年配のクルマ好きにとって憧れのクルマの1台が日産フェアレディZだ。初代のS30から熱狂的なファンが多く存在するある意味『日本人の心のクルマ』といえる。
スポーツカー受難が続く日本マーケットで販売面は苦戦しているが、相変わらずの存在感があって見る者、乗る者を魅了している。
そのフェアレディZの先代(Z33)、現行(Z34)とも中古車価格がこなれてきて、現行のZ34でさえ100万円を切る中古車が出現しているという。
中古車のスペシャリストの萩原文博氏にフェアレディZの中古相場、タマ数、おススメモデルなどを考察してもらう。
文:萩原文博/写真:NISSAN、ベストカー編集部
世界に誇る日本のFRスポーツカー
【画像ギャラリー】カッコよすぎる歴代フェアレディZ
初代モデルが1969年に登場し、2000年末から2002年7月の間途絶えていた時期はあるが、今年で50周年記念を迎えたのが日産フェアレディZ。2019年5月には50周年記念の特別仕様車が期間限定で発売されるなど盛り上がりを見せている。
初代フェアレディZ(S30)は1969年にデビュー。北米で大ヒットモデルとなり、一躍世界にその名を轟かせた日本の名車
平均の月販台数が約51台と販売台数は振るわないが、初代から続くロングノーズ・ショートデッキのクラシカルなスタイリングそしてFRの駆動方式によって根強い人気を誇るスポーツカーである。
その人気は日本国内だけでなく、北米では“Zカー”と呼ばれて日本を上回る人気を誇っているのである。そこで、ここでは日産の誇るFRスポーツカー、フェアレディZの中古車事情を紹介する。
フェアレディZ50周年記念車は2019年7月から販売を開始し、2000年3月までの期間限定販売。勝連のレーシングマシンのカラーリングを彷彿とさせるネオクラシック
販売期間が長いのでタマ数も豊富
現在、フェアレディZの中古車の流通台数を調べてみると、約850台流通していて、そのうち約395台が2002年~2008年まで販売されていたZ33と呼ばれる先代モデル。そして約240台で2008年に登場したZ34と呼ばれる現行型が続いている。
1989年(平成元年)に登場したZ32型のフェアレディZも約80台。そして昭和に登場したZ31型も約38台流通しているのには驚きだ。
今回はフェアレディZの中古車の中心となっている先代のZ33型と現行型のZ34型のクーペモデルに絞って話を進めていきたい。
Z33はスポーツ度を高めて登場
Z33
販売期間:2002~2008年
全長4310×全幅1815×全高1315mm、ホイールベース2650mm、車重1430kg
VQ35DE(280ps/37.0kgm)、乗車定員2名、デビュー時価格300万円(標準:6MT)
※2007年以降は、全長4315mm、車重1480kg、VQ35HR(313ps/36.5kgm)、デビュー時価格337万500円(標準:6MT)これ以外は同一スペック
約2年の空白を経てZ33型と呼ばれる先代のフェアレディZは2002年7月に登場した。先代モデルではZ32まで設定されていた2by2と呼ばれるリアシートをもつモデルは廃止され、2シーターモデルのみとなった。
Z32が2000年に販売終了し、その約2年後の2002年に復活したのがZ33。ボリューム感は違うがエクステリア、コンセプトはS30をオマージュ
Z32はラグジュアリーカー的な要素があったが、Z33はピュアスポーツカーへと舵を切ったのだ。2シーターのみとなったことで、ボディサイズはダウンサイジングされ、運動性能に磨きを掛けた。
搭載するエンジンはVQ35型の3.5L、 V型6気筒自然吸気エンジンだが、2007年1月のマイナーチェンジで搭載するエンジンは従来のVQ35DEから高回転型のVQ35HRへと変更。
最高出力は313ps、最大トルクは36.5kgmへとパワーアップし走行性能が向上した。組み合わされるトランスミッションは6速MTと5速ATで駆動方式はFRのみとなっている。
Z33はデビュー時は3.5L、V6のVQ35DE(280ps/37.0kgm)だったが、2007年のマイチェンでVQ35HR(313ps/36.5kgm)にエンジンを変更
手頃な価格でカスタマイズベースとして最適なZ33
先代フェアレディZの中古車事情を調べてみると、現在の流通台数は約395台で直近3カ月のなかでは大きな動きはない。中古車の平均走行距離も約8.3万~約8.4万kmとほぼ横這いとなっている。
しかし、平均価格は3カ月前の約69万円から今月は約71万円とやや値上がり傾向となっている。これはお手頃価格になった中古車を購入するユーザーが増えているという予測ができる。
Z33の中古車のメイン価格帯は100万円をきっているので非常に買い得感が高い。エクステリアはZ34より好きという人も多い
そして中古車の価格帯を見ると約18万~約490万円と非常に幅広いのが特徴だ。さらに詳しく見てみると100万円以下の物件が約75%を占めており、100万円以下で手が届くFRスポーツカーの中では最もポピュラーな車種となっているのだ。
