日産のコンパクトハッチバックであるノートの上級モデルという位置づけで登場したノートオーラ。ノートの派生モデルということで、パッと見には同じように見えるが、価格はノートオーラのほうが約40万円も高い。
ディメンションやパワーなどのスペックも違っているというが、クルマには詳しくない多くの一般的な人たちには、ノートもノートオーラもグレード違いの同じクルマに見えるような……?
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では、ノートとノートオーラは具体的にどこが違っていて、乗った印象もどれだけ違うのか? そして、価格差ほどの価値ありなのか? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が両車の違いについて解説する。
文/渡辺陽一郎 写真/ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】上質をまとったコンパクト「ノートオーラ」とダイナミックコンパクトな「ノート」を写真で比較してみる
■オーラは3ナンバーサイズで、パワーは20馬力アップ!
新型コンパクトカーのノートオーラは、ノートの上級シリーズに位置付けられる。ノートに比べると、ノートオーラはさまざまなデザインや機能の質を高めた。
パット見は同じようにみえる『ノート』と『ノートオーラ』。装備を省略して価格を抑えたノート(写真左)、装備を充実させ走りをワンランク上げたノートオーラ(写真右)
外観ではフロントマスクを緻密に仕上げ、VモーショングリルにはLEDポジションランプやシーケンシャルターンランプの機能を持たせている。リアコンビネーションランプも、ノートオーラでは流行に沿った一文字の形状とした。
ボディサイドにも手が入り、前後のフェンダーはボリューム感を強めた。リア側のドアパネルも、ノートとは形状が異なる。これらの変更により、ノートオーラの全幅は、ノートに比べて40mmワイドな1735mmとなった。つまり3ナンバー車だ。外装は異なるものの、車内の広さはノートと等しい。
内装ではインパネなどの質感を高めた。基本的な形状はノートと同じだが、インパネ上面にはツイード調の織物が巻かれ、木目調パネルも採用されている。
ノートオーラ「Gレザーエディション」の内装インパネ周り(写真の内装色はブラック)。インパネは12.3インチの大型液晶ディスプレイを装備
パワーユニットは、ノートと同じハイブリッドのe-POWERのみを搭載する。直列3気筒1.2Lエンジンが発電機を作動させ、その電気を使ってモーターを駆動して走る仕組みだ。
ノートオーラは、ノートと同じエンジンやモーターを使いながら、制御を変更してモーターをパワーアップさせた。ノートが搭載するモーターの最高出力は116馬力、最大トルクは28.6kgmだが、ノートオーラは136馬力/30.6kgmになる。比率に換算すると、ノートオーラの最高出力はノートの117%、最大トルクは107%だ。
ノートとノートオーラの主なスペックの比較
そのためにノートオーラは、登り道に差し掛かってアクセルペダルを少し踏み増した時、ノートよりも余裕のある駆動力を発揮する。峠道でアクセルペダルを深く踏み、高回転域まで回した時も、ノートオーラは高い駆動力を保つ。従来のエンジン車に当てはめると、吹き上がりが機敏になった印象だ。
ノートオーラは上級指向のコンパクトカーだから、遮音性能も向上させた。発電用の直列3気筒1.2Lエンジンのノイズを大幅に抑えた。ノートに比べると、動力性能と静粛性の両方が向上したから、内外装と同じく走りも上質に感じられる。
■ノートよりワンランクアップした操安性と装備
走行安定性も高まった。ノートに比べて全幅を40mm広げたので、トレッド(左右のホイールの間隔)も20mmワイドになり、4輪が路面に踏ん張る。タイヤサイズも、ノートは15インチ(185/65R15)だが、ノートオーラは17インチ(205/50R17)だ。路面をつかむ性能が全般的に向上した。
ノートオーラは3ナンバー化することで操安性のアップとボリュームアップしたエレガントなボディを手に入れた
カーブを曲がる時も、ノートオーラはノートに比べて車両がステアリング操作に忠実に反応するから、内側へ向けやすい。曲がりくねった峠道を走る時も、ノートオーラであれば旋回軌跡を拡大させにくい。
さらに危険を避けるために、カーブを曲がっている最中にアクセルペダルを戻したり、中途半端にブレーキペダルを踏んだ時も、ノートに比べて後輪の接地性が高く保たれる。運転の難しい状態に陥りにくく、安定性を幅広く向上させた。
その代わり乗り心地は、ノートと同等か、それ以上に硬い。ノートオーラはスポーツモデルではなく、質感を大切にするプレミアム感覚のコンパクトカーだから、操舵感や峠道での曲がりやすさはもう少し穏やかに抑えていいだろう。
そこで生じた余裕を乗り心地の向上に費やしたい。ノートオーラには、もっと柔軟に伸縮する足まわりが相応しい。
ノートオーラは装備も充実させた。
ハイビーム時に対向車などの眩惑を抑えるアダプティブ機能を備えたLEDヘッドランプ、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを知らせる後側方車両検知警報、車両の周囲を上空から見たような映像で表示するインテリジェントアラウンドビューモニター、液晶表示のインテリジェントルームミラー、アルミホイールなどを標準装着する。
これらの装備は、ノートの場合、最上級のXでもすべてメーカーオプションになる。
■ノートとの価格差は実質16万円!!
