が経った。とくに1.6L直3ターボ+4WDのRZ、RZハイパフォーマンス(1stエディション含む)、RCはモータースポーツにおいてそのポテンシャルの高さが証明されはじめている。その具体的な理由を挙げていこう。
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コンパクトなボディに強心臓の組み合わせ
GRヤリスの全長はWRCのレギュレーションもあり4000mm以下、車重もアルミパーツの多用やカーボンルーフを使ったおかげもあり1.6Lターボ4WDで1200kg台後半と非常にコンパクトかつ軽量だ。この点はツイスティなワインディングロードを走っても、クルマがじつに軽快にキビキビと動いてくれることで実感できる。また、このコンパクトボディに1.6Lターボ4WDを組み合わせたパッケージも注目だ。排気量こそ1.6Lと小さいが、ターボエンジンらしい爆発的なパワーに加え、3000rpmあたりからフルブーストが掛かるなどパワーバンドが広いことはスポーツ走行中でも意外に高いギヤで走れるなど、扱いやすさや実質的な速さにつながっている。
ライトチューンで速くなるポテンシャルの高さ
GRヤリスはライトチューンで「大化け」するポテンシャルも秘めている。サイズアップしたハイグリップタイヤへの交換、車高調サスペンションや機械式LSDの装着、ノーマルタービンでのブーストアップといったライトチューンレベルでプロドライバーによる筑波サーキットのラップタイムは1分00秒台と、非常に大きな伸びしろを持つのだ。 このあたりが3月に行われた全日本ジムカーナでは2本目が雨となったため本当に一発勝負となったという面もあるにせよ、ランサーエボリューションやWRX STIと戦うクラスとなるGRヤリスの上位独占につながっていると言えそうだ。
モータースポーツユースを見据えた電子制御デバイス
GRヤリスの1.6Lターボ4WDには3つのモードを持つ4WDシステム、シフトダウンの際のブリッピングを行ってくれるiMT、エキスパートモード付VSCといった電子制御デバイスが付く。とくにヒール&トーが不要になるためブレーキ操作に集中できるようになるiMTと最低限のブレーキ制御だけを行っていると思われるVSCのエキスパートモードは速さにもつながっている。筆者もVSCのエキスパートモードの「楽なのに速い」という賢さは氷上走行で確認している。
モータースポーツベース「RC」の安さ
競技ベースのRCは安全装備やオーディオが付けられない(後者は何とかなりそう)という制約がある代わりに標準状態で330万円、エアコンなどのメーカーオプションをフルに付けても350万円台と、競技車両やチューニングベースとしてGRヤリスに乗る人には非常にリーズナブルだ。
大きすぎない純正タイヤ&積載性
GRヤリスのタイヤサイズは225/40R18と現代の4WD+ターボと考えればそれほど大きくないので、タイヤ代も安くはないけど許容できる範囲だろう。またRCの標準状態ならホイールを慎重に選ぶ必要はあるにせよ、15インチとなるラリータイヤなどの装着が可能な点もその種のタイヤを履く人には非常にありがたい。サーキットなどスポーツ走行に行く際には予備のタイヤを持って行きたいなど、荷物は多くなりがちだ。その点についてもGRヤリスはリヤシートを倒してできた部分に純正サイズのタイヤ4本が入るので、ラゲッジスペースには工具などの備品が積め、積載性も問題ない。
以上の要素によりGRヤリスは今後目立つトラブルが起きる可能性もあるにせよ、コンセプト通りモータースポーツやスポーツ走行といった使用にもピッタリのクルマに仕上がっているので、興味ある人はぜひ体験してみてほしい。
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みんなのコメント
GT-Rなんてメジャーな例だし、WRC向けだったらファミリアにも特化したモデルがあったし。
残念ながら、バブルがはじけてワークスでは実践未投入で終わってしまったが。