そこで、100万円以下の中古車に絞ってグレード分布を見てみると、最も多いのがバージョンTの約112台。次いで多いのがベーシックモデルの約107台。
高級スポーツカーらしいムード満点のインテリア。アメリカがメインマーケットゆえシートも座面が大きくゆったりと座れるので快適
そして最上級グレードのバージョンSTが続く。ただし、バージョンTやベーシックモデルは圧倒的にAT車の比率が高く、MT車の比率が高いのはバージョンSTそしてMT車のみのバージョンSとなる。
グレード別の価格を見てみるとAT車が中心のバージョンTは約18万~約99.8万円。最上級グレードのバージョンSTのAT車は約26万~約98万円。MT車は約39万~約100万円そしてMT車のみのバージョンSは約44.8万~約99万円とMT車のほうが安いクルマが少ないことがわかる。
Z33の中古車はカスタマイズのベース車として安く手に入れて、自分の思い通りに仕立てていく楽しさを味わえるモデルだ。
好き嫌いがわかれにくいZ33のエクステリアデザインでリアビューが一番美しい、と専らの評判。初年度登録は17年目となるが古臭さはない
Z34は現行モデルというのが最大の魅力
Z34
販売期間:2008年~
全長4250×全幅1845×全高1315mm、ホイールベース2550mm、車重1480kg
VQ37VHR(336ps/37.2kgm)、乗車定員2名、デビュー時価格362万2500円(標準:6MT)
Z33をさらにスポーティに仕上げたのがZ34で、2008年デビューだからすでに11年になろうとしている。ホイールベースはZ33に比べて100mm短縮
続いては2008年に登場しすでに10年が経過したロングセラーモデル、Z34型と呼ばれる現行型フェアレディZの中古車事情に迫っている。
先代モデルでピュアスポーツカーに生まれ変わったフェアレディZ。この現行型ではさらなる軽量化そして100mmのショートホイールベース化を施し、さらにスポーツカーの純度を高めている。
Z33はマイチェンでエンジンを変更したが、Z34ではさらにエンジンを進化させた。3.7Lに排気量アップされたVQ37VHR(336ps/37.2kgm)を搭載
搭載するエンジンは最高出力336ps、最大トルク37.2kgmを発生する3.7L 、V型6気筒自然吸気でトランスミッションは6速MTと7速ATが組み合わされている。駆動方式はもちろんFRのみだ。
現在、現行型フェアレディ Zの中古車の流通台数は約240台で、こちらも直近3カ月の間目立った増減はない。中古車の平均走行距離は3カ月前が約4.7万kmで現在は約5.2万kmまで延びている。
ショートホイールベースを採用したことで小気味のいいシャープな走りが堪能できる。いっぽう高速道路などの巡航でもスタビリティは高い
その動きに呼応するように平均価格は3カ月前が約211万円で今月は約207万円と緩やかながら値落ち傾向となった。現行型フェアレディZの中古車の価格帯は約93.5万~約538万円と非常に幅広い。
しかしまだ数台と数は少ないが、修復歴ナシの中古車で100万円以下のプライスが付いたのは朗報だ。
Z33を正常進化させたZ34のインテリア。3眼タイプのメーターはよりデザインに凝ったものとなっている。このインテリアを手に入れるだけでも価値がある
Z34で100万円以下の登場は衝撃的
現行型フェアレディZのグレード分布を見てみると、最も多いのが最上級グレードのバージョンSTで約33%、次いで、ベーシックグレードの約24.4%そしてバージョンTとなっている。
最も流通台数の多いバージョンSTでMT車は約30%、ベーシックグレードで約46.5%となっており、現行型ZにおけるMT車の比率はベーシックモデルが最も多く、次いでバージョンST、そしてMT車のみのバージョンSとなっている。
現行型フェアレディZのグレード別の価格帯を見てみると、バージョンSTのAT車は約104万~約376万円。そしてMT車は約138万~約360万円。
Z33、Z34ともMTの人気が高いが、高速道路や街中をゆったりイージーにクルージングできるATも侮れない。相場がMTより安いので狙い目ともいえる
ベーシックモデルのAT車は約95万~約325.9万円。そしてMT車は約138万~約349万円。AT車のみのバージョンTが約94万~約398万円、MT車のみのバージョンSが約119万~約348万円とAT車のほうが安くなっているが、ニスモを除けばグレードによる価格差はほとんどないと言える状況だ。
そうなると流通台数の多い最上級グレードのバージョンSTがオススメのグレードと言える。
スポーツカーだけにボディカラーにもこだわりたいと思うが、やはり白、黒、シルバーが中心で、黄色は6台、ブルーは5台とやはり鮮やかなボディカラーはフェアレディZでもレア色となっている。
イエローのカラーが鮮烈なフェアレディZ(Z34)で非常によく似合っているが、販売台数自体が少ないため中古マーケットでもレアとなっている
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