そこでノートオーラの損得勘定を考えてみたい。ノートオーラG(261万300円)の価格は、ノートX(218万6800円)に比べて42万3500円高いが、先に挙げたノートオーラに標準装着される装備の価格換算額が約26万円に相当する。
つまり価格差の約42万円から、装備差の26万円を差し引いた16万円が、ノートオーラで上級化された外観や内装、モーターの動力性能、走行安定性、静粛性などの対価になる。
ノートオーラは乗り心地に改善の余地を残すものの、プレミアムコンパクトカーと呼べるだけの上質感を備えるから、その価格が正味で16万円に収まれば割安だ。
そしてノートオーラのなかでも、特に買い得なのが、Gに用意されたレザーエディションだ。シート生地が本革になり、後席センターアームレストも加えて、Gと比べた時の価格上昇を8万9100円に抑えた。
ノートオーラ「Gレザーエディション」の内装フロントシート周り(写真の内装色はブラック)。写真のBOSEサウンドシステムはプロパロット2.0などのセットオプションに含まれる
ノートにも本革シートが用意されるが、セットオプションに含まれ、複数の装備と併せて装着される。そこで本革シートと後席センターアームレストの価格を割り出すと、ノートの場合は約14万円だ。ノートオーラのレザーエディションは8万9100円の価格アップだから、ノートに比べて約5万円安く装着できる。
以上のようにノートオーラでは、内外装や運転感覚などの質感が正味16万円で向上して、本革シートも割安に装着できる。装備の充実した上質なコンパクトカーが欲しいユーザーにとって、ノートオーラはノート以上に買い得だ。
この背景にはノートオーラの売れゆきを伸ばしたい意図がある。先代ノートではe-POWERの人気が高く、開発や生産のコストも低減させたいことから、現行ノートはノーマルエンジン車を廃止してe-POWERのみにした。
ただし先代型では、ノーマルエンジン車がノート全体の25~30%は占めており、これを単純に廃止すれば売れゆきの低下を招く。そこで新たにノートオーラを加えた事情もある。
ノートオーラの追加でもコストアップを招くが、ノーマルエンジンやCVT(無段変速AT)を別途開発する必要はない。そして低価格のノーマルエンジン車ではなく、価格の高いノートオーラを加えるなら、効率も優れている。このような背景もあり、ノートオーラは売れゆきを伸ばすべく、価格を割安な設定にした。
■オーラの受注はすでに始まり最短納車は10月から
ノートオーラの販売目標は、1年間に5万1000台/1カ月なら4250台だ。ノートの販売目標は1カ月に8000台だから、ノートシリーズ全体では、1カ月間に1万2250台の販売を狙っている。
これは強気な目標で、ノートシリーズ全体の35%をノートオーラが占める。今の日産の国内新車販売順位は、トヨタ/スズキ/ダイハツ/ホンダに次ぐ5位だが、ノートオーラの好調を切っ掛けに回復基調に乗せたいところだ。
また今は国内で新車として売られる日産車の40%以上を軽自動車が占めるが、今後はノートオーラを始めとする小型/普通車の登録台数を増やして、軽自動車に偏った販売バランスを整えたい考えもある。
ノートオーラは2021年6月15日に発表され、日産では「発売は2021年の秋頃」としていたが、日産の販売店では以下のように述べている。
「ノートオーラの受注は、6月下旬から行っている。現時点で注文をいただいて、納車されるのは10月から11月だ。それでも店舗によっては、試乗車がすでに配車されている。ノートオーラを購入するお客様は、ティーダやキューブなどのコンパクトカー、シルフィやティアナといったセダンから乗り替えることが多い」。
ノートオーラは日産の発表とは異なり、すでに積極的に販売されている。試乗車も用意されているので、ノートとノートオーラを乗り比べて判断されるといいだろう。
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